自分の人生を自ら記述する自伝、自叙伝。著名な自伝には、福沢諭吉の『福翁自伝』、湯川秀樹の『旅人-ある物理学者の回想』、坂口安吾の『風と光と二十の私と』、本田宗一郎の『夢を力に』、松下幸之助の『夢を育てる』などがあります。何らかの大業を成し得た人物の成功譚や立志伝だから、自分には関係ないことだと考えがちですが、例え周りから見ると平凡な人生であったとしても、自分や家族にとっては紛れもなく1つの大切な歴史です。今では自伝、自叙伝とは別に「自分史」というジャンルに位置づけられて、多くの人が自分の人生を振り返っています。今日はそんな「自分史」を書くことの意義を考えてみましょう。
自分史を書くと分かること
自分の歩みを振り返ることで、家族への感謝や懺悔や後悔の思いを再確認することができます。また、家族だけでなく縁あった人たちに対する感謝や愛情も改めて認識することができます。学校や仕事なども振り返ることは、これからの人生のモチベーションにつなげることも期待できます。
意義はいくつもある
そんな自分史をまとめることの意義はいくつもありそうです。思いつくものを列記してみましょう。
- 書く過程で、自分だけでなく家族や縁あった人たちのことを改めて知ることができる。
- 忘れたていた夢や、自分の長所を思い出すことで、これからの人生の目標や生きがいが見つかる。
- 家族や周囲の人にまとめた「自分史」を読んでもらうことで、自分らしさを周りに理解してもらうことができる。会話のきっかけにすることができる。
- 自分らしさを整理したことで、自分らしさを伝えやすくなる。
- 過去を思い出すという作業が、脳細胞を活性化させる。
- (主に家族や子孫に対して)自分が生きていた証を残すことができる。
- 費用を出せば自費出版として出版も可能。
- 面白い内容であれば、一般の市販ルートに流れる可能性も。
自分史の書き方
自分史に限らず、史書は年表を作成し資料を集め、それらの情報から歴史を書くという手法をとるのが正しい書き方といえます。そこで次のような進め方をお勧めします。
- 生まれた時から現在までのできごとを時系列に埋め年表をつくる
- できごとに、一言二言感想(そのときの思いやエピソードなども)を添える
- 写真や、成績表・卒業証書・集めていたコレクション・もらったプレゼントなど思い出の品があれば、一緒に整理する
- 年表は何度か読み返しながら、欠けているできごとを思い出し、その都度①、②、③を繰り返して年表を完成させる
- 年表、写真、思い出の品を見ながら、当時の様子を思い出し少しずつでいいので書いていく何度も繰り返し書いては読むことで、自分の歴史のピースを埋めていきます。
自費出版を主な事業として営んでいる出版社が、「自分史」のセミナーなども開催しています。また、自分史大賞、自分史文学賞などの賞も設けられています。一般社団法人「自分史活用推進協議会」などという団体も活動していて、終活ブームの中でも注目されている活動のようですね。そして前にあげた自分史の意義のほとんどは、決して年をとってからではなく、若い頃にチャレンジしても意義があることなのです。若いほうが思い出すことも簡単ですし。時間が必要ということ以外は、デメリットが全くなくプラス要素ばかりなので、トライすることを考えてみてはいかがでしょうか。