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公営墓地から屋内墓地まで、墓地の種類と選ぶポイントとは?

記事公開日:2017.02.19/最終更新日:2020.03.17

お墓というと、墓石を思い浮かべる人が多いと思いますが、ここでは墓石ではなく墓所、墓地、つまり故人を弔う場所についてご説明します。

戦前までは、埋葬すべき場所(裏を返せば埋葬してはならない場所)が法律では決められていませんでしたが、昭和23年に公布された「墓地、埋葬等に関する法律」によって墓地は都道府県知事の許可を受けた場所のみとされ、それ以外の場所に埋葬することは禁じられました。この法律の目的の一つには公衆衛生の改善と徹底という大きな理由もありました。

最近では、『故人の希望だから』などの理由で、海や山に遺灰を散骨するケースが見受けられますが、実は法的に認められているものではありません。衛生面や社会に対する悪影響がないとみなされて黙認されているだけ、つまりグレーゾーンなので、おおっぴらにやると罰せられる可能性があることは覚えておきましょう。

お墓を建てる墓地を選ぶために、どのような種類があるのか、その特長と費用を知っておくことが重要です。

 

墓地の種類

墓地を運営・管理者の別に分けると次の4種類になります。

種類
運営者
ポイント

公営墓地

地方自体

永代使用費や管理費が比較的安価

宗教宗派を問わない

購入権は抽選だが、競争率は高い

墓石を購入する石材店を自分で選べるが、墓石の高さや形状に制限がある場合がある

民間墓地(霊苑)

民間企業(最近では寺院が経営する霊苑も増えている)

費用公営墓地より割高

宗教宗派を問わない

購入権は先着順が多い

墓石を購入する石材店が指定されている場合がある

寺院墓地

寺院

 

寺院境内あるいは寺院所有地

寺院の檀家が条件(宗教宗派は限定される)

墓石を購入する石材店が指定されている場合がある

寺院の消滅とともに、墓地も消滅する危険性

共同墓地

いない

「墓地、埋葬等に関する法律」以前の、地域の集落などの単位で構成された墓地

新規は、ほぼないと考えていい

自分ですべてを管理しなくてはいけない

 

共同墓地は現存するもの以外には有りえませんので、事実上3つの中から選択することになります。予算的なことを考えると理想は公営墓地ですが、公営住宅同様に競争率が高く抽選に当たる幸運を待つしかありません。

寺院墓地は、宗教宗派が限定されるケースが多いので、民間の墓地(霊苑)がもっとも選択し易いでしょう。現在ではお寺が経営する(宗教宗派を問わない)霊苑も増えており、Webサイトで検索すると実に多くの案内を見ることができます。

 

屋内墓地とは

都市部では宅地や工業地、商業地などの開発により墓地として使用できる土地は少なくなる一方です。一方で高度成長期以降の流入人口の増加によって亡くなる人の数は増加しています。埋葬する土地がない、という状況下で墓所を確保するための方法が、屋内墓地です。

屋内なので、都心部に設けることができるため、アクセスし易いという大きなメリットがあります。また、セキュリティがしっかりしている、雨の日でも安心ということも人気がある要因です。

屋内墓地は、屋内に墓石もあるお墓をつくる場合(完全霊園型)と、遺骨の入った骨壷を安置する納骨堂の2パターンに大きく分けられます。完全霊園型は墓石を建てるので費用も通常のお墓をつくる場合と大きくは変わりません。屋外が屋内かの違いだけです。

納骨堂は次の3タイプ。それぞれ費用や特長が変わります。

種類と見た目
費用
ポイント

ロッカー式

見た目はコインロッカー

 

10万円程度から

ロッカーに遺骨が安置

お参りはその扉を空けたロッカーの前

お参りのときに骨壷を出してくれる場合もある

仏壇式

仏壇がすらっと並んでいる

 

30万円程度からあるが、

100万円前後が一般的

上はキリがない

お供えや供花を置くスペースもある

仏壇のグレードにより費用は変動する

収納スペースがある場合もある

自動搬送式

葬儀場祭壇のミニ版

 

50万円程度からあるが、

100万円前後が一般的

上はキリがない

別の場所に安置されている骨壷が、ICカードで呼び出され、参拝所に届く

参拝所は、ブースの場合と個室の場合がある(費用は個室が高い)

参拝するための施設・設備が整っている

 

屋内墓地は、利便性や費用面など多くのメリットがありますが、建物の中ということで、次のような点に気をつける必要があります。

屋内墓地で気をつけること

  • 地震などの災害対策がしっかりされているか
  • 建物が立替になったときの対応はどうなっているか
  • 防火対策から火を禁じているかどうか(禁じられている場合、ローソクや線香がNGということになってしまいます)
  • 館内一斉整備などで、施設をクローズする日があるかどうか

 

新しい墓地のスタイル

核家族化が進んだ現代では、お墓は代々継承されるもの、という大前提が崩れかかっています。また少子化が進み、子ども、つまりお墓の継承者がいないケースも増えています。

そんな時代背景で注目されているのが「永代供養墓」です。お寺などのお墓の運営管理者が家族に代わって供養とお墓の管理をしてくれるというもので、継承者がいない、あるいは「子どもたちに、お墓のことで煩わせたくない」と考える人たちの支持を受けて、増えつつあります。永代供養墓の代表例として次の2つをご紹介します。

 

樹木葬

お寺や霊園の敷地内に、樹木(シンボルツリー)を植え、その周囲に遺骨が埋葬(合葬)されるというものです。お寺や霊苑が隣接する里山を開拓して墓所とするケースもあるようです。自然葬を指向する人からの支持も集めて、増加傾向にあります。費用は、墓石代が不要なので割安。永代使用費、管理費、埋葬費などすべてで遺骨一人あたり60万円から80万円程度が一般的のようです。ただし、初期費用とは別に年会費などの名目で年間5,000円から10,000円の費用がかかる場合があり、運営するお寺や霊苑によって違います。

 

期限付き墓地

13回忌まで、17回忌までのように利用期限が決められていて、期限がきたら合葬墓(合葬墓の種類は墓地によって異なります)に移るタイプです。

「自分が生きている間は、専用の墓地でお参りをしたい」と希望する人に応えるスタイルで、専用墓地も通常の墓地(平均1から2平米)よりコンパクト(平均0.5平米)なケースが多く、期限内使用料、墓石代、永代供養墓への納骨代(墓石撤去含)で100万円程度からと通常の墓地の半額で済む場合が多いです。

ただしこちらも、専用墓地の期限内は、年間の会費、管理料などの名目で1万円程度かかる場合があり、その条件はお寺や霊園によって異なります。もっとも、永代供養墓に移ったあとの管理費は発生しない場合がほとんどです。

 

時代にあわせて、さまざまなお墓や埋葬、供養の方法が生まれてきています。得られる情報も豊富ですので、ご家族のご希望や状況にあわせた、最もふさわしい方法を選択できる時代なのかもしれません。

お墓はお参りをする場所という大前提がありますので、お参りするときの交通の便や、ご予算に応じた墓地を、充分に時間をかけて調べて、納得のいくお墓をつくるようにしたいものですね。