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【エンディングノートとは?】エンディングノートにはいつ何を書けばいいのか

記事公開日:2022.05.24/最終更新日:2024.09.19

読了予測:約14分

人生の終盤に自分のこれまでを総括し、「家族へ伝えておくことをまとめたもの」がエンディングノートです。

 

エンディングノートは、近年の終活ブームで一般に広く認知されるようになりました。

 

多くの出版社などから発行されているエンディングノートに従いながらまとめていくことで、「自分の財産」や「人間関係」のこと、「医療や介護」のこと、そして亡くなった後の「葬儀やお墓」のこと等の情報や希望を残しておくことができます。

 

エンディングノートを書くことによって、残った家族の負担を軽減することができ、家族間の争いを防ぐことができるといったメリットがあります。

 

また、エンディングノートにこれまでの人生を整理しまとめていくことで、スムーズに終活を進めることができるので、終活を始めるにはまずエンディングノートを書いていくことがおすすめです。

 

エンディングノートは、死後のことだけでなく、自分が今後やりたいことや、こうして生きていきたいことなどを考える機会となることから、残りの人生を充実させるためにも役立つことになります。

 

エンディングノートは1回記載して終わりではなく、書いた後も定期的に見直し、変わったことがあれば書き直していきます。

 

書いたものは、なくしたりどこに行ったか分からなくなったりしないように、しっかりと保管し家族には保管場所が分かるように伝えておくことで、いざというときに活用できます。

 

エンディングノートとは

エンディングノートとは、どのようなもので、いつから広まったのかを詳しくご紹介していきます。

 

「人生100年時代」といわれるように、老後の期間が長くなりました。

 

エンディングノートは、老後期間に自分の人生を振り返り、これまでのことをまとめながら、残りの人生をどのように過ごすか、そして自分の死後どのようにしてほしいかを記すノートです。

 

市販されているものは、記載する項目の欄がノート内に用意されているため、利用者はノートの項目に従って記述していくことで、必要な記録や情報、想いなどがまとめられます。

 

 

エンディングノートはいつから広まったのか

 

エンディングノートという言葉が世に知られるようになったのは1991年のことです。

 

葬儀の返礼品などを扱う「セキセー」の創業者石原氏が制作した、
『マイエンディング私の準備ノート』と『lfご家族のための準備ノート』が人気となり、計5万部が発行されました。

 

その後、2010年に文具メーカーのコクヨが『もしもの時に役立つノート』を発売。

 

3年間で40万部の大ヒットとなったことで、エンディングノートが大きく世に知れ渡ることになりました。

 

現在では、多くの出版社や文具メーカーが発行している他、高齢者向け企業や自治体などがサービスとして無料で提供しているところもあります。

 

 

エンディングノートには何を書けばいいのか

ここでは、エンディングノートにどういったことを書いていけばいいのかを解説していきます。

 

エンディングノートには、これを書かなければならないといった決まりはありませんが、「書いておくと役に立つ項目」をご紹介します。

 

自分のこと

自分の基本的な情報を記載しておくことで、何かあったときに探し回る必要がなく家族の負担を減らすことができます。

 

また、自分のこれまでの人生を振り返ることで、自分自身を見つめることができ、「本当に好きなこと」、「これからやりたいことが見えてくる」かもしれません。

 

  • 【 エンディングノートの記載項目例 】
  • 生年月日
  • 本籍地
  • 血液型
  • 家族関係
  • 学歴、職歴、資格
  • マイナンバー、運転免許証番号、健康保険証番号
  • かんたんな自分史
  • 好きな言葉
  • 友人関係
  • 趣味

 

財産のこと

家族であっても、財産のことは詳しく聞きにくいので、知らないケースが多いでしょう。

 

財産がどこにどのぐらいあって、書類はどこに保管されているかを残しておくと、家族にとって対応しやすくなります。

 

また財産の記録とともにローンなどの情報も併せて記載しておくといいでしょう。

 

