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手元供養 で気をつけること( 墓じまい から手元供養は事実上不可能です)

記事公開日:2020.10.05/最終更新日:2023.03.31

手元供養と墓じまい(改葬)という言葉も、だんだんと頻繁に目にするようになりましたね。ここでも何回か取り上げていますが、墓じまいをした後の遺骨を手元供養にすることが事実上不可能なことについて、あまり詳しくご説明してこなかったので、今回は手元供養と墓じまいに焦点をあてつつ、手元供養を考えるときに注意すべきことを整理してみたいと思います。

手元供養では改葬許可がおりない

なぜ墓じまいをした後の手元供養が事実上不可能なのか、からご説明しましょう。墓じまいを行うためには、改葬許可申請書を墓地がある市町村長に提出して許可を受ける必要があります。許可を受けないで勝手に墓を取り潰すのは違法行為となりますので、くれぐれも行わないようにしてください。少ない金額ではありますが、罰金も適用されます。改葬許可申請書には、改葬(墓じまい)後に遺骨を納める場所を明記しなければいけません。ここで、手元供養にするからと、自宅(の住所)と書いて許可を得ることはできません。改装後に遺骨を納める場所は墓所である必要があるのです。そして、改葬の理由も記載する必要があります。改葬許可申請書の様式は、設けられている改葬理由を記載する欄が、「墓所の新設」「合葬(永代供養墓)」の2択の場合があります。このような場合に、3番めの選択肢として「手元供養をするから」を加えることはできません。2択ではなく、自由記載できる様式だったとしても、手元供養を理由に許可を受けられたという事例は現在のところ皆無のようです。

つまり、手元供養が理由では改葬許可を受けられないために、墓じまいをすることが不可能ということになります。

「墓じまい」をした後も、なんらかの方法でお墓に埋葬する人が多数

埋火葬許可証は絶対になくさないこと

では手元供養をするためにはどうすればいいのか、それは初めから埋葬せずに自宅に遺骨を置いて供養する、ということになります。埋葬しないのですから、火葬後に交付される埋火葬許可証が手元に残っていることになります。ここで1つ重要なのは、この埋火葬許可証を絶対に紛失しないことです。この許可証さえあれば将来的に、手元供養から墓や納骨堂に埋葬しなおすことが可能となります。

永遠に手元供養はできない

はじめから手元供養とする場合に。気をつけなければならない重要なポイントがあります。1つは、いつまで手元供養を行うのかです。遺骨を納めた骨壷を自分が亡くなった後に誰に託せば良いのか、それを決めておく必要があります。相続する家族や親族がいても、遺骨まで引き継いでくれるとは限りません。自分が愛する人だったとしても、相続する人が同じ想いを抱いてくれることは考えにくいでしょう。つまり手元供養にした遺骨は、自分が死ぬ前に最終的には、永代供養墓などの墓に納めなければならなくなる、ということです。このとき、先程書いた埋火葬許可証が必要になってきます。

遺骨の一部を破棄することも違法

もう1つは、これも最近は話題のメモリアルジュエリーなどに、遺骨を加工して手元供養にする場合の注意点です。遺骨を別の形にして残すことは合法です。しかし、その場合に遺骨の全てを使い切らなければいけないのです。小さなメモリアルジュエリーに遺骨の一部を使って、残った遺骨を廃棄する行為は違法です。刑法190条の「死体損壊等」は、遺骨の一部でも破棄した場合に該当します。手元供養を勧める多くのサイトでは、遺骨の一部をメモリアルジュエリーなど身近に置けるものに加工して手元供養とし、残った遺骨は粉骨して散骨すれば違法とならないと言っていますが、散骨はこれまでも記事にしてきたように、合法ではありません。このことも、よくお考えになってください。

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