2020年に亡くなった方々（日本編）

2020年は新型コロナ感染症という人類にとっての新たな脅威によって命を落とす方もいました。例年と比べると、それぞれのジャンルで時代を牽引されたビッグネームが亡くなった印象を覚えます。惜しまれてこの世を去られた中の何人かを、略歴とともにご紹介し、お悔やみの場とさせていただきます。選定基準に筆者の知識、興味の偏りがあることをご容赦ください。

高木守道さん　元プロ野球選手・監督　享年78歳

2020年1月17日逝去

1960年から1980年まで21年間にわたって中日ドラゴンズの二塁手としてチームを牽引したミスタードラゴンズ。二塁手として2,179試合、5,327刺殺、5,866捕殺はNPB冷気代最多です。失策の284も最多ですが。2,274安打で名球会入もしています。現在でもプロ野球史上最高の二塁手と多くの人が評価しています。現役時代は打撃ではリードオフマンとして、そして緻密な守備で活躍したことから、監督としても待望されていましたが、星野仙一さんの後を受けた第1次、落合博満さんの後を受けた第2次と2回にわたる監督生活では2位が最高の順位で優勝することはできませんでした。

宍戸錠さん　俳優　享年86歳

2020年1月18日逝去

1954年に日活ニューフェイスとしてデビュー。日活アクション映画全盛期には、小林旭主演の『渡り鳥シリーズ』、赤木圭一郎さん主演の『拳銃無頼帖シリーズ』などに出演、「エースのジョー」のニックネームで親しまれていました。映画が衰退した後は、『くいしん坊！万才』のレポーターも務めていました。こちらのほうが記憶に残っている人が多いかもしれませんね。

野村克也さん　元プロ野球選手・監督　享年84歳

2020年2月11日逝去 

愛称「ノム」さんで親しまれた、プロ野球界を代表する名選手であり名監督でした。選手としては、南海ホークスから、ロッテオリオンズ、西武ライオンズと26年間の選手生活の中で、3,017試合、2,901安打、657本塁打、1,988打点といずれもNPB歴代2位となる記録を残しています。監督としても南海ホークスのプレイングマネージャーから始まり、ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、楽天ゴールデンイーグルスと4球団の監督を合計で24年間務めています。その間、南海時代に1度のパ・リーグ制覇、ヤクルト時代に2度のセリーグ制覇と3度の日本一を達成。なお、平成期間としての監督最多勝（1,053勝）記録も持っています。2回目の結婚相手である沙知代夫人とともに、さまざまなメディアにも登場し夫婦でいろんな意味で人気を集めていました。

別役実さん　劇作家　享年82歳

2020年3月3日逝去

日本の演劇界において不条理演劇を確立させた第一人者です。その作風は幻想的かつ独創的で、登場人物が「男 1」「男 2」など、固有の名前を持たないことが多いことが特徴にあげられます。代表作は第13回岸田國士戯曲賞を受賞して、出世作ともなった『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』のほかに『そして誰もいなくなった―ゴドーを待つ十人の小さなインディアン』『会議』『日々の暮し方』『魔女とたまごとお月様』『象』など。

志村けんさん　コメディアン、タレント、司会者　享年70歳

2020年3月29日逝去 

日本中がその悲報に驚き、嘆いたと言っても過言ではないでしょう。新型コロナ感染症で亡くなった、日本のお笑い界、芸能界の巨人の1人です。付き人としてスタートしたドリフターズでは1974年に正式メンバーに昇格し、その後『東村山音頭』の大ヒットで人気者になって以来、亡くなる直前まで『天才!志村どうぶつ園』、『志村でナイト』などのレギュラー番組を抱えて第一線で活躍していました。志村さんが亡くなったことで、世間一般的な新型コロナ感染症に対するイメージが、どこか自分とは関係ない別の世界のから、自分のごく身近なところにある危機、危険であるというように一変したように感じています。

【追悼記】人生の大恩人だった 志村けん さん。いつまでも忘れません

大林宣彦さん　映画監督　享年82歳

2020年4月10日逝去 

『映像の魔術師』と称される現代の日本映画界を牽引してきたまさに巨匠です。商業映画デビューは1977年に公開された、7人の少女（池上季実子、大場久美子、松原愛、神保美喜など当時のトップアイドルが出演）が訪れた先の家に食べられてしまうというホラー・ファンタジーを、実写とアニメの合成などの、さまざまな特撮を使って見せた『HOUSE』。当時の日本映画（映画だけでなく映像としても）の常識を根底から覆した傑作でした。そのほかの代表作は何かと言われると尾道三部作の『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』などがあげられますが、作品の全てが代表作と言えるくらい。2004年に紫綬褒章を、2009年に旭日小綬章を受章、2019年に文化功労者に選ばれています。

