冠婚葬祭に関する豆知識など、
様々なお役立ち情報をお届けします。

powered by ごじょクル

年賀状 の 終活

記事公開日:2020.11.16/最終更新日:2023.04.18

読了予測:約5分

新型コロナに始まり、東京オリンピックが延期になるなど、まさに激動、激変ともいえる2020年も残り僅かとなってきました。来月はもう師走です。まだコロナ禍は収まりませんが年末年始の準備も始まる時期ですね。そろそろ年賀状の準備を始められる人も多いのではないでしょうか。ところで現在巷には終活年賀状という言葉が存在しているようです。終活とは一言で言うと「人生の終わりのための活動」です。その活動と年賀状がセットになっているこの言葉は一見意味不明ですよね。今回はそんな終活年賀状を考えてみます。

終活年賀状とは

終活年賀状とは、“翌年から年賀状のやり取りをやめる(少なくとも自分からは出さない)”という内容(メッセージ)を含んだ年賀状のことだそうです。ネットで調べてみると『終活の一貫として』という説明が多く見受けられます。人生の終わりに向けた活動と年賀状交換を取りやめることを結びつけるのは結構強引な気もしますが、確かに終活には残りの人生をどう生きるのかを決めるという意味合いもありますので、その視点からは終活の1つであるとも言えるのかもしれません。ちなみに「年賀状じまい」とも称されているようですね。筆者には、終活の一貫としての活動というよりも、年賀状を終わらせるための活動、つまり年賀状の終活と捉えたほうがしっくりするのですが。この「終活年賀状」「年賀状じまい」なる行為、言葉の起源はよく分かりません。2018年ころから使われだしているようです。とくに平成から令和となった2019年に『令和となったタイミングで』という言葉とともに多くの記事が記されているようです。

終活年賀状を出す意味

終活年賀状は『次のような理由で年賀状の交換を取り止めたいのだが、一言もなく一方的に送るのを止めるのでは失礼にあたるし、かえって心配させるかもしれない』とお考えの人が、これまでの厚情に対する感謝も伝えながら、相手に年賀状を終わらせることを理解してもらうために出すもののようです。

  • 高齢となり年賀状の準備が辛くなってきた
  • 定年を迎えて現役ではなくなったので人間関係を整理したい
  • 虚礼(年賀状だけの付き合い)を廃止したい
  • 年賀状にかける時間や費用を節約したい

絶対に気をつけたいこと

正直に言うと、このように『年賀状止める宣言』をわざわざしなくても、フェードアウトしていけば良いのではないだろうか、と筆者は思っています。実際に筆者が現在年賀状をやり取りしている人は、公私併せて最盛期の10分の1以下にまで減っています。無論終活年賀状なるものは出さない自然フェードアウトです。しかし、いきなり送るのをやめることに躊躇いを覚える人がいるであろうことは理解できます。そのような人にとっては必要なステップということなのでしょう。ただ1つだけ気になるのは、敢えて『年賀状止める宣言』をすることで却って相手の気持ちを害することになりはしないか、ということです。確かに終活年賀状という言葉を見かけるようにはなりましたが、自ら年賀状を終わらせようとしている人以外はその言葉の意味まで調べないでしょう。そもそも検索しないと思います。そのような終活年賀状なるものが存在していることを知らない人が受け取ることを十分に考慮する必要があります。わざわざ年賀状を終わらせることを相手に宣言するのならば、相手に理解してもらえる、共感してもらえる年賀状とすることが必須であると言えるでしょう。

終活年賀状を書くときのポイント

ネットにはさまざまな文例が溢れていますので文例をお探しであれば検索してみてください。大きなポイントをあげるとしたら次のようになります。

感謝の言葉

まずは通常の年賀状どおりに新年を祝う言葉を記すとともに、これまでの厚情に対する感謝、お礼の言葉は必須だと考えています。

止める理由

これは正直なところを記して良いとも思うのですが、あまり正直すぎて相手の気持ちを害してはいけないので、当たり障りのない次のような理由が良いかもしれません。

  • 還暦(古希)の節目の歳を迎え思うところあり
  • 寄る年波に勝てず筆をとるのが辛くなり
  • SNSを始めたので今後はSNSでご挨拶をいたしたく

年賀状じまい宣言

次のように今回限りで年賀状を送るのを止めることを伝えます。

  • 新年のご挨拶を今年限りとさせていただきます
  • 年始のご挨拶は今年限りで失礼させていただきます
  • 本年にて年賀状を書き納めとする所存です

などですね。一応新年に届くものですから「終わり」とか「最後」とか縁起が悪そうな言葉は控えるほうが賢明でしょう。

お詫びの言葉

こちらの都合で、これまでの慣習だった行為を取りやめるのですから、お詫びの言葉を記しましょう。

今後の交流について触れる

絶縁宣言ではないことを理解してもらう必要があるので、年賀状交換をやめた後にどのような交流を望んでいるのかを記したほうが良いでしょう。それがメールやSNSの場合であれば、アドレスやアカウントを記しておくと良いでしょう。しかし全ての人がデジタルデバイスに慣れ親しんでいるとは限りません。『年賀状交換は取りやめさせていただくが、これまでどおり親しくお付き合いをお願いしたい』旨を真摯に記すのが一番だと思います。

手書きの言葉を添える

これまでは、手書きの言葉なしでプリントしただけの年賀状を送ってきた人も多いと思いますが、これで最後の年賀状となるのですから、できる限り手書きで一言添えるのが望ましいと思います。とくに先に記した今後の交流については、相手により異なると思いますので、そこをきっちりと手書きで記せば、相手が気持ちを害することもないでしょう。

 

新年の風物詩だった年賀状も徐々にその姿を消していくのかもしれませんね。一抹の寂しさを覚えます。まぁ既に年賀状を10分の1にしている『お前が言うな!』ですけど。

年賀状じまいの宣言をお考えの人は参考になさってください。