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「夫とは別のお墓」女性専用墓地や納骨堂が増えている

記事公開日:2018.06.12/最終更新日:2023.04.13

読了予測:約4分

日本のお墓は、戦前の「家制度」の名残もあり、先祖代々のお墓のように、親を埋葬し子ども、孫の代も一緒に埋葬する、というお墓が一般的です。つまり夫婦は1つのお墓に入ってきました。それが最近は女性専用のお墓や納骨堂が増えているというのです。その背景を調べてみました。

夫の家族と一緒は嫌

戦後は、家制度、家父長制度が既に存在せず、結婚して夫の姓を名乗ることになっても、夫の家に嫁いだわけではありません。まだ法的には認められていませんが、夫婦別姓を訴える人も増えています。戦後生まれで、家という概念を持たない現代の女性たちが「夫の先祖など知らないのに、なぜ先祖代々のお墓に入らねばならないのか」という疑問を抱くのも当然かもしれません。また、夫の家族との関係が良好でなかった、というケースもあるでしょう。しかし、これまではそのように思ったところで、結婚した女性が個人資産を持っていない場合に、自分だけのお墓を造るというのはハードルが高かったのです。

女性の声を拾い続々と専用墓が

もう1つ、生涯未婚の女性が増えているということも理由の1つでしょう。配偶者がいないといって、実家のお墓に入るのは躊躇いを覚える、という女性は多いと思います。未婚女性の場合は、既婚女性と比べると個人資産を持っていることが多いので、自分だけのお墓を造る余裕はありそうです。ですが造ったお墓に供養のために訪れてくれる人がいないのは、やはり寂しいですね。そしてできれば、同じ女性の仲間と一緒のお墓がいい、と考えるのもよく分かります。このような女性のニーズをとらえて、霊園やNPO法人などが女性専用の墓地納骨堂のサービスを提供し始めたわけです。Webで調べるといくつかのサービスが見つかりますが、次のことがほぼ共通しているようです。

  1. 当然、女性専用区画
  2. 永代供養墓
  3. 供養は定期的にスタッフないし宗教者が行う
  4. 管理費は不要
  5. 価格は通常の墓地より安価

既婚女性にも新たな選択肢

これまでは「夫の家族のお墓は嫌」と思っても選択肢がなかった女性に、新たな選択肢が登場したのです。しかも比較的リーズナブルな価格で。調べてみたいくつかを次にご紹介します。

女性たちの共同墓 なでしこ

運営主体:NPO法人スノードロップ

特徴:生前予約あり、年1回合同供養祭の実施

女性のための共同墓

運営主体:NPO法人SSSネットワーク

特徴:バラの霊園「府中ふれあいパーク」の中の一画

女性専用個人墓 納骨堂

運営主体:新宿瑠璃光院

特徴:納骨堂、供養するのも女性だけ

天空葬コスモガーデン

運営主体:京都天が瀬メモリアル公園

特徴:共同墓ではなく個人墓、墓地が存在する限り存続する「永久墓地システム」

死後離婚も増えている

2007年の年金制度変更で、夫の厚生年金を離婚時に分割できるようになってから、夫が定年を迎えたら離婚するという熟年離婚が増えてきたといわれています。そして最近は、夫が死んだ後に離婚する「死後離婚」が増えているようです。実際には死後なので離婚ではなく、夫(配偶者)の家族・親族との関係を終了させる「姻族関係終了(届)」のことです。死別することで夫との婚姻関係は終了しますが、夫の親族との姻族関係は継続します。姻族関係終了届を提出すれば、姻族関係を終了させることができるのです。姻族(家族)ではなくなったことで、夫が(夫の家族も)入るお墓には入らなくても誰からも文句を言われない、と選択する女性が増えているのかもしれません。死後離婚が増加している根拠は、法務省が毎年集計している戸籍に関する統計データです。姻族関係終了届の提出件数は、2007年は1,832件でしたが、2016年は4,032件とこの10年で倍以上に増えています。しかも、2015年が2,783件なので、2016年は一気に増えたことになります。理由はさまざまでしょうが、世の男性の皆さん、奥さまと死後のこともちゃんと話し合う必要がありそうですね。

【参考】