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【BOOKガイド】ほどなく、お別れです

記事公開日:2019.04.22/最終更新日:2023.05.19

ちょっと趣を変えて小説をご紹介します。タイトルは『ほどなく、お別れです』。葬儀場に務めるある特殊な能力を持つ主人公が、同僚たちとともに遺族に寄り添い、故人の思いを叶えるための葬儀をあげるために奮闘する「葬儀場のお仕事小説」といえる作品です。3編から構成されていますが、どのお話も感動的で泣けてきます。主人公の成長ストーリーでもありますが、あまり知られていない葬儀場の仕事の中身や、葬儀スタッフの仕事に対する思いなども描かれていて、葬儀と葬儀場への理解が深まります。一読することで葬儀場という仕事の大変さと重要性に気付かされるとともに、葬儀は遺族にとってなくてはならないものであることを改めて認識されるでしょう。「無葬社会」が浸透し始めてしまった日本で、もう一度葬儀の意義と意味を考えるきっかけになり得る書です。さらにはこんな葬儀会社があれば誰しもが「頼みたい」と思うでしょうから、葬儀関係の方にも是非読んでほしいですね。

著者は、本作がデビュー作となる長月天音さん。第19回小学館文庫小説賞を受賞した傑作です。

 

書籍名称:ほどなく、お別れです

発行元:小学館

価格:1,404円

販売店:全国の書店、インターネットストア

書籍の概要

大学生の清水美空は、東京スカイツリーの近くにある葬儀場「坂東会館」でアルバイトをしています。実は美空は霊が見えてしまう人だったのです。かなり特殊な設定なので、ここで引かないでくださいね、とても良い話なので。坂東会館には訳ありの葬儀ばかりを担当する漆原という男性スタッフがいます。社内では毒舌な漆原は故人と遺族の思いを繋げるために心を砕く敏腕葬祭ディレクター。その彼が、美里が「見える」ことに気付いてしまいます。漆原が葬儀をするときに組んでいる里見という僧侶も、特殊能力の持ち主でした。美里は漆原のチームに入り、故人と遺族に寄り添った葬儀を執り行うことで、誰もが納得し、喜ぶ「お別れ」の場を創り続けていきます。美里が霊を見ることができるのにも理由があります。最終章ではこれもまた号泣もののエピソードで、その理由も明らかになります。

 

長月天音氏のプロフィール(書籍著者情報から)

1977年新潟県生まれ。大正大学文学部日本語・日本文学科卒業。2018年『ほどなく、お別れです』で第19回小学館文庫小説賞を受賞(応募時タイトル『セレモニー』改題)しデビュー。