お墓に代わる新しい埋葬方法として近年人気が高まっているのが「樹木葬」です。
2023年には新たにお墓を購入した人よりも、樹木葬を申し込む人数のほうが多かったというデータに現れているほどです。
日本各地で樹木葬の施設が広がっており、福岡においても多くの霊園で樹木葬が行えるようになっています。
福岡の樹木葬の相場は、「合祀型で30万円」、「個別型で70万円」ほどとなっています。
全国平均68.8万円と比べてやや高めです。
ただし、新規のお墓を購入する場合は150万円~200万円程かかりますので、それと比べるとかなり費用を抑えることができます。
この記事では、福岡で樹木葬が行えるおすすめの施設を「10か所」ご紹介し、樹木葬の選び方や注意点などを解説します。
こちらのページにも樹木葬についてまとめてあります。
⇒ ご参照ください。
樹木葬については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
⇒ ご参照ください。
目次
樹木葬とは
樹木葬を規定する法律などはありません。
施設のタイプでは「庭園型」「公園型」「里山型」の3種類に分類できます。
庭園型
市街地にあるお寺や霊園に多いタイプで、敷地の一部を庭園風に仕上げています。
シンボルになる木(シンボルツリー)を中心にして花を植え、その近くに埋葬する設備を設けています。
公園型
新しく造設された霊園は、一般的な墓地の雰囲気とは異なり、敷地に芝生を植えて公園のように造られています。
その中に区画を設けて樹木やきれいな花を飾り付け、埋葬するための設備を設けています。
里山型
里山型の樹木葬施設は、なるべく自然が残るようにした造りになっているのが特徴です。
区画内に木が植えてあり、その木の下に遺骨を埋葬します。
樹木葬の埋葬方法
樹木葬は埋葬方法でも分類できます。
「合祀タイプ」「個別タイプ」「共同埋葬タイプ」の3種類の埋葬方法があります。
合祀タイプ
すべての方の遺骨をひとつにまとめて埋葬し、費用は一番安いタイプです。
遺骨が他の方の一緒になってしまうので、後から一人分を分けて取り出すことはできません。
知らない人と一緒に埋葬されることに心理的な抵抗がある方もいるかもしれません。
個別タイプ
個別タイプでは、契約した個人や家族に専用の区画を設定してそこに埋葬します。
遺骨を納めるには指定の骨壺や布袋に入れます。
一般的に個別タイプで埋葬した後、13回忌終了後など一定期間経過した後に合祀エリア移されて供養されます。
共同埋葬タイプ
共同埋葬タイプでは、シンボルツリーの下に区分された設備に納められます。
他の方の遺骨と混ざらないようになっており、費用は合祀タイプと個別タイプの中間程度です。
福岡の樹木葬の費用相場
福岡の樹木葬の平均費用は合祀タイプで「30万円」、個別タイプで「70.0万円」です。
全国平均の68.8万円と比較するとやや高めですが、都市部では土地の値段や人件費が高いため、相場は高めになります。
ただし、お墓の新規購入費用が150万~200万円ですので、お墓と比べればかなり安く埋葬できるといえます。
樹木葬の費用が安い理由
お墓を新たに建てる場合には、墓石の代金のほかに加工費や設置がかかりますが、樹木葬にはこうした費用が不要です。
またお墓の場合に必要な戒名代や永代供養の費用も、樹木葬であれば金額に含まれていますので、別途支払う必要がありません。
またお墓を建てると毎年1万~2万円の管理費がかかりますが、樹木葬では管理費はかかりません。
こうした理由で、トータルの金額でも樹木葬はお墓よりもかなり安くなります。
福岡の樹木葬おすすめ10選
福岡県内で樹木葬ができる施設は年々増えています。
ここでは、おすすめの施設「10か所」を選びご紹介します。
新宮霊園 樹木葬
- 住所 福岡県粕屋郡新宮町大字立花口146
- アクセス JR鹿児島本線「福工大前駅」より無料送迎バスで約25分
- 宗教、宗派 宗教不問
昔からある霊園として知られている新宮霊園で樹木葬ができるようになり、話題になりました。
桜の名所として知られており、つつじの花も多く植えられている庭園型の施設です。
敷地内には約8000区画が設けられている大型施設で、設備が充実しています。
樹木葬は一人用で53万円~となっています。
油山平成御廟
- 住所 福岡県那珂川市西畑萩の原429-16
- アクセス 西鉄七隈線福大前駅から車で12分
