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確定申告 の季節です。葬儀費用 は 税額 からの 控除 を受けられるのでしょうか?

記事公開日:2021.01.31/最終更新日:2023.04.07

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費用

確定申告の時期が近づいてきましたね。2020年は新型コロナ感染症の影響で申告期間がひと月延長されて通常なら3月15日前後だったのが期限は4月15日でした。現状ではアナウンスされていませんが、今年も密を避けるため延長があるかもしれません。また、電子申告を強力に推奨しているので電子申告・電子納税も増えるでしょう。

確定申告の時期になるとネット上を中心に前の年に葬儀を行った人から「葬儀費用の確定申告はどうすれば良いのか?」「申告すればどれくらい戻ってくるのか?」といった質問が出てきます。多分医療費が控除対象になっていることが広く知られているので、葬儀費用も控除できる(される)と考える人がいるのでしょう。そこで、葬儀費用と税額控除について考えてみます。

所得税の控除対象ではありません

まず初めに確定申告についておさらいしましょう。確定申告は個人事業主や年間の所得が2,000万円を超える給与所得者などに対して、前年度の所得とそれに基づく所得税額の申告が義務付けられている制度です(給与以外の所得が20万円超ある場合、給与が複数カ所から支給されている場合も必要)。該当しない給与所得者は年末調整で住宅ローンの控除を受けることができます。年間10万円超の医療費控除の申告は年末調整ではできないため、確定申告をすることで控除を受けることができます。では、葬儀費用も医療費と同じように確定申告すれば税額から控除を受けられるのでしょうか。誠に残念ながら葬儀費用は控除の対象と認められていません。その理由は所得税から控除を認められるのは、所得を生み出す源となった経費などに限定される、という考え方なのです。住宅ローン控除は住宅の取得を促進するため、医療費控除は国民皆医療の思想のもとでの福祉的な側面から、でいずれも所得を生み出す源ではありませんが政策的な判断により控除対象となっています。葬儀費用は政策的な控除の対象には成りえないのですね。これは将来的にも変わらないと思います。では全く控除を受けられないのでしょうか。

相続税の控除対象となります

葬儀費用は相続税の控除対象になります。通夜や葬儀といった一連の儀式は、財産を相続する課程に存在し、そこで葬儀費用が発生します。そこで相続する財産から、葬儀費用としてかかった額は控除することができる、という考え方をとっています。

控除の仕組みは、相続税を申告するときにかかった葬儀費用を相続財産の総額から差し引いて相続税を計算することになります。なお、費用の全てが控除の対象になるわけではありません。次のように認められる費用、認められない費用があるので注意が必要です。

【控除が認められる費用】

① 葬式や葬送に際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)

② 遺体や遺骨の回送にかかった費用

③ 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)

④ 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

⑤ 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用

【控除が認められない費用】

① 香典返しのためにかかった費用

② 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用

③ 初七日や法事などのためにかかった費用

詳しくは、国税庁のホームページを参照してください。

控除を受けるためには領収証が必要です

葬儀費用の控除を認めてもらうため申告する時には葬儀費用の領収証が必要です。葬儀社、生花や供物、お通夜やお葬式で供した飲料や料理など、支出先ごとの領収書は全て保管して整理し帳簿に記載しておきましょう。

墓を建てるなら生前に

ところで、亡くなった後に墓を建てた場合の費用は、前述のとおり相続税の控除対象ではありませんが、生前に墓を建てた場合は、祭祀財産とみなされて相続税がかかりません。同じ行為なのに、前と後で判断が異なるのは釈然としませんが、法律で定められていることなのでしかたないですね。『墓を建てるなら生前』に、これは肝に命じましょう。ちなみに仏壇、仏具(一般的なもので、純金製の仏具などは祭祀財産ではなく貴重品と判断されるため認められません)も同様です。

相続税の申告時期に気をつけましょう

相続税は、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月以内に申告をし、納税しなければいけません。納期限を過ぎると、延滞税、加算税を課せられる可能性がありますので、充分に留意してくだい。