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【BOOKガイド】葬式をしない寺―大阪・應典院の挑戦―

2019年09月17日

今日ご紹介する書籍は発刊が2011年と少し前ですが、“葬儀を一切行わない、檀家も持たない寺”として知る人ぞ知る、大阪にある應典院の挑戦の記録を住職である秋田光彦さんが記したものです。應典院は浄土宗大蓮寺の塔頭寺院で1614年開山の古刹ですが、ほかの寺院同様に現代日本で仏教離れが進む中、1997年にこれまで寺院が担ってきた仏事ではなく、かつて(江戸時代以前ですね)寺院が有していた地域における教育・文化振興を担う場として再建されました。寺院のあり方の1つとして仏教界に大きな波紋と、可能性を示した秋田住職を中心とした活動の記録です。

 應典院は2018年に再建20周年を迎えたことを機に“應典院ポスト20年プラン”を発表しています。そこでは、20年の活動で第1期は終了となり、第2期に移行すべき時期が来ているとし、第2期では“葬式をしない寺が行う葬式”に挑戦することを掲げています。本書を読むことで、應典院の基礎となる思想や狙いを理解した上で、今後の活動をウォッチすることで、今後の寺院が歩む方向性の1つが見えてくるかもしれません。

 

書籍名称:葬式をしない寺―大阪・應典院の挑戦―

発行者:新潮社

価格:648円(税込)

販売店:全国の書店、インターネットストア

書籍の概要

 寺院は宗教的な場であるが、寺院が持続的に活動し続けるためには、経営という視点を欠くことができない。仏教離れが進む日本において、寺院経営を成り立たせるために何ができるのか、何をしなければいけないのか、そこにチャレンジしてきた應典院の試行錯誤の歩みが記されています。関東西住の筆者は詳しくは知らなかったのですが、大阪の演劇ファンの間では小劇場の1つとして「シアトリカル應典院」のことを知らない人はいなくくらいの認知度だそうですね。日本で一番若者が訪れる寺「應典院」。なぜ若者なのか、それは若者が将来のユーザーだから。いまの若者が集まって来なければ、認知してもらわなければ、親しんでもらわなければ、将来彼らが歳を経たときに訪れてくれるはずがない、という危機感が應典院を動かしたのだと感じました。應典院の方法のみが正しいとは思いませんが、1つの解であることには間違いないと思います。

目次

第一章 葬式をしない寺

あんた方が、ぼやぼやしてるからや/なぜ寺ではなくオウムだったのか/新しい寺史を創る/應典院プロジェクト/がんばれ、お寺!/お寺の「場」の力/バブル時代の廃仏毀釈/「世界のNPOの原点は、日本の寺にある」/「学び」「癒し」「楽しみ」/寺の本卦還り

第二章 寺は死んでいるのか

大震災の衝撃/「所属」に逃げ込まない/宗教者は沈黙したのか/ふたりのアジア僧との出会い/寺は死んでいる/オウムとNPOの若者たち/縁起を生きる

第三章 呼吸する寺

ここにいていいでしょうか/開かれたお寺とは何か/水曜トークサロン/つなぎ手としての僧侶/生きる意味を探す/演劇の應典院/劇場も寺も他者と出会う広場/迷いこそ自分への種まき/わかりにくさから出発する/箱庭の中の應典院

第四章 日本でいちばん若者が集まる寺

フリーター寺院・應典院/お布施は出世払いでいいですか/元祖フリーターの自分史/震災チルドレン/ジョブ寺/アートな仕事/僧侶は悩める仕事人/反転する力/智慧と慈悲

第五章 寺こそ、生死をつなぐ拠点

消えた承継者/リストラされる葬式仏教/お坊さんはオプションか/自分らしい最期とは/エンディング見本市/生前個人墓「自然」/エンディングサポートという社会実験/死んでからではもう遅い/墓場で詩を読む

第六章 寺の明日、仏教の未来

フリースタイルな僧侶たち/お寺のNPO事業と利他行/布教の成果を求めない/愚者の自覚/三学の器に非ず/社会参加仏教の陥穽/二十年後、お坊さんしてますか/社会から求められる寺とは/慈悲のチカラ

 

秋田光彦氏のプロフィール

 1955年大阪生まれ。浄土宗大蓮寺住職、應典院代表。パドマ幼稚園園長。相愛大学人文学部客員教授。1997年應典院を再建。「檀家ゼロ、運営はNPO、葬式・法事はしない」という斬新なコンセプトが評価され、以降「寺院再生のシンボル」として注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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