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六文銭とお葬式そして真田家

記事公開日:2017.11.06/最終更新日:2023.05.01

2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」でした。「真田丸ロス」という言葉が生まれるほど人気がありましたね。昔から真田幸村は、日本人に人気のある武将ですよね。その真田家の家紋が「六文銭」です。今では六文銭と聞くと、真田家を思い浮かべる人が多いと思いますが、もともとは故人を葬るときの副葬品なのです。

冥銭とは

あの世でお金に困らないように、三途の川を渡るときに船頭に渡すお金、などの理由から死者と共に葬るのが冥銭です。日本の仏教では、極楽浄土に行けばお金は必要ないという思想があったので、三途の川を渡る料金としての意味しかありません。世界中に冥銭という考え方はあり、紙幣や硬貨、その額などもまちまちです。

日本では六文銭

なぜ六文だったのかは、仏教の1つの教えからきているという説があります。六文銭のことを六道銭という場合があります。六道とは、生き物が自分の行為によって抱えることになった業の結果、6種類の世界(天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)を輪廻転生するという仏教の教えです。六道輪廻は、6人の地蔵菩薩が管轄しており、六道それぞれの地蔵菩薩に一文ずつ渡して救ってもらうための六文ということなのですが、なんか後付のような気もします。おそらく何らかの理由(これが分からないんです)で、三途の川を渡る料金が六文だということが信じられるようになり、それを説明するために六道輪廻を持ち込んだ、つまり六文が先だったような気がします。

現在でも残る慣習

仏式のお葬式の場合は、この慣習は現代も残っています。昔は実際に一文を6枚納めていたようですが、文が廃止となったこともあり、今は六文銭を印刷した紙を納棺時の副葬品として納めるようになりました。

真田家の家紋と六文銭

戦国時代には既に、六文銭が冥銭であるという考えは定着していたでしょう。ではなぜそれを家紋にしたのでしょうか。当時の旅(現代の旅行ではないですよ。移動は徒歩なので全てが旅でした)は、何があるか分からない、命を落とすこともあるものでした。そこで、いつ死んでもいいように、衣装に(冥銭とするために)六文銭を縫い付けていたといわれています。また、武将や足軽も同様に六文銭を携帯していたといわれています。つまり真田は、常に死への備えがあるということを自らに言い聞かせるため、そしてその気概を外に示すために六文銭を家紋にしたのではないかと筆者は推測します。