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【樹木葬の費用が安い理由とは】種類別の費用の相場を解説

記事公開日:2023.09.28/最終更新日:2024.09.11

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【樹木葬の費用が安い理由とは】種類別の費用の相場を解説

一般的なお墓だけでなく、様々な埋葬方法を利用する人が増えてきており、その中でも「樹木葬」の人気が高くなっています。

 

人気の背景には、死後は自然に還りたいと考える人が増えたことや、子孫にお墓の管理の負担をかけたくないということもありますが、お墓と比べて費用が安いことも大きな理由となっています。

 

樹木葬の費用相場は、他の人と一緒に埋葬する合祀タイプで「8万円~20万円」、他の人と一緒の埋葬でありながら区分されている共同埋葬タイプが「15万円~60万円」、個別に埋葬する個別埋葬タイプが「30万円~80万円」程度です。

 

お墓のように維持管理の負担がなく、年間の管理費もかかりません。

 

ただし、新しい埋葬方法ですので、家族や親せきの中には、いいイメージを持っていない人もいます。

 

利用する場合はしっかりと話し合って納得してもらう必要があります。

 

また、樹木葬で埋葬した遺骨は後から取り出してお墓に納めようとしても、ほかの人の遺骨と一緒になっていることが多く、取り出せない可能性があることを理解しておかなければなりません。

 

この記事に「樹木葬が安い理由」や、「種類別の費用の相場」について詳しくまとめてあります。

 

ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

こちらのページにも樹木葬についてまとめてあります。
⇒ ご参照ください。

 

樹木葬については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
⇒ ご参照ください。

 

樹木葬の費用相場については、こちらの記事も参考になります。
⇒ ご覧ください。

 

樹木葬とは

樹木葬とは
 
樹木葬とは、従来のお墓のような墓石を建てず、シンボルとなる樹木を墓標にして故人を弔う新しい埋葬方法です。

 

死んだあとは自然に還りたいという自然志向の考え方が広まったことや、墓地とは違った解放感のある雰囲気から人気となっています。

 

また、お墓のような維持管理が不要で、子孫に継承することがないので、負担をかけたくないと考える現代の考え方にもマッチしています。

 

お墓と比べて費用がそれほどかからない点は大きなメリットとなっています。

 

樹木葬は、全国的な広がりを見せており、寺院の他、公営霊園や民営霊園でも運用されるようになっています。

 

樹木葬は、施設の種類や埋葬方法で分類することができます。

 

樹木葬の種類

樹木葬の種類
 
樹木葬は法律などで明確に規定されているものではありませんが、施設の作り方で「庭園型」「公園型」「里山型」の3つに分類されています。

 

庭園型

 
都市部の寺院や霊園によくみられるタイプで、敷地の一角を庭園風な作りにして樹木や草花を植え、そこに埋葬しています。

 

シンボルとなる木(シンボルツリー)の周りに遺骨を埋葬します。

 

公園型

 
公園型
 
これまで墓地といえば地味なイメージでしたが、新しく造成された霊園の多くは開放的で公園のように芝生に覆われて、きれいな草花や樹木が植えられています。

 

見た目に美しいデザインが施されており、墓地とは思えないような雰囲気になっています。

 

里山型

 
里山の地に区画を設けて埋葬し、樹木を植えてなるべく自然に近い形で弔うスタイルです。

 

手入れはされていますが、人がきれいにデザインしたような形ではありません。

 

自然志向の考え方が反映された施設です。

 

樹木葬の埋葬方法

樹木葬の埋葬方法
 
樹木葬の埋葬方法には「合祀タイプ」「個別タイプ」「共同埋葬タイプ」の3種類があります。

 

合祀タイプ

 
合祀タイプは、故人の遺骨を他の人の遺骨と合わせて一緒に埋葬する方法です。

 

葬の費用が安くなりますが、埋葬した後から故人の遺骨を指定して取り出すことはできません。

 

他の人の遺骨と混ざってしまうことに、心理的な抵抗を感じる方もいるかもしれません。

 

個別タイプ

 
個別タイプ
 
個別タイプは、一人分や家族分の専用に設けられた区画に遺骨を納めるタイプです。

 

遺骨を入れるのは、骨壺や布袋など施設の指定の方法になります。

 

合祀タイプと比べると費用はかかりますが、一般的なお墓の購入よりも安く収めることができます。

 

納骨した後、一定期間経過すると個別エリアから合祀エリアに移されるのが一般的です。

 

合祀エリアに移した後は、施設側で管理してもらえます。

 

共同埋葬タイプ

 
共同埋葬タイプは、シンボルツリーの周りに区分して埋葬されます。

 

他の人とは一緒にならないようになっています。

 