三浦春馬さん　俳優　享年30歳

2020年7月18日逝去 

これからの日本を代表する俳優の一人として期待され、ドラマ・映画・舞台・ミュージカルなど幅広いジャンルで活動し、演技力だけでなく卓越した歌唱力とダンスの技術で「表現者」とも称されていましたが、突然自ら死を選ばれました。その若すぎる死を悼む声は日本だけでなく、高い人気を集めていた中国でも拡がり、報道された当日は三浦春馬さん関連のニュースが11億PVを超えたそうです。

山本寛斎さん　ファッションデザイナー　享年76歳

2020年7月21日逝去 

1971年に日本人として初めて、ロンドンでファッションショーを開催したことでも知られ、ファッションブランド『kansai yamamoto』を展開した日本を代表するファッションデザイナーの1人です。京成電鉄のスカイライナー車両デザインも手掛けています。娘さんは女優の山本未來さん。義理の弟が俳優で今年大麻取締法違反で逮捕され12月22日に東京地裁が懲役1年執行猶予3年の判決を言い渡した伊勢谷友介さんです。

渡哲也さん　俳優　享年78歳

2020年8月10日逝去 

1965年に日活でデビューして以来、長きにわたる俳優生活を務めてきましたが、やはり裕次郎亡き後の石原プロを支えた兄貴というイメージが強いです。『西部警察シリーズ』『大都会シリーズ』の中での「角刈りにサングラス」というスタイルがトレードマークとして定着しました。弟の渡瀬恒彦さんは2017年に亡くなっています。

内海桂子さん　漫才師　享年97歳

2020年8月22日逝去

1950年から1997年まで音曲漫才コンビ「内海桂子・好江」を組んで人気を集めていました。相方で14歳も年下の内海好江さんが1997年に亡くなった後は、漫才協団会長（現会長は青空球児さん）として東京の演芸界を率いる傍ら最古参のピン芸人として、寄席を中心に最後まで現役として活躍していました。ナイツの師匠としても有名です。ナイツのネタで桂子師匠の話が聞けなくなるかもしれないのは、とても残念です。ですが97歳は大往生と言ってもよいでしょうね。

竹内結子さん　女優　享年40歳

2020年9月27日逝去

この悲報も日本中を驚きに包み込みました。バリバリのトップ女優として、数多くの映画やドラマにCMに引っ張りだこの中、突然自ら死を選ばれました。遺作となったのが7月23日に公開された『コンフィデンスマンJP -プリンセス編』。

高田賢三さん　ファッションデザイナー　享年81歳

2020年10月4日逝去 

7月に亡くなった高田賢三さんとともに、日本ファッション界のフロントランナーとして『ケンゾー』ブランドを世界的ファッションブランドの1つに成長させました。9月にパリで新型コロナウイルス感染症に感染し、パリ郊外の病院で闘病生活を送っていましたが、合併症を発症し亡くなりました。フランス大統領官邸が追悼メッセージを発表しています。

筒美京平さん　作曲家　享年80歳

2020年10月7日 逝去

昭和時代を風靡した歌謡界における稀代のヒットメーカーです。1970年代、1980年代に10回作曲家別レコード売上年間1位を記録しています。作曲作品のシングル売上のTOP10が、魅せられて（ジュディ・オング）、スニーカーぶる〜す（近藤真彦）、ブルー・ライト・ヨコハマ（いしだあゆみ）、また逢う日まで（尾崎紀世彦）、ロマンス（岩崎宏美）、木綿のハンカチーフ（太田裕美）、ギンギラギンにさりげなく（近藤真彦）、人魚（NOKKO）、やめないで,PURE（KinKi Kids）、ブルージーンズメモリー（近藤真彦）。サザエさんの主題歌などアニメソングも手掛けています。

なかにし礼さん　作詞家、小説家　享年82歳

2020年12月23日 逝去

昭和時代には作詞家として、平成時代には小説家として活躍されました。作詞家としては、『北酒場（細川たかし）』『Blue Sky（西城秀樹）』『今日でお別れ（菅原洋一）』『AMBITIOUS JAPAN!（TOKIO）』『恋のフーガ（ザ・ピーナッツ）』『天使の誘惑（黛ジュン）』『手紙（由紀さおり）』などを世に出し、小説家としては2000年に『長崎ぶらぶら節』で第122回直木賞を受賞しています。

ご紹介できなかった多くの方がいらっしゃることを、謹んでお詫びします。その方々を含めて、心よりご冥福をお祈り申し上げます。