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【MOVIEガイド】ガンジスに還る

2018年12月19日

今日ご紹介する映画は『ガンジスに還る』です。2016年に製作されたインド映画で、日本では2018年の10月27日から岩波ホールで公開されました。岩波ホールでの公開は12月14日で終了していますが、首都圏では東京のユーロスペースで12月15日から、川崎の川崎市アートセンターで1月4日から公開など、まだ観ることができる映画館がいくつかあります。また全国でも1月から公開する映画館があるので、オフィシャルサイトで調べて、近場に上映館がある方は、見に行かれることをお勧めします。

ストーリー

 不思議な夢を見て、自分の死期を悟った老人が、自らの一生をガンジス河の畔にある聖地で終えたいと言い出します。当然家族は皆反対しますが、老人は譲ろうとしません。そこで、長男が仕方なく仕事を休んで父親に付き添うことにします。聖地には、老人と同じように、ここで死を迎えるために来た人が暮らす「解脱の家」なるシェアハウスがあり、老人と長男もそこに入居して、生活を共にするのです。

 老人は、同じ目的の仲間たちと意気投合していきますが、長男は仕事が気になって仕方ない。死を迎えようとしている父親に対して反発し、衝突を繰り返します。しかし何日か経つうちに、雄大なガンジス河の流れが二人の間を解きほぐしていくのです。

国は違えど、変わらぬ親子の関係性

 ヒンドゥー教徒であるインド人は、私たち日本人とは異なる死生観、宗教観を持っています。宗教観に関しては、最近の日本人は持たない人がほとんどですが。そのため、主人公の老人の想いや行動に対して、共感を覚えることは難しいものがありました。ただし、日本と同じだなぁと思ったのが、親子の関係です。長男はヒンドゥー教徒であっても、現代的な考えの持ち主で、リアリストです。古い考え方の父親と、何かにつけて衝突するのは、私たちと一緒ですね。そして、衝突しても父親を想う気持ち、そして現代的合理主義が全て正しいのではなく、古い考え方の中にも良さがあることに気づけるかどうかが大切、というのも万国共通でしょう。

 インド版「終活映画」と呼べそうな映画ですが、テーマ自体は死ではなく、家族の絆と長男の再出発にありそうな気がしました。

 驚いたのは、監督の年齢です。1991年生まれというのですから、まだ20代の若さです。死を迎えようとしている老人、その長男にしても自分より年長、その感情をここまで画ききっていることに驚きを隠せません。

 インド映画というと、「ダンス(踊り)」を思い浮かべますが、この映画では誰も踊りません。その意味でも、必見のインド映画です。