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「死後事務」という言葉を聞いたことありますか?結構厄介なんです。生前からの準備が必要かも

記事公開日:2020.01.10/最終更新日:2023.04.24

読了予測:約3分

人が亡くなった後に必要な手続きは、以前も記事にしている、行政官庁に対する手続きもその中に含まれていますが、実に多様かつ膨大です。一般的には、自分の死んだ後に遺された家族や親族が行ってくれています。でも近年は、一人暮らし高齢者も増えていますし、増えている未婚化によって、ますます「お一人様」の死が珍しくない時代が来るかもしれません。そこで今回は、特にお一人様の死後事務について調べてみました。

死後事務と遺言

財産分与を定めるのが遺言です。遺言の中で、死後の事務についても記載しておけばいいのでは、と思う方もいると思いますが、遺言の法的効力が及ぶのはあくまでも財産に関することだけなのです。例えば、自分の死後の手続きは誰某に委ねると書いたところで、指名された誰某が遺族でない限りは故人の代理者として事務を行うことはできません。もちろん終活ノートに書いても法的効力は全く及びません。『自分の死んだ後は何も知らない、どうでもいい』と言われる人いるかと思います。また『国や市町村など行政が処理してくれるだろう』と考える人もいるかもしれません。確かに身寄りがない人が亡くなった場合の遺体は市町村が火葬に付します。しかし、それだけで後のさまざまな事務は何もしてくれません。確かに自分の死んだ後ではありますが、事務を放ったらかしにすることで、多方面の多くの人に迷惑をかけることになるかもしれません。

死後に必要な事務

死後に発生する事務にはどんなものがあるでしょうか。ちょっと思いつくものを列記してみましょう。

① 親族、知人への連絡

② 行政官庁等への諸手続き

③ 葬儀、埋葬、お墓に関する手続き

④ 医療費、入院費等の清算

⑤ 老人ホーム等の施設利用料等の精算

⑥ 生活用品、家財道具等の整理・処分

⑦ 住居の処分、解約

⑧ 公共サービスなど享受している各種サービスの解約、清算

⑨ インターネット上のアカウント削除(解約、退会)

⑩ デジタル遺品の整理

結構ありますね。②の行政官庁への手続きだけでも膨大なのに。

死後事務委任契約が増えている

このような社会状況、環境を踏まえて、最近では弁護士事務所、司法書士事務所、行政書士事務所などが死後の事務委任契約の売り込みを始めています。これは生前の本人の意思による契約行為として認められています。死後事務を委任することで、財産分与以外についても第三者にその処分を委ねることができる、というわけです。『現代の社会ニーズに合致したサービスがあるじゃないか』これで一安心かというと、そうでもないんです。確かにニーズには合致していますが、委任する費用がどうやら高額なのでは、という噂です。新しく登場してきたサービスでもあり適正な価格というものが、まだ確立していないのでしょう。また、このサービスを規制するための法律も監督官庁も存在しません。死後のことなので、契約通り事務を完了してくれたのか確認することもできないし、契約内容と異なると消費者庁に相談することも叶いません。こう聞くと心配なことだらけかもしれませんが、今後間違いなく必要になってくるサービスなので、よりブラッシュアップされた透明性のあるものに進化していくだろう、と筆者は考えています。

 

費用に関しては、信託銀行などでも手掛け始めているようなので、適正な価格帯に自ずと収斂していくことでしょう。一番の心配は、契約通り遂行してくれることのチェック体制ですね。ここは、行政がなんらかの関わりも持たないとだめかもしれませんね。良いアイデアが生まれることを期待しています。