終活ノートを記すことが、最もお手軽な終活である、ということが言えますが、本当の終活はやはり、家族でしかりと話し合うことではないでしょうか。「生前に、死んだ後のことを話題にしにくい」ことはよく分かります。でも、「終活ノートを書いておいたから、何かあったら読んで」だけでは、想いが十分に伝わらないように気もします。
話をうまく持ち出すには
親は自分の死後に子に託したいこと、頼みたいことを。子は、親をどのように見送ればいいのか、親は何を望んでいるのかを。互いに、伝えたい、知りたいと思っていても、切り出しにくいのは間違いなでしょう。とくに「本人」のことだとなおさらですね。そこで、周りから話をもちかけるのが1つの方法だと思います。
例えば父親が自分の死後のことを子どもに伝えたいと考えたときは、母親(妻ですね)から子どもたちに「父親の死後のことをどう考えているのか」とそれとなく聞いてもらうのをきっかけにしてはどうでしょうか。そして、次のステップとして、父親も交えて話し合う場を設けると、意外とスムースに話ができると思います。
逆に、子どもが親の希望を聞きたいときは、同様に父親のことを聞きたいときには、母親にワンクッション置くことで、話し合いの場を設けやすくなると思います。
話し合いたい内容とは
お互いに確認しておく必要があることは次の事柄です。
【亡くなった後の特別な処置】
① 尊厳死を希望しているのか
② 献体を希望しているか、登録はしているのか
③ 臓器提供を希望しているか、登録はしているのか
【菩提寺について】
① 檀家として何か役割(寺院行事の時、係や当番など)を担っているのか
② 墓地の使用料
③ 護持会費(寺院運営費用)
④ ②③のほかに負担している費用
⑤ 菩提寺または檀那寺の宗派や住職の名前
⑥ 菩提寺または檀那寺にお願いしている葬祭行事の種類とお布施(戒名含めて)の額などの関係性
【墓について】
① 埋葬する墓はどこか、埋葬方法の希望
(既にある墓、新しく購入する、納骨堂、樹木葬、永代供養墓など)
② 埋葬した墓は、継承するのか。継承するとしたら誰か。
【葬儀に関して】
① 訃報を誰に伝えればいいのか
② 葬儀にかける費用と、費用の捻出先
③ 葬儀を行う場所の希望
④ 葬儀の規模(会葬者の人数)
⑤ 会葬者に対して何か特別なことを行いたいか
兄弟姉妹で共有すること
話し合った内容は全て兄弟姉妹で共有し、理解、納得し合うことが大切であることは言うまでもありません。そしてそれ以外に、次のことを決めておきましょう。
① 喪主は誰が担うのか
長男や長女がやらなければいけない、という時代ではないことはお分かりだと思います。親との話し合いの中で、親の希望も聞きながら、兄弟姉妹でしっかりと結論を出しておきましょう。
② 祭祀継承者は誰か
喪主が祭祀継承者になることが多いとは思いますが、必ずしもイコールではありません。喪主同様に、親の希望を聞いた上で、兄弟姉妹の合意を形成することが大切です。
財産分与や、形見分けの話を生前にしてもいいのですが、これは家庭の事情もあるでしょうから、生前に必ずしておきたい話とは別と考えて良いかと思います。
親子が同居していない家庭も多い現代では、話し合いの場を設ける機会も少ないでしょうが、お盆や正月に家族が一堂に会する機会があれば、一度話題にしてみてはいかがでしょうか。もし終活ノートを書き記していたら、その話し合いの場で披露するのも良い方法だと思います。