- 宗教、宗派 宗教不問
天神から30分で行ける好立地で、3か所から無料送迎バスも運行しています。
福岡市街地を一望できる大型の公園型施設です。
施設内には礼拝堂や会食場、ホテルのようなロビーも備えられています。
樹木葬は共同埋葬タイプが「25万円~」、個別埋葬タイプが「60万円~」となっています。
ひびき灘公園墓地
- 住所 福岡県北九州市若松区大字有毛781
- アクセス JR「折尾駅」より車で約15分
- 宗教、宗派 宗教不問
ひびき灘公園墓地は、大自然に囲まれた北九州最大級の公園型の墓地です。
総面積約10万平方メートルの広大な施設には、106台収容可能な大型立体駐車場が備えられています。
樹木葬は共同埋葬タイプ「1名29万200円~」で、期間経過後に合祀されることはありません。
「令和の里」記念樹公苑
- 住所 福岡県太宰府市大字大佐野807-160
- アクセス JR鹿児島本線都府楼南駅から車で約8分
- 宗教、宗派 宗教不問
令和3年4月に新たにオープンした自然公園と融合したタイプの霊園です。
遺骨を提携する霊園の「小郡霊園」に納骨し、「令和の里」は供養の場とする新しいスタイルの霊園です。
樹木葬は合祀タイプで1名「27.5万円~」です。
黒崎小嶺霊園
- 住所 福岡県北九州市八幡西区小峰67-2
- アクセス 筑豊電気鉄道線 永犬丸
- 宗教、宗派 宗教不問
黒崎小嶺霊園は、ひびき灘まで見下ろせる眺めのいい高台に位置し、自然に囲まれた静かな環境にある霊園です。
全区画がバリアフリー設計となっており、負担なくお参りができます。
樹木葬は「1名29万4000円~」となっており、ペットと一緒に眠れるプランも用意されています。
北九合掌 さくら霊園
- 住所 福岡県遠賀郡水巻町吉田南5丁目60番
- アクセス 筑豊線東水巻駅から徒歩13分
- 宗教、宗派 宗教不問
JR黒崎駅から車で9分、小倉都心からも30分というアクセスのいい好立地にある、西日本最大級の大型霊園です。
緑豊かな丘陵地に造設され、四季の花木に囲まれています。
樹木葬は共同埋葬タイプで「1名25万4000円~」で、合祀されず共同のカロートに納められて供養されます。
ささぐり極楽霊苑
- 住所 福岡県糟屋郡篠栗町大字津波黒字極楽111-1
- アクセス JR福北ゆたか線篠栗駅から車で約5分
- 宗教、宗派 宗教不問
ささぐり極楽霊苑は、緑豊かな山に囲まれた静かな雰囲気の霊園です。
天神から高速道路を使って車で20分と、交通アクセスも便利な場所にあります。
法要施設や休憩所、売店を完備していますので、手ぶらでお参りに行けます。
樹木葬は、「2名用で59万円~」のプランが用意されています。
百合ヶ丘霊園
- 住所 福岡県宗像市朝町油田238-1
- アクセス 鹿児島線教育大前駅から車で11分
- 宗教、宗派 宗教不問
百合ヶ丘霊園は、季節の花と緑に囲まれた大型の公園墓地です。
広い園内には、ガーデニング墓地や芝生墓地など、様々なタイプの埋葬区画が用意されています。
樹木葬のプランは「2名用44万7000円~」となっています。
福岡中央霊園
- 住所 福岡県大野城市牛頸2375-10
- アクセス 西鉄大牟田線西鉄春日原駅から車で約15分
- 宗教、宗派 宗教不問
福岡中央霊園は、福岡市街地から車で40分の場所にあり、総面積25万平方メートルと西日本最大級の広大な敷地に様々な施設を保有しています。
車でお墓の近くまで行くことが可能なので高齢者でもお参りがしやすくなっています。
樹木葬のプランは「1名用50万円~」となっています。
糸島自然霊園
- 住所 福岡県糸島市雷山630-1
- アクセス 筑肥線筑前前原駅から車で19分
- 宗教、宗派 宗教不問
糸島自然霊園は、玄界灘を見下ろす場所に位置し、周囲は観光やレジャーイベントなどが盛んな県内でも人気のエリアです。
施設内はバリアフリー設計となっており、車いすの方や体の不自由な方、高齢者にも利用しやすくなっています。
樹木葬は、「1名用50万円~」となっています。
樹木葬のメリット
樹木葬にある多くのメリットが人気の理由となっています。
ここではそのうち「4つ」を紹介します。
維持管理が不要
お墓の維持管理のための掃除やお手入れは、お墓を引き継いだ家族が行っていかなければなりません。
また墓地を購入すると毎年1万~2万円の管理費を霊園に支払う必要があります。
