葬儀の備えとして注目される「葬儀保険」ですが、実際には加入を見送る人も少なくありません。
その背景には、掛け捨てであることや加入条件の制約といった理由があります。
一方で、預貯金や互助会の積立といった方法を選び、必要な費用を自分なりに準備する人も増えているのが現状です。
そこで本記事では、葬儀保険が不要とされる「主な理由」と、代わりに選ばれている「終活の方法」について分かりやすく解説します。
自分に合った備え方を考えるきっかけにしてみてください。
なぜ「葬儀保険はいらない」と言われるのか?
葬儀保険が「不要」と言われるのは、支払う金額に比べて受け取れる保障が少なく、結果として損をしやすいと考えられているためです。
掛け捨て型のため解約しても払い込んだ分が戻らず、長く加入するほど総支払額が保険金額を上回ることも珍しくありません。
特に高齢になってから加入すると、短期間で高額の保険料を支払うことになり、負担感が強まります。
また、葬儀保険は少額短期保険に分類され、生命保険のような解約返戻金制度がないため、積み立てのようなメリットは期待できません。
さらに、保険会社が経営不安に陥った場合、公的な補償制度が適用されないケースもあり、契約者にとってリスクが残ります。
こうした事情を踏まえると、葬儀保険は必ずしも最適な準備方法ではないと考える人が多いのです。
葬儀保険が不要とされる主な理由
葬儀保険が「いらない」と言われる背景には、制度そのものが持つ特徴が大きく関わっています。
特に、掛け捨て型であるために損をする可能性があることや、年齢や健康状態によって加入できない場合があることは、多くの人が不安に感じる点です。
ここでは、それぞれの「理由」について詳しく解説します。
掛け捨てで損をする可能性
葬儀保険は掛け捨て型が主流で、支払った保険料が積み立てられるわけではありません。
そのため、解約をしても払い込んだ分は戻らず、続けるほど支払い総額が膨らみ、受け取れる金額を超えてしまうケースも少なくないのです。
例えば、長期間保険料を払い続けた結果、保障額が100万円程度であっても、総支払額がそれ以上になってしまうことがあります。
特に高齢から加入する場合、月々の負担が大きい上に、数年で総支払額が保障を上回る「元本割れ」に陥るリスクが高まります。
保険は「安心のための備え」であるはずですが、掛け捨て型の場合は必ずしも合理的な選択とはいえないのです。
加入制限や持病で加入できない場合がある
もう一つの理由として、加入制限の存在が挙げられます。
葬儀保険は生命保険よりも審査が緩やかとされますが、それでも健康状態や年齢によって制限を受けることがあります。
特に心臓病やがんなどの持病がある人は、加入そのものを断られる場合や、保険料が割高になるケースもあります。
さらに、高齢になってから加入を検討すると、条件が厳しくなったり、加入年齢の上限に達してしまい契約できないといった状況も生じるでしょう。
結果として「入りたい人が入れない」という矛盾があり、万人にとって有効な手段ではないのです。
このような事情から、葬儀保険は万能ではなく「不要」と考える人が一定数います。
葬儀保険が必要なケースとは?
