「墓友」という言葉を知っていますか?メル友、ツイ友、飯友(めしとも)にママ友。いろんな友達が誕生していますが、一緒のお墓に入る友達のことなんだそうです。
交友関係の形の1つ
2010年前後から使われ出した言葉のようです。交友関係の1つで、同じ死生観を持ち、共同でお墓を購入し、亡くなった後はそのお墓に一緒に埋葬することを約束した仲間のことを称しているそうです。
樹木葬の普及を進めている、認定NPO法人エデンディングセンターが商標登録して世間に発信したことで広がったとされています。商標登録されていますから、何らかの事業の中で「墓友」という言葉を使用することはできません。
墓友が誕生した背景
墓友という概念が生まれた背景は、
- 家族や親族がいない1人暮らしの高齢者が増えてきた、
- お墓を継承する相続人がいない家庭が増えてきた
- 子どもにお墓のことで迷惑をかけたくない人が増えてきた
- 管理者がいない無縁墓になる可能性が高い時代になってきた。
などと説明がされていますので、墓友はこれらの課題を解決するための方法の1つに捉えられてもいるようです。
永代供養墓であることが大前提
でも少し考えれば、墓友をつくっただけで解決できることは多くはないことが分かります。解決できるとしたら『独りでお墓に入りたくない』という想いと、『子どもに迷惑かけたくない』だけですね。
墓友はお墓の管理を委ねる友達ではなく、一緒に入る友達です。年齢も比較的近いでしょうから、ほぼ同じようなタイミングでお墓に入る可能性が高いです。墓友が全てお墓に入ってしまったら、お墓を継承する人はいなくなります、管理者もいなくなるので無縁墓となります。つまり墓友が成立するには、霊園や宗教施設が管理者としてお墓の管理をしっかりとする永代供養墓(合葬墓)であることが大前提となるわけです。
管理費がおそらく必要になる
以前も記事にしましたが、お墓の用地不足から合葬墓が増えています。一般的な合葬墓は永代供養の契約が必要で、契約時に支払う初期費用とは別に年間の管理費や運営費がかかります。墓友が皆お墓の中に入ってしまったら、その費用は誰が払うのでしょうか?管理費の支払いが滞った時点で遺骨はお墓から排除されてしまうかもしれません。
結局は樹木葬しか成立しない
これらのことから考察すると、エデンディングセンターが提唱する樹木葬のように、お墓の維持管理に手間がかからない(管理費等が発生しない)お墓以外は成立しないことが分かります。「墓友」という言葉が誕生してから数年を経ていますが、大きな広がりを見せていないのは、あまり課題解決に役立っていないからなんでしょうね。
終活の1つとしてこのような形もある、ということだけ頭の片隅にでも入れておけば良いと思います。