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隠岐諸島にある日本唯一の「散骨の島」

記事公開日:2019.07.22/最終更新日:2023.04.04

読了予測:約3分

島根県の島根半島沖合約50キロの海上に隠岐諸島があります。島前3島と呼ばれる知夫里島(知夫村)、中ノ島(海士町)、西ノ島(西ノ島町)と島後(どうご・隠岐の島町)1島の4つが有人島と、それ以外に180を数える小島(無人島)で構成されています。その無人島の中の1つに、日本では唯一の散骨専用の島があるのです。

地域住民が好意的なレアケース

  このサイトでは以前からお伝えしているように、散骨は国が正式な葬送として認めている方法ではありません。あくまでも、社会や環境に悪影響を与えない限りは黙認するというグレーゾーンです。散骨によるトラブルも多発しており、全国各地の自治体が条例で散骨の禁止を謳い始めています。そんな中でここ隠岐では自治体や住民が散骨を好意的に受け入れている珍しいケースだといえます。

小さな無人島で行われている

散骨島は島前の中ノ島沖合の無人島「カズラ島」と呼ばれている島です。島全体がカズラという植物に覆われていることからこの名が付けられました。広さはおよそ800坪の小さな島です。カズラ島を含む一帯は大山隠岐国立公園の第1種特別地域に指定されており、固定の桟橋などの建造物の建築ができないため通常は人が立ち入るような島ではありません。この島が散骨島として運用され出したのは2008(平成20)年、今から10年ほど前に遡ります。

自然保全にも配慮

東京都板橋区にある戸田葬祭サービスという葬儀会社に、隠岐出身者が在籍しており、その縁でカズラ島に散骨を行う事業部門が設立されました。島にはテニスコート4面くらいの散骨スペースを設けられています。興味深いのは、島全体が慰霊の対象として整備されていて、中ノ島からカズラを望むことができる場所に慰霊所が設けられていて普段はそこから供養することになっているということです。カズラ島に建造物を建てることができないという理由もあるのでしょうが、人(遺族)が頻繁に立ち入ることがないような仕組みをつくりあげることで自然の保全にも十分な配慮がなされてます。

新たな観光資源としての期待も

散骨トラブルの最大の原因は、地域住人の感情とその近隣で農漁業を営んでいる人にとっての風評被害です。カズラ島の場合は、無人島であること、海洋散骨ではないので漁業への風評被害が起きないことから、住民も好意的に受け入れたのだそうです。また隠岐は離島で人口流出が止まらない地域でもありました。近年は観光客の数も減少し続けていたということなので、この「散骨の島」が新たに島を訪れる人の増加に一役かってくれるかもしれないという期待もあったのだと思います。実際に散骨をする人の割合は、首都圏在住者が島根県民の2倍近い数を占めているということです。

 

散骨費用は島への旅費は別途で、島外者は26万5千円、島出身者は21万円となっています。日本全国に数多くある限界集落でも、空いている土地を活用した散骨スペースの構築は可能かもしれませんが、いかんせん陸続きなのでハードルは低くありません。海によって隔たれている無人島は確かに誰にも迷惑をかけることなく散骨ができる唯一の場所なのかもしれませんね。