葬儀保険は誰にとっても必須ではありませんが、人によっては安心の備えになります。
代表的なのは、貯蓄が少なく突然の出費に対応できない場合です。
葬儀は急に必要になるため、事前に準備があることで家族の負担を軽くし、心の余裕を持てます。
また、年齢や持病のため一般の生命保険に入りにくい方にとっても、葬儀保険は有効です。
診断書を求めない商品や加入条件が緩やかなプランがあるため、他の保険を利用できない人でも選びやすい仕組みになっています。
さらに、単身世帯や頼れる親族が少ない人の場合、費用を誰かに任せるのは難しいものです。
そうしたときに備えておけば、周囲に迷惑をかけずにすむ安心感を得られます。
このように、資金面や健康面に不安がある人、また一人で終活を進める人にとっては、葬儀保険が大切な支えとなるのです。
葬儀保険の代わりに選ばれる方法
葬儀保険のデメリットを考慮し、代わりに利用される準備方法としては「預貯金による備え」と「互助会の積立プラン」が代表的です。
いずれも仕組みがシンプルで分かりやすく、家族にとっても安心感のある方法として選ばれています。
以下で、それぞれの特徴を解説します。
預貯金
葬儀費用を預貯金でまかなう方法は、最も自由度が高い備え方です。
金融機関に預けた資金は本人の意思で用途を決められるため、葬儀以外の出費にも柔軟に対応できます。
さらに、エンディングノートなどに資金の所在や使用方法を明記しておけば、家族が迷わず手続きを進められる点も大きな安心材料です。
ただし、名義人が亡くなると口座は凍結されるため、仮払い制度の利用や事前に必要額を取り分けておく工夫も欠かせません。
こうした備えをしておくことで、残された家族の負担を軽減できます。
互助会の積立プラン
互助会は、毎月一定額を積み立てておき、葬儀や冠婚葬祭に利用できる仕組みです。
経済産業省の認可を受けた制度であるため信頼性が高く、必要になったときには積立途中でも差額を支払えばすぐに利用できます。
さらに、会員価格で葬儀サービスを受けられるため費用を抑えやすく、家族にとっても安心できる仕組みです。
加えて、結婚式や法要など幅広い場面に活用できる場合もあり、人生のさまざまなイベントに役立つ柔軟性も魅力です。
積立を通じて無理のない準備ができる点は、多くの人に選ばれる理由となっています。
互助会で備えるメリット
互助会は、毎月の積立によって将来の葬儀や冠婚葬祭に備える制度です。
(参考:【互助会とは?】互助会の仕組みや選び方、加入方法について解説 | 終活スタイル)
大きな特徴は「費用が分かりやすいこと」と「会員特典が受けられること」にあり、安心して終活を進めたい人に向いている選択肢といえるでしょう。
ここでは、それぞれのメリットを詳しく見ていきます。
費用明確
互助会の最大のメリットの一つは、費用があらかじめ分かりやすく設定されている点です。
積立金額や提供されるサービス内容が契約時に決められているため、後から高額な追加費用が発生する心配が少なくなります。
葬儀は急に必要となることが多く、その時に大きな現金を用意するのは負担になりがちです。
しかし、互助会に加入しておけば毎月少額ずつ積み立てていくだけで、いざという時に必要なサービスをスムーズに利用できます。
費用の見通しが立つことで、本人も家族も経済的な不安を軽減できる点は大きな安心材料になります。
さらに、契約内容が明示されているため、葬儀の際に「思っていた以上に費用がかかった」といったトラブルを避けやすいのも利点です。
会員優待
もう一つの魅力は、会員になることで受けられるさまざまな優待制度です。
葬儀や法要を通常よりも割安に利用できるのはもちろんのこと、会員の家族がサービスを受けられるようになっている互助会もあります。
加えて、提携するホテルやレストラン、温泉やレジャー施設などを割引価格で利用できるなど、日常生活にも役立つ特典が付与されることがあります。
こうした優待は葬儀の備えという枠を超えて、暮らしを豊かにする要素です。
単なる積立制度にとどまらず、日々の生活に恩恵をもたらす点は互助会ならではの特徴であり、選ばれる理由の一つといえるでしょう。
まとめ
葬儀保険は必ずしも誰にとっても必要なものではなく、代わりに預貯金や互助会の積立といった方法で備える方が、自由度や安心感の面で優れている場合があります。
預貯金であれば用途を柔軟に決められ、互助会であれば費用が明確になり会員特典も利用できるといった利点があります。
さらに、エンディングノートを整えておくことで、家族がスムーズに対応でき、余計な負担をかけずに済むでしょう。
大切なのは、自分や家族にとって無理のない形で備えを整えることです。
葬儀保険に頼らずとも、複数の方法を組み合わせることで、十分に安心できる終活を実現できます。
まずは気になる互助会の資料を取り寄せ、複数の選択肢を比べて、自分に最適な終活の準備をスタートさせましょう。