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合同葬 とはどのような葬儀なのか

記事公開日:2020.10.26/最終更新日:2023.04.04

2020年10月17日に故中曽根康弘元内閣総理大臣の内閣・自民党合同葬が営まれました。この合同葬は、ネット、SND上でさまざまな話題を提供していました。そのことには触れるつもりはありませんが、この機会に合同葬について調べてみることにしましょう。

合同葬にはいくつかの種類がある

合同葬とは、その名のとおり合同で執り行う葬儀のことですが、その合同にもいくつかの意味があります。一般的なものが、葬儀を主催する側の主体が複数である場合です。故中曽根元総理の合同葬は内閣と自民党という組織と組織によるものですが、最も身近なケースは企業や団体(組織)と喪家(個人)による合同葬でしょう。つまり社葬と個人葬の合体版ということですね。なお、主催側が複数の合同葬としてもう1つあげられるのは災害などで多くの人が亡くなり、その喪家となるべき個人の多くが被災しているために葬儀をあげることができない場合です。東日本大震災の後は、東北の各地域で多くの合同葬が営まれました。

主催者ではなく、故人が複数の場合も合同葬と言います。これは警察などごく限られた組織で行われる葬儀です。警察では、殉職者が出た場合に、団体葬としての警察葬が行われますが、1つの事故や事件で複数の警察官が亡くなった場合に合同葬にして全殉職者を弔います。最近では、これも東日本大震災で亡くなった(殉職)警察官の合同葬が営まれています。

一般的な合同葬の特徴

一般的な企業などの組織と個人の合同葬の特徴は次のとおりです。

① 喪主(喪家)と施主(企業など)が異なる

② 参列者は、喪家と企業(団体)双方の立場に人たちからなる

③ 遺族の費用負担は個人葬よりも少なくなる

④ 社葬(団体葬)の色が濃くなるため宗教色が強くない傾向にある

合同葬を営む場合の留意点

組織と個人である喪家が協力しなければいけないのですから、かなり大変なことが予想されます。確かに喪家にとっては、費用負担が少なくなる可能性いうメリットがありますが、次にあげるような留意点が存在するために、組織と個人の合同葬の数は少ないのではないかと思います。故人を組織として弔いたいという場合は、個人葬を密葬ないし一般葬で営み、その後に社葬(団体葬)を改めて行うというケースが一般的でしょう。

【留意点】

① 社葬(団体葬)としての準備期間が少ない  通常の社葬(団体葬)は亡くなった後1カ月以上は間隔をあけて営むものですが、個人葬のタイムテーブルで行う必要があります。そのために限られた時間の中で、組織側と喪家側がコミュニケーションを重ねて意思疎通を図る必要があります。

② 参列者が多数となる  参列者の数は社葬(団体葬)と同様に多数になる可能性が高いです。そのため故人にゆっくり別れを告げることは難しくなります。

③ 施主である葬儀委員長の判断、指示に従う  社葬(団体葬)同様に、施主として組織側の代表者が葬儀委員長として葬儀を取り仕切ることになります。喪家は参列者への挨拶や儀礼的な場面での役割が与えられますが、葬儀の運営に関しては葬儀委員長に従う必要があります。

 

ところで、冒頭にあげた故中曽根総理の合同葬は菅総理大臣が葬儀委員長でした。菅総理は自民党の総裁でもあるので、内閣と自民党2つの組織を代表する施主ということかと思います。この場合は合同葬といっても、いわゆる団体葬です。喪主の任は中曽根家から中曽根弘文氏が担っていましたが、ほかの団体葬などの場合と同様に中曽根家との合同葬ではないという認識を持つことは必要ですね。