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急速に失われつつある、葬儀にちなむローカルルールを惜しんで。地域による葬儀慣習の違いは驚くくらい

記事公開日:2020.02.21/最終更新日:2023.04.05

読了予測:約4分

人が亡くなったときに、執り行われる慣習は全国で実に多種多様なものがありました。なぜ過去形かと言うと、近年の葬儀に求められる簡素化、均一化に伴って、それらの固有の慣習が失われつつあるからです。『地域によっては独特の慣習があるから、念頭においておきましょう』という、注意喚起ならお役立ち情報かもしれませんが、どちらかというと民俗史的なトリビアネタになってしまうかもしれませんが、ご容赦ください。

そもそもなぜ?違いが生まれたのか

これは、いくつかの文献にあたりましたが、明確な回答はありませんでした。日本の葬儀文化・慣習は、室町時代に始まり、江戸時代の寺請制度のもとで仏教の介在とともに現在の姿の基礎ができ、明治時代に入って火葬の浸透、告別式の登場による近代化、戦後まもなく発生した新生活運動を経て葬儀社による葬送中心という現在に至っているわけですが、どこか時代の転換点に理由を求めるのは無理がありそうなのです。筆者が思うに、日本各地にはそれぞれ土着の風習が存在していた。そこに全国共通となる葬送の形式が持ち込まれ、元の慣習を融合してオリジナルの文化となって定着したのではないでしょうか。

訃報

『二人使い』という言葉があります。近隣などへの訃報を、二人一組で行うことで、山形県の山間部や秋田県の一部では、この慣習が残っているという話を聞きます。しかし、柳田国男の『葬送習俗事典』には『この訃報に赴く者が二人であることは、不思議と全国に共通している。何故に必ず二人行くかの理由は、まだ名称の方からはこれを窺うことが出来ない。』と著されているので、昔は全国共通の慣習だったものが、山形、秋田では残ったということなのでしょう。その理由は定かではありませんが。

日取り

通夜や葬儀の日取りを決める際に、暦の忌み日を避ける慣習がある地域があります。

山形県の鶴岡市一帯では、「子の日」「丑の日」の通夜、葬儀を避けるそうです。

山形県の酒田市一帯では、「寅の日」を避けるようです。

秋田県の一部では、「丑の日」「寅の日」を避けるそうです。

広島県の農村部では「酉の日」を避ける地域があるそうです。

これは、丑には引かれること、子は十二支の順を決める時に丑の背にのり一番乗りをしたこと、寅は「千里を帰る」という故事から霊が現世に彷徨い戻ることを恐れて、酉は「命を取る」を連想することからだといわれています。

お供え

故人の枕元に供えるものに独特の慣習を持つ地域もあります。

秋田県の一部では、焼香を行った後に焼香盆に数十円程度の小銭を乗せます。

長野県の南部では、お見舞いに行けないまま亡くなった場合、枕元には、祝儀袋などに包まれたお見舞いを供えます。

埼玉県秩父市でも、香典と一緒に紅白水引の御見舞を渡すことがあります。

ご遺体と出棺

ご遺体を納棺し、出棺するまでにもさまざまな慣習があります。

秩父市の一部では口に含んだ酒を故人の顔にふきかけます。

高知県や秋田県の一部では納棺前日に故人と添い寝をするそうです。

栃木県や茨城県の一部では故人の着物を7日間水をかけて北向きに干していました。

山梨県大月市、播磨地方、広島県、大分県、熊本県の一部では、出棺時にお棺をぐるぐる3回回します。

茨城県、新潟県、福島県の一部では、出棺時鳩を放します。

京都県、和歌山県の一部では出棺時に帽子を屋根になげます。

茨城県、群馬県、愛知県、千葉県の一部では出棺時に小銭を巻きます。

栃木県日光市の一部では、出棺時に清めの塩とともにかつをぶしをまいたそうです。

食べ物

通夜や葬儀で供される食事も多種多様です。

東北日本海側、関東西部、福井県や島根県の一部では、赤飯を食べます。

北海道の一部では、黒豆を入れた黒飯を食べます。

神奈川県の川崎市の一部では、納棺時に親族で豆腐を食べます。

山形県の最上地方では出棺後、お清めとして塩、スルメなどを食べるそうです。

青森県の一部では、白米に砂糖を振りかけて供したそうです。

 

上記以外にも、京都市の一部では逆縁の場合親は火葬場にいかない、四国の一部では故人の妻は火葬場にいかない、新潟県の一部では火葬後に白いローソクから赤いローソクに替える、北海道では香典に領収書がきられる、西日本を中心に葬儀後に茶碗を割るといった慣習もあります。均一化とともに失われていくローカルルールですが、考えてみればここ100年くらいの間に生まれた文化であるとも言えます。100年後に1つも残っていなかったとしても不思議ではないのかもしれません。