親の葬儀が終わり、遺品を整理し始めたら大量の写真が見つかる。こんなケースよくありそうですね。遺品の中から出てきた写真はどうすればいいにか、一緒に考えてみましょう。
最も悩ましいのが写真
インターネット上の質問サイトでも、『大量に見つかった写真をどうすればよいか』といった質問が寄せられています。故人が写っている写真だけでなく、故人が撮影した写真や、場合によっては故人も受け継いだ昔の写真が遺されることもあるでしょう。遺品整理のときに最もその処理に困るのが写真だといわれています。人が写っているので、廃棄という選択肢を採ることに躊躇いを覚えるのは誰にでも共通する感情ではないでしょうか。とはいっても、大量であれば、その保管方法には窮してしまいますよね。
1つの方法がデジタル化
紙焼きの写真のデジタル化を請け負う事業者の数は増えています。遺品整理専門でなくても、フィルムメーカーの富士フィルムや、カメラのキタムラのような写真用品チェーン店でも、ネガ・ポジフィルムや紙焼きのスキャンサービスがメニューの1つになっています。料金は事業者によってマチマチですが、1枚あたりにすると4円、6円くらいからありそうです。
また、最近では自宅のプリンターが複合機というお宅も多いでしょう。手間暇はかかりますが、自分でスキャンしてデジタル化するということも考えられます。デジタル化することでスペースをとらずに保存することが可能にはなりますね。デジタル化にはそれ以外にも、紙焼きでは起こる退色がないこと、スマホなどでいつでも簡単に見ることができるなどのメリットもあります。
遺すことの意義を考える
そう考えるとデジタル化がベストの選択肢のようにも思えますが、ここで1つ認識していただきたいことがあります。それはデジタルデータが永遠ではないということです。デジタル化はここ20年くらいの間に急速に広まりました。歴史は浅く、データそのものがどれだけ保つのか検証はできていません。それ以前にデータを格納する媒体である、DVDやBlu-rayの寿命は、保存状態が良くても数十年だといわれています。ここがアナログ媒体である紙焼きやフィルムとの決定的な違いです。つまり未来に遺すための方法としては、選択できないということになります。
では『未来に写真を遺すための方法は何か』ですが、それを考える前にここで1つ疑問を投げかけたいと思います。それは『写真を未来に遺したとして誰が見るのでしょうか?』です。自身を含めて故人と身近だった人たちも徐々に鬼籍に入ります。故人を直接知らない人が生きる未来に写真を遺すことに、どれだけ意味があるのか考えてみる必要があると思います。
お焚き上げがベスト
故人を偲ぶため数枚の写真だけを手元に残して、あとは処分するというのがベストだと筆者は考えます。処分といっても廃棄するのではなく、神社や仏閣では使わなくなった物などを焚いて供養する「お焚き上げ」という儀式があるので、その活用を考えてみるのがよいでしょう。お焚き上げでは、神主や僧侶がお祈りをあげ供養しながら品物を燃やしてくれます。写真以外でも、処分に困る(廃棄できない)遺品は同様にお焚き上げで燃やしてもらうことができます。最近では、お焚き上げを専門に行う事業者も出てきているようです。
遺族に写真の整理を委ねるのではなく、生前に手を付けるのが理想だと思います。終活における最も重要なテーマかもしれません。遺族は処分できなくても、自分なら処分することができます。整理して数を減らした上で、何の写真なのかの説明も残し、希望する処分方法なども記しておけば、遺族の負担がかなり減りますね。