料金は、合祀タイプと個別タイプの中間ぐらいです。

 

お墓との違い

お墓との違い
 

樹木葬と一般的なお墓とはどのような違いがあるか、「3つの視点」で確認してみましょう。

 

1. 継承するかしないか

 
一般的なお墓は、家族やその子孫が継承し、維持管理をしていくと考えられています。

 

管理費用も引き継いだ子孫が負担します。

 

これに対して、樹木葬では子孫が引き継ぐことを想定していません。

 

自分自身や夫婦、家族で利用する契約となっており、継承することはありません。

 

2. 遺骨の供養方法

 
お墓に埋葬する場合、遺骨は骨壺に入れて納骨棺に納めます。

 

一人一人の遺骨はそのまま個別に納められた状態を保っています。

 

樹木葬では、死後は自然に還るものと考えられており、遺骨は土に還ることを想定して埋葬されます。

 

個別タイプや共同埋葬タイプも一定期間が経過した後は、合祀エリアで土に還っていきます。

 

3. 費用

 
一般的なお墓を新たに建てる場合は、150万~200万円程度の費用がかかります。

 

先祖のお墓にそのまま入るのであれば、購入する必要がありませんが、毎年1万~2万円の管理費を負担しなければなりません。

 

樹木葬にかかる費用は、タイプによって異なりますが「20万~80万円」が相場になっています。

 

毎年の管理は不要です。

 

樹木葬の費用相場

樹木葬の費用相場
 
樹木葬の費用相場は埋葬のしかたによって異なります。

 

埋葬のタイプによる費用相場は下記のとおりです。

 

  • 合祀タイプ:8万円~20万円
  • 個別埋葬タイプ:30万円~80万円
  • 共同埋葬タイプ:15万円〜60万円

 

他の人の遺骨と一緒にして埋葬する合祀タイプが、一番費用がかからず、他の人と分けて個別に埋葬するタイプが費用としては高くなります。

 

他の人の遺骨と一緒ですが区分された形の埋葬となる共同埋葬が中間の費用です。

 

一般的に樹木葬の費用には「使用料、埋葬料、管理料」が含まれています。

 

ただし、ケースによっては、別途費用がかかる場合があります。

 

例えば家族で契約している場合は、埋葬料が一人分ずつ必要になったり、生前契約している場合には埋葬するまでの管理料が必要だったりします。

 

お互いに誤解が生じないように、事前にしっかり確認をしておきましょう。

 

これらの費用の他に、オプションサービスとして、故人の名前を石板に彫って飾るといったサービスを用意しているところがあります。

 

樹木葬の費用が安い理由

 
樹木葬の費用が安い理由
 
樹木葬の費用が安い大きな理由は、墓石が不要であることです。

 

新たにお墓を購入する際には、150万~200万円の費用がかかります。

 

また、お墓の場合には戒名や永代供養などの費用が、樹木葬ではがあらかじめ含まれています。

 

お墓の場合には毎年管理費が1万~2万円かかりますが、樹木葬には不要ですので、トータルの費用も抑えることができます。

 

樹木葬が話題になっている背景

樹木葬が話題になっている背景
 
樹木葬が日本で初めて実施されたのは、1999年岩手県の大慈山祥雲寺(現:長倉山 知勝院)というお寺です。

 

遺骨を埋葬した辺りに樹木や草花を植える今までになかった弔い方と、里山緑化という自然回帰の思想が多くの人に支持され、マスコミ等を通じて大きな話題となりました。

 

その後も樹木葬は全国的に広がりをみせ、2012年には都立霊園としてはじめて小平霊園でも樹木葬の公募を始めました。

 

初年度の公募では、500体の募集に対し応募が8,169体、倍率は16.3倍となったことから、樹木葬に対する人気の高さが現れています。

 

その後も各地で樹木葬は広がり続けており、民間霊園、公営霊園や寺院でも運営されています

 

申し込みから納骨までの流れ

申し込みから納骨までの流れ
 
樹木葬は本人が生前に申し込みをするのが一般的です。

 

申し込みまでの手続きはお墓の場合とほぼ同様です。

 

1.情報収集

 
WEBサイトを見て情報を集めたり、墓石店などからパンフレットを受け取ったりして情報を収集します。

 

2.現地見学

 
よさそうな施設が見つかれば、予約をして現地の状況を見学します。

 

施設の中だけでなく、周囲の環境や雰囲気、プランの内容や交通手段などをしっかり確認しておきましょう。

 

気になることがあれば、その場ですぐに質問してクリアにします。

 

3.契約・入金

 
施設の様子や雰囲気、プランの中身など十分に納得し気に入ったら、契約書を交わして費用を入金します。

 