一方、樹木葬を購入した場合、掃除などの管理作業は施設側ですべて行い、年間の管理費も必要ありません。
お墓よりも費用を抑えられる
新しいお墓を建てる場合に必要な費用は150万~200万円程度ですが、樹木葬であれば、「20万~80万円程度」の予算で購入可能です。
安いところでは「1名分10万円から」入手できます。
年間の管理費も多くの施設ではかかりませんのでトータルでも安くなります。
宗教・宗派を問わない
樹木葬を行う施設では、宗教・宗派を問わず誰でも利用できるところが大半です。
檀家に加入することを条件としているところも一部ではあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
お参りの対象がはっきりしている
樹木葬とともに人気の新しい弔い方として散骨があります。
散骨では遺骨を粉状に砕いて船から海に撒き、遺族は海に向かって手を合わせますが、対象物がないためお参りの実感がないという印象を持つ方もいるようです。
樹木葬の場合は、シンボルツリーがあったり、故人の名が刻まれている銘板があったりして対象物があるので、お参りする際にイメージしやすいといえるでしょう。
樹木葬のデメリット
人気の高い樹木葬ですが、デメリットもあるので事前に知っておいたほうがいいでしょう。
子や孫に承継できない
樹木葬を利用できるのは、契約した本人や家族だけです。
その次の代となる子孫に継承させることは認められていません。
代々継承させたい場合は、お墓を購入する必要があります。
里山型は交通アクセスがよくない
里山型の樹木葬施設は、市街地から離れて自然が豊かな場所に作られていることが多く、交通アクセスが不便なケースもあるようです。
また、最寄り駅から坂になった道を歩くこともあり、高齢者や体が不自由な方がお参りするのは大変になります。
樹木葬を選ぶポイント
樹木葬を選ぶことで、死後はそこに永年に渡って眠りますので、十分検討し納得したところを選びたいものです。
選ぶ際のポイントを「6つ」紹介します。
1.雰囲気・環境
写真だけでは実際の施設の雰囲気や環境はわかりません
現地に行って、自分の目で見て確認しておきましょう。
近くが騒がしかったり、日当たりが悪くてじめじめしていたりするケースもあるようです。
施設の周りの環境や雰囲気もしっかり見ておくといいでしょう。
2.埋葬方法
埋葬方法は、施設やプランで大きく変わってきますので、現地で十分確認しておくことをおすすめします。
例えば、同じ個別タイプの埋葬であっても、骨壺に入れる施設もあれば、布袋に入れて納めるところもあります。
3.お参りの方法
お墓参りであれば、線香をたいてお花を供えるというのが一般的です。
一方、樹木葬では施設によってお参りのルールがそれぞれ定められています。
線香はたかず、お花は指定の場所に供えるという施設が多いようです。
現地見学の際には、お参りのやり方や場所をチェックしておきましょう。
4.宗教・宗派のルール
樹木葬は宗教・宗派に関わらず誰でも利用できるところが大半ですが、一部では檀家に加入することが条件となっています。
この点についても確認しておきましょう。
5.交通手段
交通アクセスや駐車場の場所なども確認しておきましょう。
また、高齢になって車を使わなくなった時のことも考慮し、公共交通機関でのアクセスについてもチェックしておくといいでしょう。
6.管理体制
現地に行った際には、施設の管理状況もしっかり見ておきましょう。
掃除や片付けができているか、設備が整備されているかを細かくチェックします。
また管理人の人柄も確認しておくことがおすすめです。
お墓との違い
樹木葬とお墓の違いを「3つのポイント」からチェックしておきましょう。
1. 継承するかしないか
お墓では、先祖から代々伝わってきたものを守り、次の世代に繋げていくというのが基本的な考え方です。
お墓の管理は家族が行い、管理費用も家族が負担します。
一方、樹木葬は子孫に継承させることはできません。
契約した本人か家族だけが利用できます。
2. 遺骨の供養方法
お墓の場合は一人分の遺骨を骨壺に入れて納めます。
樹木葬の場合は、自然回帰の考え方が基本となっており、個別に埋葬するプランであっても13回忌後など一定期間が経過した後は合祀され土に還るように規定していることが多いようです。
3. 費用
新たにお墓を購入した場合にかかる費用は150万~200万程度です。
