終活Style ごじょクル

冠婚葬祭に関する豆知識など、
様々なお役立ち情報をお届けします。

powered by ごじょクル
  • Facebook
  • Twitter

墓じまい と トラブル

2020年06月25日

終活の1つでもある「墓じまい」が、終活の普及(認知拡大)とともに増加傾向にあるようです。厚生労働省が毎年6月に、衛生関係諸法規の施行に伴う衛生行政の実態を把握し、衛生行政運営の基礎資料を得ることを目的として調査し公表している「衛生行政報告例」という統計では、墓じまい(法律用語では「改葬」といいます)の件数を報告しています。2020年6月19日に公開された平成30年衛生行政報告例では、2018年度に行われた改葬は全国で115,384件という結果でした。これは2000年度の66,643件から73%の増と、この18年間でおよそ倍近く増えていることを示しています。ここで1つ気にしていただきたいのが、墓じまいは国が統計を取る行為、つまり「墓地、埋葬等に関する法律」に基づいて行われる行為なので、勝手に行うことは許されていないということです。正式な手続きを経て行わないと犯罪となりますので、ご留意ください。なお、手続きについては、以前の記事、増えつつある「墓じまい」も参考にしてください。

寺院とのトラブル

墓じまいが増えるに従って、トラブルの数も増加傾向にあるようです。今回は、主なトラブルと、それを回避するための算段について考えてみたいと思います。
まず、最も多いと考えられるのが寺院とのトラブルです。寺院にある墓地を撤去することは、その寺院の檀家を離れることを意味します。近年は寺院経営も決して安泰ではありません。檀家の数は減少傾向にあるために、多くの寺院が厳しい経営を強いられています。そんな環境下で、墓地を撤去(移転)する、離檀すると言われていい顔をする寺院は少ないと思います。独立行政法人国民生活センターに寄せられた相談の中には、なんと!250万円の離檀料を請求されたという事案もありました。この相談に対する国民生活センターの助言は次のようになっています。
・こういったお布施については明確な基準等はないため、金額に納得がいかない場合は、基本的には寺と話し合うことになります。
・墓の引っ越しは勝手にすることが出来ず、一般に、墓地管理者である寺から「埋蔵(埋葬)証明書」をもらったうえで自治体に申請し、「改葬許可証」を受け取ることが必要です。
・また、一般的に墓を移転する際は、墓を撤去し更地にする費用、新たな墓の購入費等が必要となります。
・少しでも不審に思うことがあれば、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください。
消費生活センターに相談するにしても、最終的には寺院と話し合って、双方納得する落とし所を探るしかないのが実情です。上記の助言にもあるように寺院(墓地管理者)が発行する埋蔵証明書がないことには、墓地の撤去、移転はできません。あるケースでは寺院に事前になんの相談もせずに石材店とだけ撤去の相談をしていたところ、撤去工事の当日に寺院から拒否されたなんて話もあるようです。
墓じまい(改葬)を考えているという理由の多くは、墓地が遠隔地にあってお参りに行けないことだと思います。必然的に寺院とも疎遠になりがちなのは、よく分かりますが菩提寺なのですから1年か2年に1度くらいは寺院も訪れて、ある程度はコミュニケーションを深めておくことが理想だと筆者は考えます。

親族間のトラブル

次に親族間のトラブルです。墓地の維持管理は祭祀承継者の務めです。法律的には、墓じまいをすることの判断は、祭祀承継者が行えばよく、祭祀を承継しなかった兄弟や子ども、孫あるいは叔(伯)父、叔(伯)母が口を挟めることではないのですが、親族に相談なく墓じまいを行ったことによるトラブルは多発しているようです。ここで考えてほしいのは、墓地の管理者以外の親族にも、墓参りをするという権利は存在しているということです。祭祀承継者だからと一方的に誰にも相談しないのではなく、周囲(親族)の理解を得ながら進めることが大切であるといえそうです。

石材店とのトラブル

次に撤去作業を行う石材店とのトラブルです。墓地の場所や状態により費用には大きな差が出ることもあるらしく、当初の見積もりに対して大幅な追加費用の請求を受けたという相談も多いようです。また、相場感がわかないために、そもそもの見積もりが不当に高額というケースもあるようです。このようなトラブルを避けるには、可能な限り複数の石材店から見積もりをとって比較するしかありません。
しかし、墓地(霊園、寺院)によっては石材店が指定されている場合があります。その場合には、残念ながら石材店の比較検討ができないことになります。墓地使用契約書に「指定石材店」の条項が記載されているかどうか、事前に確認をしてください。

墓じまいのポイント

以上のことから、墓じまいをする上で、トラブルを起こさないためのポイントは次の1点です。

拙速にことを運ばないこと

ある程度時間(早ければ早いほどいいと思います)をかけ、寺院、親族、石材店としっかりとコミュニケーションをとり、お互いに納得、理解をしてもらった上で行う。

急く気持ちは理解できますが、じっくりと構えることが、トラブルを回避する唯一の方法だと思います。