石材などを原料として墓石の加工と販売を行っているのが石材店です。その石材店の業界団体の中で唯一経済産業省の認可を受けている団体である「全国石製品協同組合(全石協)」が消費者を対象にした「お墓の悩み事」アンケートを実施し、その結果を公表しました。今回はその結果概要をお伝えしながら、墓石の今とこれからを一緒に考えてみましょう。
5人に1人がお墓の継承者がいない
アンケート調査全体の概要は次の通りです。
【調査対象】全国の45歳以上の男女
【調査期間】2019年2月8日から2月28日
【調査方法】インターネット
【有効サンプル数】1,683件
アンケートの中で、お墓を所有しているという人に対して、お墓に対する悩みはなにかを聞いた結果は次の表の通りです。
順位 | 悩み事 | 件数 | % |
1 | お墓の継承者がいない | 272 | 21.0 |
2 | お墓の維持費 | 197 | 15.2 |
3 | お墓が遠い | 180 | 13.9 |
4 | お墓の手入れが行き届かない | 155 | 12.0 |
5 | 寺院とのお付き合い | 133 | 10.3 |
6 | お墓参りに行けない | 54 | 4.2 |
7 | 将来、夫(妻)と一緒のお墓に入ること | 27 | 2.1 |
これまでこの『就活Style』でも、「増える合葬墓」「死後は夫と別の墓に入りたい女性の増加」「お墓掃除代行サービスの普及」「増える墓じまい」などと問題提起してきたことが、結果として現れていますね。そしてやはりトップは継承者がいないこと。家族の崩壊と、地方から都市への人口流入が招いた結果ですね。この流れはもはや食い止めることはできないでしょう。
継承者がいない人は墓じまいを検討している
お墓の改葬や撤去を検討しているかどうか、という質問に対しては全体では改装を検討しているが4.0%、撤去を検討しているが10.5%と少数でした。ところが、継承者がいないという人の回答は次の円グラフのようになります。
改葬の割合は全体と変わりませんが、撤去(墓じまい)を検討している人が3倍近くになっています。継承者がいないお墓をどうするのか、これは一番の悩みですね。そのまま放置すると自分が死んだ後は無縁墓地となり、何年か後には強制的に撤去されてしまいます。継承者がいない人の中には、子どもはいるがお墓を継承するつもりはない、というケースもあるのではないでしょうか。無縁墓地として処分されてしまうことが分かっているので、ご先祖さまや自分の両親などお墓に弔われている人に対する申し訳なさや、墓所にも迷惑がかかること、などを考えると墓じまいという選択しかないのかもしれません。
今後はますます、継承者がいないお墓が増えるだろうことが予想できます。この調査を実施した、全石協さんは日本の供養、埋葬のあり方を次世代にも語り継ぐことを協会の目的に掲げて活動されています。1軒の石材店ではできないことも、大きな組織になれば可能になることもあるかもしれません。私たち現代の日本人は、墓石とかお墓とか埋葬や供養についてあまりにも無関心すぎるのではないでしょうか。全石協さんの今後の活動にも期待してみたいと思います。