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【BOOKガイド】 死化粧師 ~エンバーミングを漫画で知る~

記事公開日:2021.07.11/最終更新日:2023.04.18

今日はマンガのご案内です。エンバーミングは、遺体に科学的な施術をすることで、腐敗などから遺体を護ると同時に、遺体の損傷やダメージを修復し生前と変わらない故人の姿にする技術です。日本でも新しい葬送の技術として少しずつではありますが認知度が広がっています。このエンバーミングを施すことが許されている唯一の技術者がエンバーマーです。マンガ「死化粧師」はエンバーマー間宮心十郎 (まみや しんじゅうろう) を主人公とする死と再生の物語です。祥伝社からコミックとして全7巻が2002年から2013年にかけて刊行され、完結しています。単行本(コミック)は一部の巻が入手困難(在庫なし)ですが、電子書籍では全巻を読むことができます。

エンバーミングとは何か(新しい葬送技術を知ろう)

 

書籍名称:死化粧師(全7巻)

発行者:祥伝社(feelコミックス)

価格:コミック版996円(税込)から、電子書籍770円(税込)から

販売店:全国の書店、インターネットストア、電子書籍ストア

  • コミック版は巻によっては在庫がないものもあり、在庫があるものも僅少で、増刷も期待薄です。AmazonのKindleや、楽天Koboなどで電子書籍版を読まれるのがおすすめです。

書籍の概要

間宮心十郎は、アメリカ人の父親と日本人の母親をもつハーフ。イケメンで女癖が悪いが腕がいいエンバーマーとして、事故などで亡くなった人の欠損した身体の一部を生前と同様の姿に戻し、防腐、殺菌処置を施すエンバーミングを仕事にしている。父親はアメリカの在日大使館で、日本で亡くなった人の遺体にエンバーミングを施し故国に送り返す仕事をしていた。父親を最高のエンバーマーとして尊敬し、いつか父親を超えることを目標にしている。アメリカでエンバーミングを学び帰国した心十郎は、知り合った神父から教会内にエンバーミングを施す施設を設ける許可を得て、エンバーマーとしての活動を始める。仕事に対しては努力を惜しまず、遺族の悲しみを少しでも和らげることに情熱を注ぐが、仕事が終わると見知らぬ女性に片っ端から声をかけるという悪癖を持っている。その一方で神父の孫娘である夏井アズキ (なつい あずき)に対して恋心を抱くも、手を出すことができない。エンバーミングがまだ一般的に認知されていない日本で、周囲の無理解や偏見を乗り越え、遺族が故人との最後の時を安らかに過ごせるよう奮闘している。

 

ストーリーは1話完結で進みます。全7巻で42話になりますので、それだけの種類の死と再生のエピソードを読むことができます。エンバーミングに関しては詳細な説明はなされていません。そのためか、死を扱う話ですが決してグロテスク感や暗さ難しさはありません。著者である三原ミツカズさんの絵が綺麗であることも、とっつきやすさ、読みやすさ、が高い理由の1つだと思います。エンバーミングについて詳しく知ることはできませんが、エンバーマーが遺族に寄り添い、遺族の悲しみをどのように和らげてくれるのか、を感じることができます。三原ミツカズさんが執筆するきっかけになったのは、参列した親友の葬儀で遺体の状況が良くないことにショックを受けたことだそうです。そして、その後エンバーミングという葬送技術を知り、この技術のことをもっと世間が知ってほしい、という想いがあるということです。エンバーミングとエンバーマーを知るきっかけとしては最良の書と言えるかもしれません。

 

三原ミツカズ氏(女性)のプロフィール

1994年に『ゴムのいらない子供たち』で、第1回フィールヤング新人漫画賞特別賞を受賞しデビュー。現代の家族・社会などを鋭い視点で捉えた作風と、本人が好んでいるゴスロリテイストを取り入れた絵柄で数多くのファンを持つ。代表作に『ハッピー・ファミリー』『死化粧師』『DOLL』など。

「ごじょクル」のエンバーミング