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国民年金の受給資格期間が10年に短縮されてどうなる?

記事公開日:2016.12.06/最終更新日:2023.04.07

国民年金を受給するために必要な保険料納付期間が、10年間に短縮されるということですが、具体的にはどうなるのでしょうか。今回の年金制度が改正される背景と、年金のこれからも考えながら、簡単にご説明しましょう。

受給資格を10年に短縮する理由とは

現在、老後に国民年金(老齢基礎年金)を受け取るには、保険料を25年間(正確には300ヵ月/免除・から期間等も合計)納めなければいけません。多くのお勤めの方の場合は、国民年金保険料と会社も負担する厚生年金保険料を併せて、給与から天引きされていますので、受け取るために必要な加入(保険料納付)期間を満たすことは難しくないのですが、自営業、個人事業主、厚生年金未加入の法人に勤めている場合などは、自分で納める必要があり、納付忘れなど(一昔前には、国会議員の『未納三兄弟』でも話題になりましたね)により、25年間を満たしてない人が、多くいます。これまでは、その人たちは年金を受け取ることができませんでした。

日本は国民皆保険制度をうたっており国民年金制度もそのひとつ。その観点からも例えば24年間納めていた人が1年間足りないだけで、国民年金をもらえないのはいかがなものか、という議論も以前からあったようです。それが、10年間(正確には120ヵ月)に短縮されることで、これまでは受け取る(受給資格)ことができなかった人に、その資格が生まれることになります。

より多くの国民に年金を受け取ってもらう、それが改正の大きな理由ですが、背景にはもう一つ狙いがあります。それは保険料を納める人が増える効果がある、というものです。それは、「年齢的にも25年を満たすことはできないが、10年を超えることができればもらえるのだから、納めておこう」という人が、増えるに違いない、という考え方なんですね。

 

受給期間の短縮はいつから?

この国民年金制度の改正は、民主党政権の野田内閣のときに打ち出された「社会保障と税の一体改革」の中で議論されたものです。将来的な社会保障の財源は、消費税により賄うとされ、消費税を10%に上げる際にはその増収分をもって、年金受給資格期間を10年間に短縮する方向が決められています。

現在の安倍内閣のもとで、消費税率10%化は再延期されていますが、年金受給資格期間の短縮だけは再延期はせずに、2017年の秋から実施する予定とされています。

 

受給資格期間短縮によってもらえる年金額は変わる?

国民年金(老齢基礎年金)の受給金額は変わりません。もらえる金額は次の算式がわかりやすいでしょう。

1年間に受給される基礎年金額【概算】=(保険料納付年数)×2万円

※わかりやすい額にまるめた概算です。実際の受給額はこの計算より若干少なくなります。免除期間など他の要素が入る場合は、あてはまりませんのでご注意ください。

例えば、

40年納付した人は、40年×2万円の約80万円弱/年

20年納付した人は、20年×2万円の約40万円弱/年

つまり受給資格期間短縮の影響を受けない人(保険料納付が25年以上)には何の変更もなく、これまでもらえなかった人(保険料納付が10年以上25年未満)がもらえるようになる、ということになるわけです。

 

これからの年金制度で気をつけたいこと

厚生年金に加入されていない人は、一度ご自身の加入期間を確認されることをお勧めします。毎年1回(誕生月)、日本年金機構から送られてくる『年金定期便』で確認するか、最寄りの年金事務所に問い合わせてみましょう。もし問題があれば、国民年金保険料の「後納制度」の活用を検討されると良いでしょう。

将来的には、少子高齢化がすすみ、巨額の財政赤字を抱える日本において、現状のままの年金制度を維持するのは困難が予想されます。今後考えられるのは、現在は65歳からの支給開始期間の後ろ倒し、そして受給金額の減少などではないでしょうか。

すでに日本は、「老後は国が守ってくれる」という状況ではないといえるでしょう。これからは自分の老後は自己責任で備える時代、早いうちに(できるだけ若いころから)、考えるようにしましょう。

 


 

記事監修

金子浩二(Smart株式会社/ファイナンシャルプランナー)

毎年100名以上の家計相談・分析・改善策提案を実施。
資産形成に悩む独身者から、住宅購入希望者、不動産オーナー、定年に際して、という方まで幅広く問題解決、家計や保険の最適化をサポートしています。
FPとして顧客向けセミナーの講師や他社サイトでの原稿執筆なども担当。