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実家が空き家の場合の対応は

記事公開日:2017.06.08/最終更新日:2023.05.19

空き家が増えているといわれます。総務省統計局が5年毎に実施している「住宅・土地統計調査」の平成25年調査結果によると、平成25年10月1日現在の空き家数は820万戸、空き家率(全住宅数に占める割合)は13.5%でした。これは5年前の調査からそれぞれ63万戸、0.4ポイントの増となり、ともに過去最高となっています。都市部への人口流入により地方では限界集落が増え続けています。また都市部でも独居老人の孤独死といった問題も多く、全国的に空き家は当分の間増え続けるのではないでしょうか。増え続ける空き家問題を考えてみましょう。

国が動きました

空き家は老朽化すると、次のように周辺の環境に悪影響を与えかねません。

  • 老朽化した建物が倒壊
  • 屋根や外壁が剥がれ飛散し、人や物に被害をおよぼす
  • 樹木等の整備がされないため、敷地から溢れ出た樹木により道路・交通に支障をきたす
  • 人がいないため、ごみの不法投棄場所になる

適正な管理がされていない空き家が、今後も増え続けること、地域に悪影響をおよぼすことを考慮して、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(法律では「空家」となっていますが、ここでは「空き家」と書きます)を制定し、現在ではそのすべてが施行されています。

なぜ空き家が問題になったのか

ひとつは税制上の問題でした。建物がのっている土地の固定資産税は最大で6分の1まで優遇されるという特例措置があるんです。空き家の持ち主(空き家になる前の持ち主の相続者ですね)は、空き家を解体すれば固定資産税が高くなる、中古住宅で資産価値が低く売ってもそれほど儲からない、住まないのに手を加える(整備にお金をかける)のはもったいない、そう考えて放置してしまい、問題となる空き家が増えてきたと考えらます。

自治体が空き家整備を推進する

法律により基本方針が定められ、自治体(市町村)はその方針に基づき独自に空き家対策を推進することになっています。空き家も財産ですから、いくら朽ち果てていても没収されることはありませんが、持ち主は是正(整備するように)するよう求められます。行政の手続き順に、はじめに助言・指導、それに従わないと勧告、それでも従わないと改善命令が出されます。命令に従わないと50万円以下の過料を課されます。また、自治体による強制執行(整備)が行われる可能性もあり、その場合の費用は持ち主が負担する(自治体から請求される)ことになります。

問題は特定空き家

法律では、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空き家を「特定空き家等」と定め、自治体に上記のように整備を推進するように求めています。「特定空き家」に認定されてしまうと前述のように、自治体から行政指導を受けることになるだけでなく、固定資産税の優遇対象から外れてしまいます。この税制上の変更がこの制度改正の最大のポイントといえるでしょう。

空き家をどうするか

制度が変わったことで、空き家を放置しておくことは大きなリスクとなりました。空き家をお持ちの人は、「特定空き家」に認定されないように整備する必要があります。人に貸すにしても整備は必要ですし、これまでのように一切お金をかけない、というわけにはいきませんね。売却するにしても地方の場合は買い手がつかないケースもあるでしょう。固定資産税の優遇措置はないのですから、解体して更地にするという選択肢もあります。さまざまな角度から検討する必要がありますね。

【空き家対策】

  1. 空き家のまま「特定空き家」にならぬよう、整備・管理する(整備費・管理費がかかる)
  2. 人に貸す(貸すための整備費用がかかる)
  3. 売却する
  4. 建物を解体し更地にする(解体費用がかかる)