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【BOOKガイド】戒名探偵 卒塔婆くん

2019年6月18日

戒名と仏教の知識が身につく小説、軽妙なミステリーです。主人公は高校生ですが、仏教に異様に詳しく墓石や卒塔婆の戒名を見ただけで古いお墓に誰が弔われているのか分かってしまうという『外場(そとば)薫』くん。戒名だけでなく仏教に関する蘊蓄も満載で、一読するとかなりの通になることができます。3本の短編と1本の中編で構成されている書籍で、最後に收まっている中編は戦没者慰霊に絡む話で短編とは若干趣が変わって重めの話ですが、じっくりと練られたストーリーなので、楽しく読むことができます。物語の縦軸は戒名と仏教の薀蓄を活用した謎解きですが、横軸には現代の仏教界に対する皮肉と将来の仏教界や僧侶に対する不安が織り込まれています。

著者の高殿円(たかどのまどか)さんは、ライトノベル中心にファンタジー世界を描くのが得意な作家さん。漫画の原作・原案も数多く手がけています。

 

書籍名称:戒名探偵 卒塔婆くん

発行元:KADOKAWA

価格:1,512円

販売店:全国の書店、インターネットストア

書籍の概要

東京都港区麻生には、江戸時代の某有力藩の代々家老の菩提寺だったという臨済宗妙徳寺派秋王山金満寺という古刹があります。父親である住職のもとで住職代行を務める哲彦は金儲けが好きな有りがちなお坊さん。一方哲彦の弟である春馬はまだ高校生で、あまり何も考えずに日々を過ごしている怠け者。毎日のように兄哲彦から無理難題を押し付けられるのです。「整地して新規の墓地にするから、誰の墓か突き止めろ」とか「寺に貢献した篤志家の埋葬場所を探せ」とか。手がかりは戒名だけという誰でもお手上げの難題。しかし春馬には切り札がありました。それは有栖川学院高等部の同級生であり「古文化研究会」の会長である外場薫、人と呼んで「戒名探偵」。春馬と薫のコンビは哲彦の難題を次々とクリアしていくのです。巨大コンテンツメーカー創始者の生前戒名を巡る骨肉の遺産争いまでも!さしずめ「戒名に関しては解けない謎はない」といったところでしょうか。

 

高殿円氏のプロフィール(書籍著者情報から)

兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。