  • 【 エンディングノートの記載項目例 】
  • 預貯金
  • 自宅にある現金
  • 不動産
  • 有価証
  • 保険
  • 年金
  • 自動車
  • 貴金属
  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • その他借金

 

医療、介護のこと

自分で判断ができない状態になったときに、延命措置のことや、介護の対応、費用のことなどをどうするのかを記しておくと、家族の負担を軽減することができます。

 

その他、持病のこと、かかりつけ医のことなども記入しておくと役に立つでしょう。

 

家族、親せきのこと

家族に対する想いをそれぞれ残しておくと、それを見たときに気持ちが伝わります。

 

親せきについても、連絡の必要があっても探さないと分からないケースも多く大変です。

 

「連絡先などがまとめてある」と、いざというときに役に立ちます。

 

友人、知人、関係者のこと

親しい友人や知人への感謝の気持ちを記しておくといいでしょう。

 

また「仕事や地域でつながりがある関係者の連絡先などもリストにしておく」ことをおすすめします。

 

葬儀、お墓のこと

時代の流れとともに葬儀の形式が以前とは変わってきています。

 

家族で死後のことを話し合うのは難しいケースも多いので、自分の希望の葬儀お墓のスタイルについて記しておくと家族も対応しやすくなります。

 

  • 【 エンディングノートの記載項目例 】
  • 信仰する宗教
  • 葬儀の形式
  • お墓について

 

相続のこと

自分の死後、家族間で揉めることがないように、相続について希望があれば残しておきましょう。遺言書があるのであれば、その保管場所の記述も入れておくといいでしょう。

 

エンディングノートには「法的効力がないので、相続についてしっかり定めておきたい方は、法的な書式に則った遺言書の作成をおすすめします。

 

ペットのこと

一人暮らしの場合などでは、ペットが残された場合の世話を誰がするのか、決めておかなければなりません。

 

ペットの好き嫌いや世話をする際の注意事項、かかりつけの病院などの情報を残しておくといいでしょう。

 

PCやスマホなどデジタルデータのこと

現代ではほとんどの方がスマートフォンやパソコンに情報を集めています。

 

写真データなども多く残っているケースが多いので、その場所処分方法を記載しておきましょう。

 

サブスクリプション契約をしている場合は、その連絡先などもリスト化しておくといいでしょう。

 

連絡先

家族や親せき、友人、知人、関係者の他に、連絡する必要がある連絡先をリストにしておきましょう。

 

特に一人暮らしをしていた場合は、連絡先を探すのが大変な作業になりますので、まとめておくことをおすすめします。

 

メッセージ

家族や友人、世話になった人などへの感謝のメッセージを記しておきましょう。

 

自分の人生を振り返りながら、これまでの想いを込めて文章にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

エンディングノートはいつ書けばいいのか

エンディングノートはいつから書き始めるといいのでしょうか。

 

記載する項目が多岐に渡り情報量も多くなることを考えておいたほうがいいでしょう。

 

いつでも思いついた時

エンディングノートの重要性はわかっていても、いざ書くとなるといつから書けばいいのか迷うところです。

 

早く書き始めても、その後状況が変わる可能性があるかもしれません。

 

しかし、そういっていると、いつまでも書き始められません。

 

「自分がいつ亡くなるのか、誰もわかりません。」

 

書いた後でも訂正することもOKですので、思いついたらその時に書き始めるといいでしょう。

 

早めに書く方がいい

エンディングノートは、自分の人生の振り返りでもありますので、記載内容は多岐に渡り、情報量も非常に多くなります。

 

記載するに当たって調べなければならないことが出てくる可能性もあります。

 

そう考えると、エンディングノートは、「身体が元気で頭がしっかりしているうちに書いておくべき」です。

 

身体が動かなくなってからでは、大変な作業になります。

 

 

エンディングノートを書くメリット

エンディングノートを書いて残しておくことは、多くのメリットがあります。

 

そうした「メリットのうち代表的なものを解説」していきましょう。

 