長期間の利用になるので、すぐに決めてしまわず、ゆっくり検討してから決めましょう。

 

4.使用許可証の交付

 
施設側が入金を確認すると、使用許可証を発行してくれます。

 

これで樹木葬が利用できるようになります。

 

埋葬までの流れ

埋葬までの流れ
 
樹木葬は、法律ではお墓と同じ扱いになっており、散骨とは異なります。

 

埋葬までの手続きの流れもお墓とほぼ同じです。

 

1.死亡届を提出

 
役所に死亡届を提出して、火葬許可証の発行をしてもらいます。

 

2.火葬

 
遺体を火葬場に搬送し、火葬許可証を提出して火葬してもらいます。

 

後日、火葬場から埋葬許可証が送付されます。

 

3.樹木葬の施設に埋葬許可証を提出

 
申し込みをしている樹木葬施設の窓口に連絡して埋葬の日程を決めます。

 

施設やプランによって埋葬の方法が違う場合があるので、確認しておきましょう。

 

樹木葬のメリット

樹木葬のメリット
 

樹木葬には、様々な「メリット」がありますので確認しておきましょう。

 

維持管理が不要

 
一般的なお墓であれば、お墓を引き継いだ家族が定期的に清掃や手入れをしなければなりませんが、樹木葬は施設側がすべて管理しているため、清掃などの管理や手入れは一切不要です。

 

多くの施設では一定期間経過に合祀されるため、供養も施設側が続けてくれます。

 

お墓よりも費用を抑えられる

 
お墓よりも費用を抑えられる
 
お墓を新しく買った場合には、150万~200万円程度はかかります。

 

一方、樹木葬の費用相場は「20万~80万円」ほどで、安いところでは一人10万円というところもあります

 

年間の管理料や寄付なども必要ないので、費用をかけずに埋葬できます。

 

宗教・宗派を問わない

 
樹木葬では宗教・宗派を問わず埋葬できます。

 

寺院でも樹木葬を行っている施設はありますが、その場合も宗教・宗派を問わずに受け入れています

 

ただし、一部の施設では条件付きとなっているところもあるので、事前に確認しておきましょう。

 

お参りの対象がはっきりしている

 
お参りの対象がはっきりしている
 
一般的に散骨をする場合は、遺骨を粉状に砕いて海に撒きます。

 

遺族は海に向かって手を合わせて拝みますが、特定の対象物がないので気持ちの上で受け入れにくいと感じる人もいるでしょう。

 

樹木葬の場合は、シンボルツリーや故人の名前を刻んだ銘板に向かって手を合わせるので、拝む対象が目の前にあることで自然に手を合わせることができます

 

樹木葬のデメリット

樹木葬のデメリット
 
メリットが多い樹木葬ですが、「デメリット」についても知っておきましょう。

 

遺骨の返還ができない場合がある

 
合祀タイプの樹木葬で埋葬した場合は、遺骨が他の人のものと混座ってしまうためあとから特定の人の遺骨を取り出すことは不可能です。

 

個別に埋葬するタイプであっても、骨壺に入れない施設もあり、また一定期間が経過した後は合祀して供養するので、その場合も取り出すことができません。

 

将来お墓に埋葬したいと考えている場合は、こうした事情を理解してどうするかを検討しておきましょう。

 

子や孫に承継できない

 
子や孫に承継できない
 
樹木葬は、申し込みをした本人や家族が一代に限って利用できるもので、子どもや孫に代々引き継ぐことはできません。

 

子孫に継承したい場合は、一般的なお墓を選ぶほうがいいでしょう。

 

里山型は交通アクセスがよくない

 
庭園型や公園型の樹木葬の施設は都市部にあり、アクセスがいいところが多いですが、里山型の樹木葬施設は街の中心から離れた場所にあるケースが多く、交通の便が良くないようです。

 

最寄りの駅から傾斜のある道を徒歩で登るような場所もあるため、高齢者にはお参りしにくいかもしれません。

 

樹木葬を選ぶポイント

樹木葬を選ぶポイント
 
樹木葬は死後長くそこに埋葬されるものですので、十分納得して選ぶ必要があります。

 

現地で確認する際には、「どのポイントを見て選べばいいのか」確認しておきましょう。

 

1.雰囲気・環境

 
樹木葬の施設は、一般的な墓地とはかなり違った雰囲気のところが多いです。

 

必ず現地に行って施設の雰囲気や周りの環境を確認しておきましょう。

 

2.埋葬方法

 
樹木葬の埋葬方法は、施設やプランによって違っています。

 

また個別に埋葬する場合であっても、骨壺に収納するところや布袋に入れて埋葬するところなど、それぞれ異なります。

 

