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終活の普及が影響? 多様化する骨壷

記事公開日:2018.11.30/最終更新日:2023.04.04

読了予測:約3分

故人を火葬した後に、拾骨した遺骨を納めるのが骨壷です。骨壷と聞くとと、陶磁器を素材にした白い円柱状の壺を思い浮かべる人が多いと思います。ところが最近では多彩なデザインや素材の骨壷が登場しているのをご存知でしょうか。

実は東西で異なる骨壷のサイズ

始めに骨壷のトリビアをひとつ披露します。骨壷は東日本と西日本ではサイズが異なっているんです。その理由は、東日本では遺骨全てを拾骨するのが慣習であるのに対して、西日本では一部しか拾骨しないからだそうです。そのため、東日本では7寸サイズ(直径約22センチ、高さ約26セント)の骨壷が使用され、西日本では6寸サイズ(直径約18センチ、高さ約21センチ)の骨壷が主に使用されています。

生前に自分好みの骨壷を準備

終活が広まりさまざまな準備をする人が出てくるなかで、死後のことも細かく自分流を出したいという人が増えています。生前に、極一般的な白い骨壷は避けて自分好みの骨壷を選んでおく、という人が増えているのかもしれません。中には自分で骨壷に絵や字を描くという人もいるようです。そんな多様化するニーズに応えるために、骨壷のメーカーは実に多彩な骨壷を作り出すようになっているようです。2018年8月に開催された、エンディング産業展でもさまざまな骨壷が多数展示されていましたので、いくつかご紹介します。

可愛らしい骨壷

手前の小さなサイズは手元供養用

ひときわ目を引いたのが、こちらの骨壷です。筆者は最新の骨壷事情にあまり通じていなかったので、一瞬目が点になりました。「なんて『斬新』、なんて『明るい』んだ」。このような明るい色の骨壷、趣向を凝らしたデザインの骨壷に納められたら、あちらでも楽しく過ごせるかも。ただし、これらの骨壷を遺族は絶対に選ばない気がします。骨壷は、遺族(家族)だけでなく葬儀に参列する人も目にすることがありますので、誰からも何も言われない無難な白い骨壷を選ぶのではないでしょうか。だからこそ、生前に自分好みの骨壷を選んでおく必要があるんですね。

メインの写真も含めて、こちらは愛知県瀬戸市で「他にはない骨壷」をコンセプトに掲げ、骨壷や葬具、仏具、神具などの製造販売をされているエスケーさんの製品です。

海外の骨壷はクール

こちらは、PLUDRAさんというドイツの葬儀関連具メーカーの製品です。クールなデザインで、日本とは方向性が異なっているのが面白いですね。

自然葬にマッチする骨壷も登場

紙製の骨壷も見つけました。これは素材の多様化ですね。最近は樹木葬に注目が集まっています。樹木葬によっては、遺骨を直接地面に埋めるのではなく、骨壷ごと埋めるケースもあるようです。そのときに従来の陶磁器の骨壷では自然に還ることなく、中の遺骨とともに地中に存在し続けることになります。紙製の骨壷であれば、遺骨も骨壷もやがては大地に還っていく。

こちらは群馬県で張り子の制作をメイン事業とされている、アクティ大門さんが、和紙加工技術のノウハウを活かして開発されたものです。

派手なお棺で旅立ちを

最後は骨壷ではなくお棺です。これからは、こんな派手なお棺も登場してくる世の中になっていくのでしょうか。これも、生前に希望して作っておかなければ、絶対に無理だろうなと筆者は確信しています。こちらも、先程のエスケーさんの製品です。

 

骨壷の価格は千差万別です。シンプルな白い骨壷であれば1,000円代からありますが、デザイン骨壷や、青磁や白磁、九谷焼や大理石など高級素材を使用する骨壷は、1万円くらいから10万円くらいまでと、かなり高額です。葬儀に費用をかけない層が増える一方で、終活で自分の葬儀の準備もしておく、結果としてはそれなりに費用をかけた葬儀になる。こんな二極化が進んでいくのだと思います。