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ペット のための 終活 その1「ペット信託」

2020年06月30日

以前に書いた記事「家族に繋ぐ想い。それがエンディングノートです」でもエンディングノートに記したほうがい内容として、ペットに関することをあげました。自分が死んだ後に、愛するペットの面倒をどうするのか、それをはっきりさせておくことは飼い主の努めでもあります。日本では現在のところ、ペットは民法で何も規定されていません。そのために、民法85条の『この法律において「物」とは有体物をいう』という規定が適用され「物」として捉えられます。物であるために、権利義務の帰属主体となることができないので、ペットに財産を遺すという選択肢をとることができません。海外の映画やドラマには、莫大な財産を相続したペットを巡る珍騒動、といったコメディもありますが日本では残念ながらお目にかかることはできないのです。

それでは、自分の死後にペットが天寿をまっとうするために飼い主が準備できることに何があるのでしょうか。今回はその1つとして最近注目されている「ペット信託」を調べてみました。

にわかに注目を集めているペット信託

ここ数年「ペット信託」なる言葉が注目を集めているようです。これは何か新しいサービスなのか、新しい制度・仕組みなのでしょうか?

はじめにはっきりとさせておきましょう。ペット信託とは、2006年に全面改正されて2007年から施行されている信託法によって認められるようになった民事信託(従来は信託銀行などにしか認められていなかった商事信託とは別に、個人同士などが営利を目的としない信託の仕組み)の1つである、ということです。

民事信託のスキームを応用

民事信託には次の3人のプレーヤーが登場します。①委託者(目的を達成するために財産を信託する者)、②受託者(財産の信託を受け目的達成のために受益者に財産を渡す者)、③受益者(財産の益を受ける者)。この関係を簡単な図にすると次のようになります。

つまり、飼い主が自分に何かあったときに、ペットを飼育するために費用を次の飼い主に支払うことを目的とする信託契約を受託者との間で締結し、そのための費用を受託者に信託します。受託者は契約に基づき、飼育費用を次の飼い主に支払うというものです。次の飼い主が受益者というのが釈然としないのですが(益を受けるというよりも役務を引き受けただけのような気がしますので)、民事信託の仕組みを使っているので仕方ないのですね。この場合に、受託者、受益者は家族や親族、知人でも構いませんし、無論第三者であっても問題有りません。

ただ1つだけ留意してもらいたいことがあります。それは信託法第163条に規定されている信託の終了です。同条第2号に信託が終了する要件として「受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続したとき」と規定されています。つまり、受託者が次の飼い主と同一人物になった状態が1年間継続すると信託契約は強制的に終了されるということで、必ず3人のプレーヤーを確保する必要がある、というわけです。ネットでこんな記事を見つけました。「同居する次女にペットの面倒を見ることを同意してもらい、長女が同席のもとで、ペット信託契約を締結した。次女の経済的負担と相続で揉めることの心配がなくなって安心している」。これ長女が受託者になって信託契約を締結したんでしょうかね?でももしも、次の飼い主も契約した相手も次女の場合は、1年後に強制終了になってしまいます。

受託者は法律に詳しいほうが無難

民事信託は、法律に詳しくない個人間でも可能ですが受託者に関しては、契約実務であるという点と、信託契約を順守しているかどうか管理・監督義務が発生するために、法律的な知識を持っていないとハードルは高いと思います。行政書士や司法書士が積極的に関わる(営業している)ケースが多数見受けられます。またNPO法人などでも、受託業務を行っているところがあります。司法書士や行政書士にとってはビジネスチャンスなんだと筆者は思います。そしてビジネスである以上は、安心して自分の死後もペットを委ねることができるのは間違いとも思います。無論、その分手数料は発生することは覚悟しないといけませんが。

また民事信託(ペット信託)は、相続における遺留分との兼ね合いや、相続税や所得税などとも複雑に関係してきます。その点からも、専門家を交えるほうが無難だと言えそうです。

 

ペット信託以外の方法としては、法律的な行為として旧くから存在する「負担付贈与」と「負担付死因贈与契約」の2つがあります。これは次回の「ペットのための終活」でとりあげたいと思います。