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増える 一日葬 は定着していくのだろうか

記事公開日:2020.11.13/最終更新日:2023.04.26

葬儀の規模が縮小傾向という流れはかなり前から続いていて、家族葬や直葬といった小さな葬儀が増えています。小さな葬儀の1つに一日葬という葬儀があります。これは通夜を営まずに、葬儀式と告別式の1日だけで葬儀を終わらせるというものです。会葬者を家族などごく親しい人だけに限定しているわけではないので家族葬とは異なりますが、家族葬同様に近年増加傾向にあった一日葬が、新型コロナ感染症の影響でしょうか今年は増えているという記事を目にします。そこで、今回は一日葬について考えてみたいと思います。

一日葬はどんな葬儀か

一日葬とは一般葬では営む通夜を省略する葬儀です。通夜を営まないだけで、本葬となる葬儀式と告別式は一般葬と変わりありません。ですので、葬儀の流れ自体は一般葬と同様とお考えください。通夜を省略することにどのような意味があるのかといえば、元々は葬儀の簡略化の一環ですので葬儀費用と遺族の身体的な負担軽減に大きな特徴があります。その特徴に加えて、こんにちのコロナ禍においては、三密を極力避けるという新しい生活様式に合致しているということが言えそうです。会葬者を限定しない一般葬では、不特定多数の会葬者が訪れることになるとともに、閉鎖された空間は密になりかねません。さらに会葬者は葬儀会場に辿り着くまでに公共交通機関等を使うことも多く、その意味でも感染リスクを少なからず抱えることになります。2日間にわたって通夜と葬儀を営むのではなく、1日で終わらせることができるのなら、遺族も会葬者もリスクを半分に減らすことができる、ということなのだろうと思います。

一日葬のメリット

上でも記しましたがコロナ禍の中では、遺族、会葬者いずれも感染リスクを減らせるという大きなメリットがあります。それ以外にほかの葬儀と比較した場合の一日葬のメリットとしては、次のようなものをあげることができます。

  • 直葬よりも故人との別れを落ち着いて、ゆっくり行うことができる
  • 家族葬と比べると遺族などに限定されず故人の知人、友人も会葬できる
  • 一般葬と比べると通夜を営まない分費用を抑えることができる
  • 一般葬と比べて日数が半分になるために、遺族、会葬者ともに身体的な負担は半分になる。特に高齢者にとっては大きなメリット

一日葬のデメリット

コロナ禍以前は、一日葬のデメリットとして次のようなものがあげられていました。

  • 菩提寺によっては認められない場合がある
  • 葬儀式、告別式は日中に行う場合が多いため、都合がつかずに会葬できない人が出てくる。通夜があれば、そこで会葬できたものが不可能になるため、後日不満を口にされる可能性がある
  • 通夜がないことで会葬できない人が増えた場合に、後日自宅へ弔問に訪れる人が増えることが予想されるために、遺族は対応におわれかえって精神的にも身体的にも疲労する可能性がある

しかし、これらのデメリットはコロナ禍の中ではそのほとんどが許容されてしまうのではないか、と筆者は考えています。コロナの影響で葬儀や法要が減っているというニュースがあります。オンラインによる葬儀ですら始まっているのですから、寺にとっては1日でも読経をあげる場を確保したいと考えて、今までの儀礼、儀式のあり方にこだわらないかもしれません。そして、会葬自体を控えるという意識が、遺族にも会葬者にも生まれています。故人を弔う気持ちがあっても、葬儀の場で新型コロナに感染して患うことは故人も望まないでしょう。会葬や弔問を遺族が辞退しても、これまでと異なり理解し納得するケースがほとんどではないでしょうか。

 

一日葬には大きなデメリットも存在していましたが、それが無くなってしまったのが現在と言えます。新しい生活様式が定着してしまうと、なかなか元には戻らないと言われます。コロナが収まった後の社会で、通夜と葬儀式、告別式を2日にわたって営むという日本の伝統的な葬儀の形が戻ってくるのでしょうか。ちなみに、葬儀業界全体では、今後も葬儀の規模は縮小していくとの予想が大多数を占めているようですが、なんとか日本の葬儀の伝統の灯は守り抜いてほしいと(葬儀事業者の皆さんだけでなく葬儀を主催する喪家となる皆さんに対しても)願っています。