人は亡くなると、死装束(白装束)といわれる白い衣装を着せられます。もっとも最近では、生前に故人が好きだった衣装や白以外の故人が好んだ色の衣装を着せるなど、ここにも多様化、個別化の波が訪れています。さらに今では、死出の旅立ちにオリジナルのドレスを着るという「エンディングドレス」なるものが人気を集めているようなのです。
始まりは2012年
どうやら始まりは2012年に、アンビエンスという会社が「エンディング・スタイル」という新しいスタイルを提唱したことのようです。2012年7月の業界誌「葬儀業界新聞」には、『最後まで、ステキな私で』をキャッチフレーズにアンビエンス社が取り組む、これまで見られなかったファッショナブルなエンディングドレスを紹介する記事が掲載されています。同社の高橋社長が、自分の葬儀では自分らしくドレスアップしたいと考えて自分用のドレスをつくったことが始まりだったとか。その後エンディングドレスのブランド「エテルナ」を立ち上げたそうですが、現在は廃業してしまったのかアンビエンス社もエテルナも見つけることはできません。
各社各様にさまざまなドレスが展開中
フロントンランナーは舞台から姿を消しているようですが、そのアイディアを多くの企業が取り込んで、現在は百花繚乱の気配です。インターネットで検索しても、さまざまなエンディングドレスが見つかります。費用も5万円くらいから30万円超までと選択肢も豊富。オートクチュールのエンディングドレスを作る店までありました。広がりを見せている終活の一つとして、特に女性に対する「これまでと同じ衣装でいいのですか」という提案は、誰もが同じ白く地味な衣装しか頭になかった人の興味を惹くことは間違いなかったのでしょう。実に上手い目の付け所だと思います。
男性用もあるみたい
選ぶことができるドレスは、色もピンクやブルーにローズ、パールなど実にカラフルで、洋装だけでなく和装も選べます。また、帽子などの小物も提案しています。2012年当時は、アンビエンス社の高橋社長曰く「男性のお客様はまだいない」ようでしたが、今は男性用衣装も備えている店もあるようです。
衣装を選ぶとき気を付けること
自分の好きな死出の旅立ちの衣装を選べる時代なんだと、この変化には驚くばかりです。もちろん冒頭でも書いたように、店のエンディングドレスでなくても、自分の好みの衣装を着せてもらうことができます。ただし店で購入した衣装であれば、店側が配慮しているでしょうから恐らく安心だと思いますが、自分で衣装を選ぶときには気を付けなければいけないことがあります。それは火葬することを考える、ということです。次の物は基本NGと考えておいてください。
- 燃えにくい素材、燃えない素材が使われている
- 溶けて骨に付着する可能性がある素材(プラスチックなど)が使われている
- 金属のボタンなど、金属製の装飾品が付いている
自分なりの衣装が決まったら、エンディングノートなどに遺しておくことを忘れないように。家族の誰も気づかなかったら、白装束になってしまいます。
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