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エンバーミングを施す前後にすること、できること

記事公開日:2021.05.11/最終更新日:2023.04.28

遺体に科学的な施術をすることで、腐敗などから遺体を護ると同時に、遺体の損傷やダメージを修復し生前と変わらない故人の姿にするエンバーミングは、その言葉を耳にする機会は増えましたが日本人には馴染みが薄いことに変わりはありません。エンバーミングを施す前や施した後のことについてもご存じない人も多いことでしょう。そこで今回はエンバーミングの前後には何があるのか調べてみたいと思います。

エンバーミングとは何か(新しい葬送技術を知ろう)

遺族の同意書(エンバーミング前)

日本では一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)がエンバーミングに関する自主基準を設けています。原則として、この基準に則ったエンバーミングのみが刑法の死体損壊には該当しないとされていますので、この基準はある意味絶対に順守する必要があります。その基準ではエンバーミングを施す場合には遺族の同意書を得ることが必須とされています。同意書を得るには、施術を施す側がエンバーミングの目的、処置を行う時に小切開を行うこと、遺体の状態によっては修復できない場合もあることなどを正確に説明をし、その全てに遺族が同意する必要があります。

遺族の同意が得られてはじめて遺体は処置室に入ることができます。エンバーミングを施す施設は衛生面を非常に重視しています。多くの施設は、感染症などが外に漏れることを防ぐため処置室に入る前にエアロックされた気密室の役割をするスペースを設けており、そのスペースを通って遺体は処置室に入るようになっています。

「ごじょクル」のエンバーミング

遺体との対面(エンバーミング後)

エンバーミングが施された遺体には、衣装を着せ化粧が施されますが、この着付けと化粧もエンバーマーが行う一連の仕事の1つですので、ここまでが広義のエンバーミングということがいえるでしょう。特に化粧は、故人の顔を生前にどれだけ近づけることができるかがエンバーマーの腕にかかっているということが言えるでしょう。一般的にはこの後納棺をし葬儀会場に搬送されます。

もう1つエンバーミングを施したことで、できるようになったことがあります。それは遺体と対面するということです。エンバーミングの先進国であるアメリカでは、エンバーミングが施された遺体は、葬儀会場(または斎場)の一画に設けられたビューイングルームと言う部屋で2日から3日にわたって公開されて、故人の知人、友人たちが遺体と対面して別れを告げるという新しい慣習が生まれているそうです。これは宗教的な意味や社会的な意味ではなく、遺された人たちが故人の死を受け入れるために必要な行為でもあるとされています。歩き始めたばかりとも言える日本のエンバーミングは、まだ遺体を少しでも長く保存するということが主目的ですが、将来的には遺体と対面するという新しい葬送の形が登場するかもしれません。

「ごじょクル」のエンバーミング