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僧侶の派遣「お坊さん便」がAmazonから撤退というニュースが。でも、そもそも僧侶の派遣は商行為としてありなんでしょうか?

2019年11月11日

ちょっと気になる記事を見つけました。それが『「お坊さん便」がAmazonから撤退』です。「お坊さん便」とは、僧侶を葬儀や法事に派遣するサービスです。何があったのか、少し調べてみることにしました。

「お坊さん便」は僧侶派遣のフロントランナー

 まず「お坊さん便」について簡単にご紹介します。これは、2009年に設立された㈱よりそう(設立時の社名㈱みんれび)が運営しているものです。同社は、創業時は葬儀に関する情報をネットで提供する事業がメインでしたが、2013年に僧侶の派遣サービスである「お坊さん便」を開始。2015年からアマゾンマーケットプレイスに出品しています。現在何らかの形で僧侶の派遣を手掛けているのは、10社ほどあるようですが、派遣実績はNo1で特にここ数年かなり急激な右肩上がりだったようです。「坊さん便」に限らず僧侶派遣サービスの最大の特徴は、定額制をとっているということです。つまり多くの人が悩んでしまう、読経や戒名に対する『お布施』の金額が見える化されていることにあります。ちなみに「お坊さん便」の場合は、マーケットプレイスのときは、読経が35,000円、戒名が20,000円だったようですね。マーケットプレイスからは撤退しましたが、よりそうは自社サイトに絞って運用をし始めています。そこを見ると料金が次のよう記載されていました。

火葬式:火葬炉前読経+戒名 55,000円

一日葬:告別式読経+火葬炉前読経+初七日読経+戒名 85,000円

 葬儀に関する悩みの中に、『お布施の相場が分からない』という質問が多かったことを考えると、料金が明確になっていることからニーズが大きかったのだと思います。また、都市への人口流入が増えて、菩提寺を持たない人が増えていることも、こういったサービスが登場してきた背景にあるのでしょう。

本来「お布施」は対価ではない

 さて、ここで大きな問題が浮上してきます。このサイトでも以前記事にしていますが、「読経」「戒名の授与」はサービスではなく、宗教的な行為です。つまり「お布施」は僧侶の読経や戒名に対する対価ではありません。財施である「お布施」は、僧侶を介して法施、無畏施を施してくれたお寺のご本尊(仏様)に対して金銭などの財を施すことで自分の罪を消してもらう、つまり贖罪をすることにあります。そのため金額も決められているものではありません。これが本来の「お布施」の意味です。しかし「お坊さん便」は、僧侶派遣サービスであることを謳い、その対価として定額費用を設定しています。さらに、消費税も発生している。サービスの対価であるはずのない「お布施」に消費税がかかる?なんとも不思議な現象が生じてしまっています。

 「お坊さん便」がリリースされたときから、日本仏教界の総本山、全日本仏教会は、宗教行為を定額の商品として販売することに異議を唱え、サービス中止を要請していました。現㈱よりそうと、仏教会は何度か話し合いの場を持ち、Amazonからの撤退をよりそうが決定したということのようです。

 

 「お坊さん便」に登録している僧侶の数は多いようです。「お布施」本来の意味を逸脱する行為ですから登録している僧侶は、仏教界から批判を受けているようですが、檀家離れ、仏教離れが進む中で、僧侶派遣でもやらないと生活が立ち行かないという僧侶が実に多いのだそうです。仏教会と話し合いの結果、マーケットプレイスから撤退したとはいえ、自社サイトでの展開は続けているわけですから、よりそうも大きな痛手ではないかもしれません。インターネットサービスは、リアルで行われているもの全てを提供できる時代になりつつあります。そこでは、便利・簡単、リーズナブル、という消費者が望むものを充たすことができます。しかし、いくら消費者のニーズに合致しているからといって「お布施」のような宗教的な行為まで商行為としてしまうことには、大きな疑問を感じずにはいられません。もっとも、これは、檀家離れ、仏教離れを引き起こし、持続可能な仏教を模索してこなかった仏教界にこそ真の責任があるのかもしれませんが。今回のような事象も1つのきっかけに、仏教界自らが未来の仏教を考えてくれることを期待したいです。