自然葬を考える
最近注目されつつある「自然葬」。お墓に入らずに自由な発想で永眠の場所を選べる「自然葬」とはどんなものなのでしょう?
自然葬が注目される理由
最近注目されている埋葬方法として自然葬というものがあります。これは、山や海などに散骨し、自然に故人をお帰しするという方法です。人間はもともと自然から生まれたもの。死んだら自然に戻るのが自然なのではないかということで、選ばれる方が増えています。
また、後継者問題などで、今後のケアが必要ない自然葬を選ばれる方も多いようです。そのほかにも、宗派にとらわれないので、あまり宗教にとらわれたくない形が選ばれるケースも増えているようです。生物的に自然で、なおかつ遺族にもあまり負担にならない自然葬とはいったいどういったものなのでしょうか。それを今回は見ていきたいと思います。
エンバーミングで有名なのは、古代エジプト文明(紀元前6000~紀元600)のミイラ作り。その後も、長く続けられてきて、アメリカで発展したといわれています。具体的には、遺体を洗浄や消毒し、血液の代わりに防腐剤を注入していきます。その後、必要に応じて顔などの復元処理をし、化粧を行います。
これにより、3つの大きなメリットが生まれます。防腐処理を施すことで、遺体は長期保存することが可能になります。それにより遠方から親族がやってくることを待つことができますし、海外に住んでいる親戚や友人の対面も可能です。葬儀について十分に考える時間もできますから、よりよいお別れが可能にもなります。
基本的に、エンバーミングを施すことで10日から2週間の保存が可能だと言われています。適宜、処理しなおせば、かなりの間遺体をそのままにできるのです。レーニン廟のレーニンもエンバーミングされ保存されているといわれています。ドライアイスによって、遺体の防腐処理を行うことが日本では多いのですが、これは確実とはいえず、実施者の実力によっては腐敗をうまく止められないことも多いようです。また、消毒を行いますから、感染症にかかってなくなった方とも長く一緒にいられるようになります。
自然葬
昔、俳優・石原裕次郎さんの遺骨の一部を、彼が好きだった湘南の海にまきたいと兄の石原慎太郎さんが申し出たことがありました。しかし、このときは許可されなかったそうです。しかし、今では節度をもって行われる限り問題はない、ということになっています。実は自然葬というのは、海外ではとても一般的なもののようです。ネール元首相、周恩来元首相らが自らの生前の意志によって自然葬を選んでいることは有名な話です。
現在、日本で行われている自然葬の方法の代表的なものとしては次のようなものがあります。
1. 船舶で海に散骨する方法 |
2. ヘリコプターによって空から海上へ散骨する方法 |
3. 山や森に散骨する方法 |
1と2の場合は家族が同乗する方法と、業者に任せる方法があります。それぞれにより値段が変わってきます。
しかし、家族が同乗する場合はたとえば下記のようになります。
1. 船に乗船 |
2. 故人とお別れ献花 |
3. 散骨 |
4. 献花(献酒、風水) |
5. 黙祷 |
また、とてもユニークなものには宇宙葬などもあります。これはご遺骨を専用カプセルに納めて衛星ロケットから地球軌道上に打ち上げるという方法。
死後に生まれた地球を宇宙から見守るということで、とてもロマンがありますよね。この際には、衛星ロケットの打ち上げから、地球周回の軌道に乗るまでを撮影したビデオをもらえたり、打ち上げに使用した衛星ロケットの写真をもらえたり、といろいろと工夫が凝らされています。
自然葬の注意点
基本として自然葬は、自然にお遺骨を帰すのが基本です。ただし、どこにでも散骨していいというわけではありません。たとえば、公海上5海割以上での散骨ならば、特に問題はないとされています。
しかし、他人の私有地の場合に散骨してしまうと後で問題になることがあります。ですから、その場合は、きちんとその土地の人から同意をもらう必要があるでしょう。
また、実は自宅で行うのも×。これは、国の定める墓地・埋葬法等や、法務省刑法第190条「遺骨遺棄」等の法律上の関係上できないので、この点は注意して選ぶ必要があります。そのほかにもいろいろと注意する必要があります。海や空から散骨する方法ではボートやチャーター機が必要になります。
また、散骨する際には、遺骨は約2mm~5mmの粉末状にする必要がありますので、これをきちんと行うのは個人ではかなり難しいことです。場所のことも含めて、やはりなれないといろいろなトラブルが起こりがち。できれば自然葬を請け負っている会社にお願いするのが一番よいでしょう。