終活を進めやすい

これから終活をしていくにあたって、まずエンディングノートを書いていくとその後が進めやすくなります。

 

エンディングノートを書いていくと、自然とこれまでの人生を振り返り整理していくことになりますので、大切なもの残して置くべきものが分けられてきます。

 

それらをまとめていけば、それで終活を進めていくことにもなります。

 

家族の負担を軽くできる

いくら仲のいい家族であっても、財産のことや死後のことなどは、詳しく聞けないものです。親の死後、どこに何が保管されているのかがわからず、手続きが大変だったという話はよく聞かれます。

 

また高齢で意思表示が難しくなると、家族が延命措置をどうするかといった重大な決定をしなければなりません。

 

事前に本人の希望が分かっていれば、家族が負担を感じることが少なくなります。

 

家族や友人に想いを伝えられる

エンディングノートを書いていく際には、自分の人生を振り返り、人間関係を改めて確認していくことになります。

 

その時には、これまであまり伝えることができなかった、家族や友人、お世話になった人たちへの感謝の想いなどを記しておけば、そうした人たちに伝えることができます。

 

今後の人生設計ができる

エンディングノートは、人生の終末や死後のためだけに書くものではありません。

 

これまでを振り返ることで、何が大切で、「今後どうしていきたいかを見つめ直す機会」でもあります。

 

エンディングノートを書くことで、今後の人生設計に活かしていくことができます。

 

 

どのようなエンディングノートを選べばいいのか

近年では多くの種類のエンディングノートが入手できるようになりました。

 

これからエンディングノートを書いていこうと考えている場合、どうやって選べばいいでしょうか。

 

市販のエンディングノート

2010年にコクヨが発売した『もしもの時に役立つノート』が3年間で40万部というヒット商品になったことで、多くの文具メーカー、出版社がエンディングノートを発行するようになりました。

 

現在では、1000円から2000円程度のものが多く発売されています。

 

参入する企業が多くなったことで差別化が必要になり、おひとり様向けや相続で揉めないことを目的とするものなど、様々な目的に合わせたエンディングノートも発行されるようになりました。

 

基本的にページ構成や記入項目に大きな違いはないので、サイズ紙質レイアウトなどを見て自分が書きやすいものを選ぶといいでしょう。

 

記載後、長く保管することを考えて、長持ちするしっかりしたつくりのエンディングノートがおすすめです。

 

【 無料のエンディングノート 】

 

介護施設葬儀社などでは、サービスとして「無料のエンディングノートを配る」ことが多くなりました。

 

これからエンディングノートを書いてみようかという方には、こうした無料のエンディングノートを入手して、書くべきことを考えてみるといいでしょう。

 

エンディングノートは一回書いて終わりではないので、無料のエンディングノートを使って整理をはじめるというのもいいかもしれません。

 

 

エンディングノートを書くコツとは

いざエンディングノートを書いていこうと思い立って書き始めたのに、書くことが多いため億劫になって途中で挫折したという方もいるかもしれません。

 

エンディングノートを書くには、どのようなコツがあるでしょうか。

 

完璧に書こうとしない

書き始めの頃は、張り切って詳しく書きこんでいくのですが、なかなかそのペースで書き続けるのは難しいかもしれません。

 

まずは、肩の力を抜いて、気軽に書いていくといいでしょう。

 

形式にこだわらない

エンディングノートは記録を残しておく備忘録の側面が大きく、人に読んでもらうことを意識してしっかりした形式にしようということはあまり考えなくていいでしょう。

 

形式もこうしなければならないというものはなく、「自由に書いてOK」ですので、箇条書きなどメモのような形でも十分です。

 

まずは、どんどん書いていきましょう。

 

できるところから進める

人によっては、全部の項目をきっちり埋めないと気持ちが悪いということがあるかもしれませんが、あまり完璧に書くことにこだわると息切れしてしまいます。

 

