お葬式や法要などの仏事で、僧侶に渡すお布施。ここでは、お布施の正しい意味や役割を学んでみましょう。
布施は修行の1つだった
布施の元来の意味は仏教の六波羅蜜という、煩悩を消し、悟りを開くための6つの徳目を実践する修行の1つだったのです。ちなみに6つの徳目とは次になります。
【6徳目】
布施(人に、財、真理、安心を与えること)
持戒(戒律を固く守ること)
忍辱(迫害や侮辱などに耐えること)
禅定(心を静め、集中して真理を思うこと)
智慧(すべての法に通じ、真理を悟ること)
精進(心身ともに努力して修行すること)
3つの布施がある
財施、法施、無畏施の3つの布施があり三施といいます。お経を読み法文を唱えることが法施(ほうせ、ほっせ)で、法話などで人の恐怖心を取り除くことが無畏施(むいせ)です。この2つの布施は、仏教者である僧侶がわたしたちに施してくれるものです。そしてこの2つの布施を施されたことに対するお礼ともいえるのが財施です。財施は本来的には単なるお礼ではなく、僧侶を介して法施、無畏施を施してくれたお寺のご本尊(仏様)に対して金銭などの財を施すことで自分の罪を消してもらう、つまり贖罪をすることにあります。
形骸化しつつある今だからこそ
1970年代ころまででしょうか。お寺と民衆は菩提寺と檀家(信徒)という関係で結ばれていました。そこには本来の意味の、寺が施す布施と、それに対する信徒の布施が存在していて、仏事に際に渡すお布施も気持ちがこもったものだったと思います。今では、お寺が提供する読経や戒名をサービスととらえて、それに対する対価、つまり料金であるという意識が強くなっているように思えます。実際に、サービス業化しつつあるお寺も増えていそうです。でもなんでもかんでもビジネスライクな考え方をするのではなく、お布施についてはその本来意味することをしっかりと理解しましょう。