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オンライン葬儀が定着するかもしれない

2020年09月18日

新型コロナウイルス感染症の流行は、これまでの生活様式を一変させています。その影響は葬儀のあり方も大きく変える可能性があります。3月に愛媛県で行われた葬儀の会場がクラスターとなったように、葬儀には多くの人が集まり3密となる危険性が高い場です。また、葬儀会場へ移動する最中には、多くの人と接触するリスクも存在します。4月に書いた「新型コロナ禍の中で葬儀はどう営むべきなのでしょう」という記事の中で『近親者のみで行い後日お別れの会を設けては』という提案をしましたが、終息が全く見通せない中で、別の試みが広がりつつあるようです。それが「オンライン葬儀」です。

オンライン葬儀の概要

まずはオンライン葬儀がどういったものなのか、簡単にご説明しましょう。現時点では多くのオンライン葬儀はIT企業が開発したプラットフォームを活用する形をとっています。そのメニューは、どの事業者も大きな差はなく、代表的なコンテンツは次の3つです。

① 訃報をオンラインで告知する

② 香典のオンラインによるキャッシュレス決済と、それにあわせてオンラインによる記帳

③ 通夜や葬儀の会場の様子をオンラインで配信することで、葬儀への参列を可能にする

実際の通夜や葬儀は、葬儀社などの斎場で行われます。ただし、参列するのはごく身近な家族たちだけの、まさに密葬です。宗教者も参列し読経なども行ってくれるのは普通の葬儀と同様ですが、中には宗教者もオンライン参列というケースもあるようです。

②の香典キャッシュレス決済については、今年の1月に新潟県発の「キャッシュレス葬儀」を記事にしましたが、この動きがIT企業の中に広がり始めたのかもしれません。また③のオンライン参列は、今回のコロナ禍で注目を集めているZoomなどのオンライン会議システムを活用しているところが多いようです。

基本、オンラインで参列する側には別途の費用は発生しません。プラットフォームを提供するIT企業側にシステム利用料を葬儀社が支払うというビジネスモデルです。喪家とすると、そのシステム利用料の分だけ費用が加算されることになります。ただし、少人数なので会場費や葬儀社の人件費は抑えられます。また、会食(お斎、精進落し)は行いませんので、その費用が不要になります。かなり出費を抑えた葬儀にすることができることになります。なお、会食もやはり巷で話題のオンライン飲み会よろしく、Zoomで行うというケースもあるみたいです。

コロナ禍前は相手にされなかったが

「葬儀や法要をオンラインで」という提案は、コロナ禍以前からIT企業が葬儀社に売り込んでいたようです。筆者が以前取材したIT企業のファウンダーは「リアルなサービスは全てインターネットサービスに置き換えることができる」と豪語していました。実際に昨今はさまざまなサービスがオンライン化してきています。しかし葬儀のオンライン化はコロナ禍以前、ほとんど見向きもされなかったようです。その理由は、葬儀には『故人とのお別れの場であり遺族をいたわり慰める場』という意義があったからだと思います。この場は、あくまでもリアルなスペースで、故人の顔も直接見ることができ、遺族にも直接言葉をかけられることが必須というか当然のことである、と考えられていました。それはバーチャルな空間では成立しないことなのです。そのために、コロナ禍以前のオンライン葬儀のセールスポイントは、遠隔地に住んでいること、体調が優れないことなどを理由に葬儀への参列を見送らざるを得ない人でも参列が可能になる、というものでした。しかし、これでは利用者はごく一部、まぁ例外といえるレベル、になるために葬儀社がコストをかけて導入するメリットが全くなかったからだと推測しています。しかし、いま劇的な変化が訪れようとしています。

一気にブレイクしたオンライン葬儀

新型コロナウイルス感染症を原因としなくても、日々人は亡くなります。はじめから家族だけで葬儀を行うと決めてあるところは別ですが、当面は家族だけの密葬として後日、故人と縁ある人を招いてお別れの会を開催するにしても、いつになれば開催できるのか分かりません。そこで、お別れの会を後日開催するかどうかは置いておいて、故人と縁ある人にはオンライン葬儀に参列してもらう、という選択肢が生まれています。2020年の4月以降、オンラインで葬儀に参列できるサービスを展開する事業者が一気に増えました。オンライン葬儀専業のファウンダー企業もありますが、既存の(大手も含めた)葬儀社もオンライン葬儀をサービスメニューに加え始めています。既存葬儀社の場合は、自社でシステムを開発したのではなく、IT企業が提供するプラットフォームを活用しているのだと思いますが。ちなみに4月以降でオンライン葬儀に関するリリースのヘッドラインだけ拾ってもかなりの数。その中のいくつかをご紹介すると、こんな感じです。

Zoomで“遠くから”葬儀に参列 名古屋の葬儀社がオンラインのサービス開始/西田葬儀社

メモリアルアートの大野屋、「お葬式オンライン参列」無料提供開始

さいたまセレモニー、オンライン葬儀サービス「スマートセレモニー」提供開始

大切な方とのお別れの機会をあきらめないで。メモリードが目指す葬儀の新スタイル

「お葬式ライブ」提供開始/株式会社つばさ公益社

コロナ禍でも自宅で葬儀、法要、参拝ができるオンライン法要開始/本寿院

日比谷花壇、無償で「葬儀インターネット中継サービス」提供開始

山形・博善社がYouTubeによる葬儀のライブ配信サービスを開始/株式会社博善社

オンラインで葬儀に参列できる「スマート葬儀」、6月より提供開始/ライフエンディングテクノロジーズ株式会社

 

2020年はオンライン葬儀の実質的な元年、ということがいえると思います。はじめのほうにも書きましたが、現状は葬儀とは直接関係のないIT企業がこのサービスの主な中心となっています。そのため、サービスも画一的なのですが、今後は葬儀社が中心になってさまざまな工夫が付加されていくことになるだろうと筆者は予想しています。

一度、変化、進化した生活様式は、コロナ禍が終息しても元に戻ることはないかもしれません。葬儀でもっとも大切なのは、故人を弔う想い、遺族をいたわる想いです。その想いさえあるなら、場所という概念が葬儀にとっては必要ないという時代が訪れようとしています。日本の葬儀のあり方という伝統、文化が継承されなくなる可能性があるのは、とても残念ですが、これも仕方がないことなのかもしれません。ただ、いつかそんな時代が来るのだとしても、そのスピードが超早まったのは間違いなく新型コロナのせいですね。