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お葬式には白い菊が多いのはなぜ?

2018年10月29日

お葬式の祭壇で多く見られる白い菊。なぜ白い菊なのか考えたことはありますか?理由があるのでしょうか。白い菊以外の花を飾ったら供養にならないのでしょうか。

菊が選ばれる理由

菊は日本の国の花とされていますが、実は公式に定められているわけではありません。しかし広辞苑には「国花 桜または菊」と記されています。日本国民が最も愛している花の1つであり、皇室の紋章にも使われている、日本を代表する花であることには間違いありません。でもだからといって弔事に使う理由にはならない気がします。ましてやなぜ白菊なのか。調べてみると諸説あるようです。

◯ 菊は皇室の紋章にも使われているので格調高いから

◯ 菊の花の香りがお香の香りに似ているから

◯ 菊の花を食べると長寿になるという逸話があるから

◯ 白菊を神式の献花にしている地方があり、それが全国に広まった

◯ 白は穢れがないから

などなど…

でも正直なところ全部「後付け」のような気がします。

花言葉は無関係

花には花言葉があります。菊は色毎に花言葉があり、白菊の花言葉は「真実」です。花言葉を理由にしている人も若干見受けられましたが、「真実」だから弔事に使う理由は分かりませんし、そもそも花言葉は西欧から伝来した文化ですので、花言葉と白菊を弔事に使うことに関連性はなさそうです。

実はヨーロッパ伝来

日本では古来より樒(シキミ)という花が仏前の供養花として用いられていました。少なくとも江戸時代までは白菊は供養に使われていなかったようです。白菊が供養の花として広まり出した明確な時期は分かりません。しかし白菊を弔事で使用し始めたのはヨーロッパが先という話があります。19世紀のフランスでお墓参りには白菊という慣習が広まり、やがてヨーロッパ各地に、そしてその慣習が日本にも伝わったという説です。日本のお葬式の歴史を考えてみましょう。江戸時代までのお葬式は、ごく身近な縁者と近隣地域の住人だけが会葬し、お葬式の運営は隣組が担っています。その頃は大掛かりな祭壇などはなく、大量の供養の花が飾られることもなかったのだと思います。江戸時代末期近くから、葬儀業を営む商人が現れ始めます。明治になると特に東京では葬儀業が盛んになり、明治維新東京風俗史という書物に『殊に昔の棺屋は発達して葬儀社となり、葬儀に入用なる一切の器具を始め、人夫に至るまでをも受負い、輿、喪服、造花、放鳥籠などの賃貸をもなせば、葬儀を盛にし易く』とあります。明治維新は西洋文化を積極的に取り入れた時期。おそらくこの頃にヨーロッパの墓前に白菊を供える文化が伝わり、全国に広まっていったのではないでしょうか。

供える花も時代とともに変わる

最近のお葬式では、菊でも白以外の色や菊以外の花を見かけることが増えてきました。好みの多様化が進んだだけでなく、その多様化に対応できる生産と流通に発展してきたからでしょう。そう考えると、1つの真実が見えてきます。生産と流通が現在のような多様化に対応できない時代には、1つの品種を大量に生産し流通させることが経済性にかなっていました。つまり弔事の白い菊という定番をつくることで一定の需要が生まれ、供給する側は無駄なく経済的な生産ができたのです。元々はヨーロパの文化なのに、それをもっともらしくこじつけて広めていった。それが最大の理由のような気がしてきました。

 

結論は、白菊を弔事に選ばなければいけない理由は何もないことになります。故人の好きな花、遺族が故人を思って選んだ花で弔うのが一番ですね。以前見たテレビドラマで、お通夜の席では白菊に飾られていた祭壇でしたが、故人が実は赤いバラが好きだったという話を聞いた葬儀社のスタッフが赤いバラを買い集めてお葬式の祭壇は赤いバラで埋め尽くされたというシーンがありました。とても印象的でした。