先祖代々のお墓を使うのであれば購入費用は不要ですが、管理費が年1万~2万円がかかります。
樹木葬は「20万~80万円」で購入した後は年間の管理費はかかりません。
近年は新しくお墓を購入するよりも、樹木葬を購入する人のほうが多い状況が続いています。
樹木葬で注意すべきポイント
樹木葬は人気がありますが、お墓に比べてまだまだ新しい埋葬の方法ですので、理解が進んでいないのが現状です。
トラブルにならないために樹木葬を選ぶ際に「注意すべきポイント」を解説します。
周囲の人の理解を得る
近年、樹木葬を選ぶ人は増えていますが、昔から続くお墓を大切に考えている人からはよく思われていません。
先祖から代々続いてきたお墓を守り、次の子孫に繋げていくことが必要と考える人も半数近くいるので、樹木葬を選ぶことに対して家族や親せきが反対することもあるでしょう。
事前にしっかりと話し合いをして、十分な理解を得ておく必要があります。
遺骨は返還されないことを理解する
遺骨は合祀されると他の遺骨と混じってしまうため、後から一人分を特定して取り出すことは不可能です。
樹木葬で埋葬された後、お墓に入れたいといって遺骨を返還してもらうことはできないので、あらかじめ理解しておきましょう。
自分で草木を植えることはできない
樹木葬を行う霊園には、季節の花々が植えられ見ていて癒されます。
施設内の樹木や花類はすべて施設が管理しているため、利用者が勝手に自分の好きな花を植えることは禁止されています。
きれいな花は見て楽しむだけにしておきましょう。
樹木葬が話題になっている背景
1999年岩手県の大慈山祥雲寺(現:長倉山 知勝院)で初めて樹木葬が行われました。
亡くなった後はお墓に入るものというこれまでの考え方に対して、宗教・宗派に関係なく土に還る自然回帰の考え方を提案して話題になりました。
マスコミ等にも大きく取り上げられ、全国に知られることになります。
このことをきっかけとして樹木葬は日本各地に普及していきました。
2012年には都立霊園としてはじめて小平霊園が樹木葬の公募を開始し、予定数をはるかに上回る応募があったことで、樹木葬に対する注目の高さが知られることになります。
樹木葬の人気は年々高まっており、最近では新規でお墓を買う人よりも、樹木葬を申し込む人のほうが多い状況が続いています。
申し込みから納骨までの流れ
樹木葬を契約するまでの手続きは、お墓を新たに購入する場合とだいたい同じです。
1.情報収集
「インターネット」や「パンフレット」などを通じて情報を収集します。
周りに樹木葬の契約をした人などがいれば、話を聞いてみると参考になるでしょう。
2.現地見学
ネット上の情報や資料を見て、値段や場所などがよさそうなところが見つかったら、予約を入れて現地を確認します。
施設の状態や周りの環境、交通アクセス、プラン内容などをしっかり見ておきましょう。
不明点はそのままにせず、すぐに質問してクリアにしておくことです。
3.契約・入金
現地を見学し、プランの中身や金額なども納得すれば、契約書を交わして費用を支払います。
急いで契約するものではないので、じっくりと検討するようにしましょう。
4.使用許可証の交付
施設側が入金を確認すると使用許可証が交付されます。
許可証を受け取れば、利用が可能になります。
埋葬までの流れ
樹木葬の埋葬の手続きは、散骨の場合とは異なります。
お墓の場合とだいたい同じです。
1.死亡届を提出
亡くなった際に病院から発行された死亡届を役所に提出し、火葬許可証を受け取ります。
2.火葬
ご遺体を火葬場に搬送し、火葬許可証を提出して火葬してもらいます。
後日、火葬場から埋葬許可証が送付されます。
3.樹木葬の施設に埋葬許可証を提出
埋葬許可証を受け取った後に、契約した樹木葬の施設に連絡して埋葬の準備を進めます。
このときに、埋葬方法など改めて確認しておきましょう。
【福岡の樹木葬おすすめ10選】選び方や注意点を解説 まとめ
費用がかからないことや、お墓に対する考え方が変わってきていることもあって、樹木葬は人気になっています。
この背景には子どもに負担をかけたくないと思う方や、お墓を引き継ぐ子孫がいないという方が増えていることもあります。
こうした状況は今後も続き、福岡でも樹木葬を利用する人は増えていくでしょう。
樹木葬を選ぶ際にはしっかりと調べて、自分が納得できるもの契約することが大切です。