「もしも認知症になって、自分の預金が引き出せなくなったらどうしよう」 「離れて暮らす親が悪徳商法に騙されないか心配だ」
終活を進める中で、このような将来の「判断能力」に対する不安を抱く方は少なくありません。
自身の財産を守り、最後まで自分らしい生活を送るための重要なセーフティネット、それが「成年後見制度」です。
しかし、制度の仕組みは複雑で、「誰に頼めばいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」など、疑問も尽きないでしょう。
本記事では、成年後見人の正しい選び方や種類、手続きの流れをわかりやすく解説します。
家族が後悔しないための終活準備として、ぜひお役立てください。
終活における成年後見制度の重要性

終活において「財産の管理」や「身上監護(生活や療養の契約)」は欠かせないテーマですが、認知症などで判断能力が低下すると、これらを自分で行うことが困難になります。
そこで役立つのが成年後見制度です。
この制度には大きく分けて2つの種類があり、現在の健康状態によって利用すべき制度が異なります。
まずはご自身やご家族がどちらのケースに当てはまるのか、制度の違いを正しく理解することから始めましょう。
任意後見制度と法定後見制度の違い
成年後見制度は、契約を結ぶタイミングと本人の判断能力の状態によって、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つに分類されます。
任意後見制度は、まだ本人に十分な判断能力があるうちに利用するものです。
「将来、判断能力が不十分になった時」に備え、誰に何を頼むかを事前に契約で決めておきます。
自分の信頼できる人物を自分で選べる点が最大のメリットで、まさに終活の一環として主体的に準備できる制度といえます。
一方、法定後見制度は、すでに認知症などで判断能力が低下した後に利用する制度です。
家庭裁判所が適切な後見人を選任するため、親族が希望しても必ずしもその人が選ばれるとは限りません。
本人の能力の程度に応じて「補助」「保佐」「後見」の3段階に分かれます。
今の健康状態を見極め、適切な制度を選ぶことが重要です。
後見人を選ぶ際の具体的なポイント

後見人は、本人の財産を預かり、生活を支える重要な役割を担います。
そのため、「誰に託すか」という人選は慎重に行わなければなりません。
一般的には親族がなるケースと、法律の専門家に依頼するケースがありますが、それぞれにメリットと注意点が存在します。
また、申し立てから選任までの手続きの流れや、継続的にかかる費用についても事前に把握し、無理のない計画を立てることが大切です。
親族と専門家(弁護士・司法書士)どちらを選ぶべきか
後見人の候補者選びでは、家族の状況や資産規模に合わせて「親族」か「専門家」かを検討する必要があります。
親族(配偶者や子供など)がなる場合、本人の生活スタイルや価値観を熟知しているため、精神的な安心感があり、柔軟な対応が期待できます。
また、専門家に支払う報酬が発生しないため、経済的な負担を抑えられるのが利点です。
ただし、裁判所への定期的な報告事務が煩雑であり、家族への負担が重くなる可能性があります。
一方、専門家(弁護士・司法書士・社会福祉士)に依頼する場合、法的な管理や複雑な手続きを適正に行ってもらえるため、親族間での財産トラブルを防げます。
特に資産が多い場合や親族間で意見の対立がある場合は専門家が適しているでしょう。
ただし、毎月の報酬が発生するため、長期的な費用負担を考慮しなければなりません。
選任手続きの進め方と費用相場
成年後見人を選任するには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所への申し立てが必要です。
手続きは、申立書類の作成、戸籍謄本や医師の診断書の取得から始まります。
申し立て後、裁判所の調査官による面接や審理を経て、適任者が選ばれるまでには通常1〜2ヶ月程度かかります。
申立費用としては、印紙代や切手代、鑑定費用などを含めて数万円〜10万円程度を見込んでおきましょう。
選任後のランニングコストも重要です。
親族が後見人であれば無報酬のケースが多いですが、専門家が選任された場合、管理する財産額に応じて月額2万円〜6万円程度の報酬目安となります。
これらは原則、本人の財産から支払われます。
「誰が手続きをし、誰が費用を負担するのか」を事前にシミュレーションしておくことが大切です。
終活をすることで後見人トラブルを避ける

成年後見制度は本人を守るためのものですが、準備不足のまま利用を開始すると、「家族が財産を使えなくなった」「意図しない後見人が選ばれた」といったトラブルに発展することがあります。
こうした事態を避けるためには、元気なうちに行う「終活」での準備がカギを握ります。
自身の意思を明確に残し、家族間での認識を統一しておくことで、将来のリスクを大幅に減らすことができるのです。
生前の意思表示(エンディングノートや遺言書)の活用
後見人とのトラブルや親族間の争いを防ぐためには、本人の意思が「見える化」されていることが何より重要です。
そこで活用したいのが、エンディングノートや遺言書です。
成年後見制度はあくまで「生きている間の支援」ですが、本人がどのような生活や医療・介護を望んでいるかが不明確だと、後見人も判断に迷い、家族との摩擦が生じやすくなります。
エンディングノートに「どの施設に入りたいか」「延命治療はどうしたいか」を記しておくことで、後見人はその意思を尊重した活動がしやすくなります。
また、死後の財産承継については遺言書で指定しておくことで、制度利用終了後の相続トラブルも未然に防げるでしょう。
生前の管理と死後の承継、セットで意思表示を行いましょう。
【エンディングノートとは?】エンディングノートにはいつ何を書けばいいのか
家族間での介護・財産の話し合いの重要性
制度利用において最も多いトラブルの原因の一つが、家族間のコミュニケーション不足です。
「長男が勝手に手続きを進めた」「親の預金がどれくらいあるか誰も知らない」といった状況は、不信感の種になります。
これを防ぐためには、親が元気なうちに家族会議を開き、介護の方針や財産管理について話し合っておくことが不可欠です。
「誰がキーパーソンになるのか」「もし認知症になったら誰に管理を任せたいか」を共有しておけば、いざという時にスムーズに任意後見契約へ移行したり、納得して法定後見の申し立てを行ったりできます。
話しにくいテーマこそ、早めにオープンに話し合うことが、結果として家族の絆を守ることにつながります。
親の終活はいつから始める?話しづらいテーマを上手に進める方法
まとめ
成年後見人の選び方や種類を理解することは、自分らしい老後を守り、家族の負担を減らすための重要なステップです。
元気なうちに契約できる「任意後見」と、判断能力低下後の「法定後見」の違いを把握し、親族に任せるか専門家に依頼するかを、資産状況や家族関係に合わせて検討しましょう。
また、エンディングノートなどを用いて事前に意思を表示しておくことが、将来のトラブル回避につながります。
後見制度の利用には費用がかかるため、事前の資金計画も欠かせません。
預貯金だけでなく、保険や互助会の積立制度などをうまく活用して備えることが大切です。
特に互助会は、葬儀費用の負担軽減だけでなく、終活全般の相談先としても頼りになります。
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