埋葬方法は、その場でしっかり確認しておくほうがいいでしょう。

 

3.お参りの方法

 
樹木葬の施設では、お参りのしかたにルールが決められているケースが一般的です。

 

お線香はたかないで、お花は決められた場所に供えるようになっています。

 

お参りのしかたについても確認しておくといいでしょう。

 

4.宗教・宗派のルール

 
多くの樹木葬施設では、宗教・宗派に関係なく受け入れています

 

ただし寺院が運営する施設の一部では、申し込みをするには檀家に入ることが条件になっていたり、独自のルールが定められていたりするケースがあります。

 

5.交通手段

 
施設までの交通手段は、車を所有している人も公共交通機関のアクセスを確認しておくほうがいいでしょう

 

高齢になったときに運転できなくなった場合のことを考えておくようにします。

 

6 管理体制

 
施設の管理状況もしっかり確認しておきましょう。

 

樹木がきちんと手入れされているか、区画の整備ができているか、掃除が行き届いているかを細かく見ておきます。

 

また施設の管理人の人柄もチェックしておいたほうがいいです。

 

樹木葬がある霊園の紹介

樹木葬がある霊園の紹介
 
樹木葬に対応する霊園の数は、年々増えてきています。

 

ここでは、全国にある施設からいくつか紹介していきましょう。

 

知勝院

 
日本で最初に樹木葬として埋葬を始めたのが、岩手県一関市にある祥雲寺というお寺(現在は知勝院)です。

 

1999年に「花に生まれ変わる仏たち」というコンセプトのもとに区画ごとにきれいな草木を植栽し、宗教宗派を問わず受け入れるという新しい提案がマスコミ等にも取り上げられ話題になりました。

 

その後も日本全国から数多くの問い合わせが来るようになりました。

 

都立小平霊園

 
都立小平霊園
 
都立小平霊園は、都立の施設として初めて2012年に樹木葬を始めたところ、公募に対して非常に多くの応募がありました。

 

当初はシンボルツリーの下に共同で埋葬する設備を用意して埋葬していましたが、近年では個別埋葬もできるようになっています。

 

稲城・府中メモリアルパーク

 
2015年に東京都の稲城市と府中市の2市で立ち上げた新しいタイプの霊園です。

 

スタイルの異なる墓地を備えているのが特徴で、「芝生墓地、普通墓地、合葬式墓地と樹木葬の墓地」の4種類の埋葬施設があります。

 

横浜市営メモリアルグリーン

 
横浜市営メモリアルグリーン
 
2006年にオープンした横浜市営メモリアルグリーンは、公園と霊園が一体となった開放的な雰囲気の霊園です。

 

霊園内には、「芝生型、合葬式樹木型、合葬式慰霊碑型」の3種類の埋葬施設が用意されており、シンボルツリーの下に骨壺を埋葬する形で樹木葬が行われています。

 

樹木葬で注意すべきポイント

樹木葬で注意すべきポイント
 
樹木葬は伝統的なお墓とはかなり異なるところがあります。

 

トラブルにならないよう、事前にしっかりと確認をしておきましょう。

 

周囲の人の理解を得る

 
しきたりやこれまでの風習を重んじる人の多くは樹木葬に対して、いいイメージをもっていません。

 

代々続いてきたお墓を次の世代に引き継ぐのが役目、と考えている家族や親せきがいるかもしれません。

 

樹木葬に決定する前には、家族や親せきと十分に話し合いを行い、理解してもらってから契約を進めましょう。

 

遺骨は返還されないことを理解する

 
遺骨は返還されないことを理解する
 
合祀タイプで埋葬された場合は、他の方の遺骨と混ざってしまうため、特定の人の遺骨だけを取り出すことは不可能です。

 

後からお墓に埋葬したいとしても、遺骨の返還は難しいということをあらかじめ理解しておきましょう。

 

自分で草木を植えることはできない

 
庭園型の樹木葬では、きれいな草花を植えてきれいに整備されています。

 

ここに自分で勝手に植物を植えることは禁止されています。

 

施設内の樹木や草花の手入れや管理は施設側で責任をもって行っています。

 

【樹木葬の費用が安い理由とは】種類別の費用の相場を解説 まとめ

樹木葬は、自然回帰の思想もありますが、費用が安いことも大きな魅力となっています。

 

費用相場は「20万~80万円」と手ごろで、管理費も不要で継承しなくていいことから、子どもに負担をかけたくないと樹木葬を選ぶ人もおり、これからも利用者が増えていくことが予想されます。

 

ただし、樹木葬に対して、いいイメージを持たない人が半分近くもいることから、トラブルを避けるためにも家族や親せきとしっかり話し合いをしておくようにしましょう