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増え始めている合葬墓

記事公開日:2017.11.14/最終更新日:2023.05.11

読了予測:約3分

合葬墓、合祀墓と言われるお墓があります。共同墓のことですね。日本の多くのお墓は、故人1人のお墓か、先祖代々が同じお墓に葬られる家墓が中心でした。共同墓というと、身寄りがない人や身元が分からない人を葬るものだという認識を持つ人も多いかもしれません。しかし、多死社会とお墓の用地不足という時代を迎えて、合葬墓、合祀墓が増えているようです。

東京都内ではお墓が足りない

2017年8月12日の東京新聞に「お墓が足りない 都、合葬へシフト」という記事が掲載されていました。都立霊園では、新たな用地取得が困難であることから、今後増えるお墓の需要に対しては、合葬墓地で対応する方針であり、実際に日本全国に500カ所以上ある合葬墓のうち2割が都内にあること。しかし、現状ではまだ合葬墓に抵抗感のある人が多いこと。などと記事にしています。もっともこのような都の方針は、今になって打ち出されたわけではなく、2008年2月20日に都知事から諮問を受けた審議会が出した答申「都立霊園における新たな墓所の供給と管理について」では、今後予想される用地取得の困難さから合葬墓を拡大してく必要が謳われています。この時の答申は合葬墓を増やしていく理由として用地の問題だけでなく、「共同墓は都民に受け入れられている」「安価な墓所の需要が伸びる」「自然葬の需要も伸びる」という需要予測ももとにしていますが、思いの外一般的なお墓に対するこだわりは根強かったようで、2016年の都の調査では、「合葬墓を利用するつもりはない」という回答は30%を超えているようです。

全国にも広がる合葬墓

合葬墓の2割を占める東京都だけでなく、全国でも合葬墓は広がりを見せているようです。2017年の全国各地の新聞にも次のような見出しが並びます。

西日本新聞(2017年2月16日)合葬墓 福岡市が検討

下野新聞(2017年7月1日)市営初の合葬墓8月から、宇都宮・東の杜公園

長野日報(2017年7月7日)合葬墓ニーズ「予想以上」

静岡新聞(2017年7月28日)古墳型の合葬式墓地整備へ磐田市

神戸新聞(2017年8月25日)明石市営の合葬式墓地完成

秋田魁新報(2017年10月1日)秋田市、合葬墓を整備へ

茨城新聞(2017年10月27日)県内自治体「合葬墓地」整備進む

ただし、地方は理由が若干異なるようです。それは、お墓の守るべき人がいなくなる、という理由です。少子化と都市への人口流入が終わりを見せない現代の地方では、亡くなり葬られた故人のお墓にお参りをし、供養する人がいなくなる、という寂しい現実がここにあります。

合葬墓・合祀墓の特徴と費用

 

合葬墓・合祀墓は、永代供養墓の1つです。お墓の運営管理者が、子孫に代わって供養とお墓の管理をしてくれます。永代供養墓の契約を交わす際には、永代供養の費用を支払うことになります。費用は、お寺や霊苑によって異なり、10万円程度から、高いものだと100万円以上。中には、年会費などと称して毎年の費用が別途かかるところもあります。墓石を購入しなくて済むなど、一般のお墓を造るよりも安価なのは間違いないでしょう。ただし注意しなければいけないのは、年間の維持管理費が別途必要な場合は、その支払を怠ると排除されてしまう可能性があることです。

 

最近の新しいお墓のスタイルとして、期限付きお墓というものがあります。一定期間は一般のお墓ですが、13回忌、17回忌までのように利用期限が決められていて、期限がきたら合葬墓に移るものです。しかし、ここで取り上げているのは、初めから合葬墓という選択をするケースです。用地がないから、継承する人がいないから、などの理由でこれからは増え続けそうです。1つこんな話がありました「共同なので、いつも誰かしらお参りに来てくれる」。確かに、お参りする人が見ず知らずの他人であっても、お墓の中は寂しくないかもしれませんね。