すぐに書けるところから先にどんどん書いていくとペースが上がっていくので、書きやすいでしょう。多少空欄があっても気にせず、まずは「書けるところを書いていく」のがポイントです。

 

早めに書き始める

エンディングノートに記載する項目は多岐に渡りますので、それなりにエネルギーが必要です。また調べないとわからないこともあるので、できれば心身ともに元気なうちに書き始めることをおすすめします。

 

自分はまだ早いと思っていても、いつどうなるかわかりません。

 

若いうちであれば、それほど時間をかけずに書き込むことができます。

その後の変化があれば、その都度書き直せばいいことです。

 

高齢になるとよけいに億劫になり、やらなくなってしまう可能性が高くなります。

書いてみようか」と思ったら、その時すぐに書き始めるほうがいいでしょう。

 

 

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートのように家族に残すものとしては、遺言書が一般的に知られています。

 

エンディングノートと「遺言書は何が違うのか」、「遺言書にはどのような形式が必要なのか」について解説していきます。

 

法的な違い

エンディングノートは何を書くか、どんな形式で書くかは、「全て書き手の自由」です。

 

これに対して遺言書は、遺産相続をどうするのかということを、「法律で定めた形式」で書かなければなりません。

 

エンディングノートに記載されたことは書いた人の希望でしかなく、法的な効力はありませんが、遺言書は、遺産相続という大きな金額の処理方法を記すものであり、法的な強制力を持つことから、法律で定めた形式と手続きに則って作成される必要があるのです。

 

遺言書に遺産相続に関係ないことが書いてあった場合、その内容に法的な効力はありません。

 

遺言書に必要な形式

遺言書として認められる形式としては「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

 

このうち「秘密証書遺言」は実際に利用されることはほぼありません。

 

「自筆遺言書」は自分で規定に従って記載押印すればいいので作成しやすいのですが、定められた法的な形式に沿ったものでなければ無効になる可能性があります。

 

逆に言えば形式に合っていれば、エンディングノートに書かれたものであっても法的な効力を持たせることができます。

 

「公正証書遺言」は、公証人役場に行って公証人に作成してもらうので、無効になることは少ないのですが2人の証人の同行が必要であり、「5000円から数十万円の手数料がかかる」という負担がかかります。

 

 

エンディングノートを書いた後どうすればいいのか

エンディングノートは書いたらそれで終わり、というものではありません。

 

エンディングノートを書いた後にどうすればいいのか、やるべきことを解説します。

 

家族に伝えておく

せっかくエンディングノートを書いたとしても、そのことを家族が誰も知らなかったとしたら意味がありません。

 

エンディングノートは、家族の負担を軽減し家族への想いを記したものですので、書いたものをすぐに見せる必要はありませんが、その存在はしっかりと伝えておきましょう。

 

どこに保管されているかもわかるようにしておくといいでしょう。

 

ときどき見直しをする

ひととおり書き込んだ後も、生活を続けていくうちに記載している内容と変わってくるところがいくつか出てくるでしょう。

 

エンディングノートは、書いた後もたまに見直しをして、違っているところ直したいところは「書き直しても問題ありません」。

 

自分の誕生日など、年に1回程度、定期的に見直しをすることをおすすめします。

 

しっかり保管しておく

エンディングノートの記載内容には、多くの個人情報財産に関するものが含まれています。

 

紛失したり、他人の手に渡ってしまったりすれば、大きな問題になる可能性があります。

 

「しっかりと保管しておきましょう。」

 

 

まとめ

エンディングノートが初めて世に出て30年程ですが、終活の広まりとともに、すっかり世の中に定着したように思われます。

 

自分の人生を振り返り、家族への想いを伝え、家族の負担を軽減する役割を果たすエンディングノートは、非常に役に立つものです。

 

いつ自分の人生の終幕を迎えるのかはわかりませんが、誰もがいつかは死を迎えることになります。

 

その時に備えておくことで、よけいな不安がなくなり、残りの人生を充実させてくれるでしょう。