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檀家制度の大きな課題

2017年09月28日

檀家制度を一言で言うと、国民が特定の寺院を檀那寺とし、檀家としてその寺院に所属することで、寺院に祖先の供養や家の安寧を祈ってもらい、寺院にはお布施を支払うというものです。

檀家制度の歴史

寺院なので仏教ですが、宗教的な意味合いから生まれた制度ではなく、江戸時代の宗教統制(キリスト教の禁止)のために生み出された制度です。江戸時代は全ての国民がどこかの寺院の檀家にならなければいけませんでした。檀家になっていないことは、キリスト教徒とイコールとみなされるからです。選択の余地のない檀家制度の元で、寺院は檀家からのお布施で潤います。幕府も積極的に寺院を優遇し、幕法において檀家の責務として、檀那寺への参拝、年忌法要、寺院への付け届けまでも義務として明文化しました。

※「年忌法要」も檀家制度により慣習化されたものだったんですね。

この制度は寺院経営を安定化しました。しかし、この制度のため寺院の宗教的なポジションが薄まり、現在にまで続く「葬式仏教」の道を歩みだしたことになります。

檀家制度の崩壊

明治維新以降戦前までは国家神道が国教となり、宗教としての仏教界の力は弱まります。しかし敗戦により神道が国教でなくなったことで、仏教界は再び浮上の機会を得るのですが、仏教はすでに国民にとり宗教的な信仰対象の存在ではなくなっていました。檀家制度は神道が国教だった時代も維持できていました。葬儀や法要・法事でのお祈りや講話、戒名の付与やお墓の維持管理などで、宗教統制がなくなった時代になっても国民にとり必要な存在だったのです。寺院にとって改めて信仰の対象という存在になる必要性は認められなかったのですね。葬儀や法要・法事のときだけ必要な存在で構わない、この仏教界のスタンスが国民の無宗教化を招いたともいえます。

高度成長期以降の都市部への人口集中は、地方の過疎化を招きます。これまで全国各地の寺院経営を支えてきた檀家は必然的に減少していきます。また自ら信仰の対象となることを捨て去った寺院には、葬儀の多様化やダウンサイズ化が進む現代で新たな檀家(支持者)を得る術は持ちえません。檀家であることの意義を失った国民の離檀も始まり、檀家制度は崩壊の危機を迎えています。

檀家制度崩壊の影響

宗教をビジネスに置き換えて考えることは不適当だと思いますが、それでも、恵まれた環境にあぐらをかいて変革してこなかった、時代の流れを読まなかった、国民の共感を得る努力をしなかった仏教界、寺院が廃れていくのは自然の摂理かもしれません。しかし檀家制度の崩壊により大きな影響が及ぶことが1つあります。それは建物としての寺院という文化財の維持が困難になる、ということです。全国各地の寺院には、歴史的な建造物も多数あります。また建造物自体が地域の歴史を遺す存在であるだけでなく、寺院が貴重な文献などを保管する場でもあります。檀家制度の崩壊は寺院経営の崩壊となります。現在でも地方では廃寺となり、朽ちたまま放置されている寺院が生まれ続けています。今後25年で地方の寺院の3割が消滅するという予測データもあります。

1人ひとりの国民ができることには限りがあり、ここまでくると寺院の努力で何とかなるものでもありません。おそらく朽ち続ける寺院を、ただ見つめるだけになるでしょう。誠に残念ですが、厳しい現実が仏教界を待っています。

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