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通夜の歴史を振り返ることで、お通夜と告別式のどちらに参列すべきかが、見えてくる

2020年02月28日

縁ある人の訃報が届いたとき、通夜に行けば良いのか、告別式に行けば良いのか、それとも両方に参列すれば良いのか、迷う人もいるでしょう。通夜の歴史を紐解きながら、一緒に考えてみましょう。

明治大正期の通夜とは

古来、人は亡くなってすぐに死者として扱われるわけではありませんでした。医療も未発達の時代では、本当に死んでいるのか仮死状態なのかの判断がつかず、まれに生き返ることもあったからです。そこでお棺に納める前に一夜布団にそのまま横たえておくことが慣習となっていました。そして故人に寄り添い一晩過ごすことが通夜(夜を通す)となったわけです。明治大正期は「丸通夜」と言われて、夜通し僧侶による読経が行われ、故人と縁が深い参列者は読経の合間に供される料理や酒を口にしながら故人を偲んだといわれています。そして故人との縁がかなり深い人以外は途中で退席したのだとか。これが「半通夜」の始まりです。

通夜の翌日になると、納棺した遺体を火葬に付し、寺院や墓地に赴き埋葬します。この一連の動きの中では随所に僧侶による読経が行われ、参列者は葬列という行列を組んで埋葬までをともにします。これが葬儀式の原型といわれています。

昭和に入ると半通夜が一般的となる

『丸通夜は、夜通しで酒食も伴うため、飲酒で醜態を晒す人も多かったことなどから「戒める」』という内容が『葬儀の心得』という1933(昭和8)年発行の書籍に記されています。社会全体として、丸通夜から半通夜への移行が始まったと考えられます。さらに戦時中は、戦時体制の一貫として、通夜に厳粛性が要求され半通夜が推奨、ほぼ強制ですね、されました。また、昭和に入ると、文献の中に通夜に一般の会葬者が参列し始めていることを示す文章が登場してきます。その理由までは分かりかねるのですが昭和期には、通夜が葬儀の前日に時間限定の弔問が中心の儀式として定着し始めたことになります。

通夜の告別式化

戦後になると、ほぼ現在同様の、故人が亡くなった日ないしはその翌日に通夜を行い、その次の日に葬儀式・告別式を行うというスタイルが定着してきました。なお、葬儀式は故人を弔う宗教的な儀式で、告別式は故人に別れを告げる儀式と本来は別の儀式です。かつては別々に行われることが多かったようですが、現代は連続した1つの儀式として、あるいはまとめて行われるようになっています。昭和以降は一般の人も通夜に参列するようになってきてはいましたが、まだ明治大正期の名残か通夜に参列するのは、多くの場合は親族と故人とごく親しかった人たちで、一般の弔問客は翌日の告別式という流れが一般的でした。それが大きく変わったのは、通夜を自宅ではなく葬儀社が運営する葬儀場で行うようになったからかもしれません。戦後の高度成長期には、地方から都市への人口流入と、地域における地縁の希薄化が進みます。自宅で親族や近隣の助けを借りて通夜を行うのではなく、葬儀・告別式と一緒に葬儀社に依頼をする人が増え、通夜は通夜式とも呼ばれるようになり、完全に弔問儀式の1つとして、通夜の告別式化が進みました。

通夜と告別式が同一化していくことで、大きく2つの流れが生まれました。1つは通夜の縮小と廃止です。「ワンデイセレモニー」などと表現される、通夜を行わない1日だけの葬儀が増えてきています。さらに、直葬といった葬儀そのものを行わないケースも誕生しています。

もう1つは告別式に参列せずに通夜だけで故人に別れを告げることが許容されるようになったことです。通夜と告別式の役割、意味合いに違いが無くなったのですから、参列者の都合でどちらを選択しても喪家に対して失礼にあたらない、という考え方が定着したのですね。

通夜、告別式、どちらに参列しても失礼にはならないが…

時代とともに変遷し定着してきた現代の通夜の姿を考えた場合に、故人を弔い、遺族を慰め労う想い、という最も大切なことさえ失うことがなければ、自身の都合によってどちらかの一方に参列することで構わないと筆者は考えています。

ただし、通夜の歴史を振り返った場合は、故人や喪家との関係性が深ければ親族以外でも通夜と葬儀の両方に参列するのが望ましいでしょう。

 

以前の通夜は「急を聞いて駆けつけた」という意味合いだったので、平服に黒い喪章をつければ失礼にあたりませんでした。しかし現在の通夜は告別式と同義と考えて、服装は喪服(ブラックフォーマル)にするのが無難です。また、通夜と告別式の両方に参列する場合の香典は、どちらか片方だけに持参するようにしましょう。通夜と告別式のどちらかでなければならないというマナーは、今では存在しません。ただし2回渡すと「重なる」という禁忌行為となってしまうので注意が必要です。