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ペット のための 終活 その2 負担付遺贈と負担付死因贈与契約

2020年07月20日

その1では、最近特に注目を集めているペット信託を取り上げました。この記事でも説明したように、ペット信託自体は民事信託という法的行為のスキームを利用するもので、ペット信託という制度やサービスがあるわけではありません。今回は、名称そのものは堅苦しいですが、法的行為そのものとして古くから存在する2つの方法について簡単にご説明しましょう。

負担付遺贈とは

遺言で財産を残す人が、その財産を受け取る人に対して、財産を贈与する代わりに、一定の義務を課す財産贈与のことをいいます。ペットのための終活という視点からは例えば「誰々に財産○○を譲る。ただしその条件は、自分の飼い犬である○○が大往生を遂げるまで、面倒をみること」などの遺言を遺すのです。財産を譲ると指定された人は、示された条件に従うことで初めて、財産の贈与を受けることができます。

負担付遺贈が行われた場合に、贈与を受けた人が義務を履行していないとみなされると、ほかの相続人や、遺言の執行者から義務を履行するように催告を受けることになります。そして催告を受けたにも拘らず一定期間義務の履行を行わないと家庭裁判所から負担付遺贈の取り消し処分が出され、財産贈与が無効とされます。

一方で、この行為は負担付遺贈を受ける人の承認を必要としない、財産を遺贈する人の一方的な行為であるために、負担付遺贈先として指定された人は、遺贈を放棄することができるのが特徴です。遺言状で指名するだけなので、比較的簡単な終活方法であるとはいえますが、遺贈先に指名した人が放棄されては、遺言の遺した人の希望が実現しません。放棄しなくても義務をしっかり履行しない場合も同じですね。負担付遺贈を選択する場合には、たとえ相手の了承が不要だったとしても、遺言状にその旨を記していることを説明し、了承を得ておくこと、そして義務を履行しているかどうかを見守る遺言執行者を指定しておくこと、この2つが肝要だと思います。

義務の不履行に対しては法的な手続きも必要になるので、遺言執行者は弁護士などの法的実務に堪能な人を選ぶのが無難だと思います。

負担付死因贈与契約とは

財産を贈与する人と、財産の贈与を受ける人の間で、事前に財産贈与に関する合意内容を契約として交わすものです。負担付遺贈では遺言状に記す内容を契約書として残します。双方合意のもとで交わした契約ですので、一方的に破棄することができないという特徴があります。

契約行為として効力を担保するために契約書の存在は言うまでもありませんが、公正証書を利用することで、実効性がより強固に、安全になります。

また、契約で定めた義務(この場合はペットの世話)がなされていない場合は、契約不履行となり、財産の贈与も無効となります。

もう1つ負担付遺贈との違いがあります。負担付遺贈は贈与する人が亡くなり遺言状が公になって効力が生じますが、負担付死因贈与契約に関しては、ペットの世話をするという義務を、無くなる前から履行させる契約内容とすることもできることです。

 

ペット信託、負担付遺贈、負担付死因贈与契約と3つのペットのために飼い主ができる終活をみてきました。それぞれが法律を根拠にした行為ですので、なんらかの形で法律に明るい専門家を参画させるのが安心できそうな気がします。もちろん、家族(遺族)が面倒をみてくれる、というならそれに越したことはありませんが、最近増えている一人暮らし高齢者の場合は、この3つのいずれかの方法をご検討されることをお勧めします。